さらに、よねというキャラクターの重要性について「よねや花江(森田望智)は、寅子と対峙するカウンターパートにあたる登場人物で、寅子とはまた違うテーマを背負った人物として描かれています」と語る。

「寅子はある種、恵まれた家庭環境で育っていますが、よねはとても過酷な状況の中から立ち上がってきたことで、いろんなことがきれいごとに見えてしまうキャラクターです。そこから法律の世界に入ってきたので、寅子の主張や想いに対して『そんな甘いもんじゃない』と意見を言える人物として配置されています。でも、そういう存在だからこそ、ずっと友人として一緒に歩んでいくことを想定したキャラクターなんです」

尾崎氏は「寅子をはじめ、それぞれの登場人物が、吉田さんの分身だと思いますが」とした上で、よねについては「何かの矛盾や、世の中の不条理に対する怒りみたいなものを背負っていると思います」と語る。

「よねは、怒りというものをきちんと出していいんだ、自分がおかしいと思ったら声を上げていいんだということを示す登場人物です。吉田さんもそう思われていると思いますが、それがはっきりと出ているキャラクターがよねであり、だからこそ、視聴者の皆さんも共感してみていただけるのではないかと」

寅子のもう1人のカウンターパートにあたるという花江(森田望智)についても「花江さんは、いわゆる仕事に生きる寅子に対して、家庭を守りながら生きるということを当初から想定されたキャラクターです。寅子のような生き方も当然あるけど、花江のように家の中で仕事をして生きるというのも当然肯定されるべきだという思いが吉田さんの中にあり、そこもしっかり描きたいということでした」と説明する。

さらに「花江はずっと寅子と家族として一緒にいますが、おそらく寅子の人生において、一番長い時間を過ごすことになるんじゃないかと思います。家での日常のシーンは今後もいろいろと描かれていき、森田望智さんと伊藤沙莉さんの息も合っているので、今後も楽しめると思います」とのことで、期待が膨らむ。寅子とともに、よねや花江の今後も楽しみに見ていきたい。

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