番組制作を通して改めて感じた南部さんの魅力の1つは、「人脈」だ。

「とにかく人脈がすごいんです。例えば安倍昭恵さんもパフォーマンスを見に来ますし、政治家や企業の社長とか、どこでどういうふうにつながったのか分からないんですけど、やっぱり人柄なんでしょうね。そういう人たちに“いい仕事ちょうだいよ”ってお願いしてうまく商売に利用すればよかったんでしょうけど、それができないからいつまでも貧乏なままで(笑)。でも、それを言ってこないから、お金持ちの人たちからすれば付き合いやすかったのかもしれません」

もう1つの大きな魅力は、「人情」。

「(後編の放送で)葬儀に参列した田代まさしさんも言ってますけど、人生でちょっとつまずいた人を拾って“頑張れよ”と救いの手を差し伸べるんです。それはメンバーもそうで、今日 元気さんが自衛隊を辞めてブラブラしてるときに入れてあげてるし、リチャードさんも大学の野球部で人間関係に行き詰まり、それが原因で両親が離婚もしてブラブラしてる時に声をかけて。やっぱり困っている人がいたら放っておけない。奥さんが“人間として素晴らしい人”と言っていましたが、そういう部分を感じました」

明るく振る舞っていた妻が泣き崩れる

2023年8月に取材を始めてから、わずか5カ月後の今年1月20日。朝川Dは静岡での営業に同行することになっていたが、集合場所に南部さんが一向に現れない。その日の夜、営業が終わった後に危篤状態であることを知らされ、その数時間後に亡くなった。メンバーたちが早朝に病院へ向かうということで、そこについていき、霊安室で対面する。

「サングラスをかけて、髪も整えて寝ておられて。ついこの間まで元気だったし、あまりにも突然で、本当に驚きました。なんて言葉で表現していいのか分からないんですが、安らかな表情…という感じではなかったと思います」

  • 葬儀で喪主を務める由紀さん (C)フジテレビ

後編では、番組が独占取材した葬儀の模様が流れるが、妻・由紀さんの泣き崩れる姿が胸を締めつける。

「葬儀の前に爆笑問題さんや肥後(克広さん、ダチョウ倶楽部)などが来てましたが、南部さんの服を身にまとって、ニコニコしながら一緒に写真を撮ったりして、努めて明るく振る舞っていました。そうやって南部さんになりきることによって、自分自身をどこか遠くにやっていたのではないかと思います。それが、一瞬自分に戻る瞬間があると、思いがあふれてしまう。だから、南部さんが亡くなってからは、カメラの前で南部さんのことについて語ることはもうできないと言われました」