若手メンバーの今日 元気を早く一人前にして、リーダーを引き継がせたかったという南部さん。志半ばの死だったのだろうか。
「自分がずっと死ぬまでリーダーでいるとは考えていなかったと思うんですけど、実は南部さんと若手の関係は、奥さんと南部さんの関係と同じなんです。奥さんが全部何もかもやってくれるので、南部さんは自分が飲まなきゃいけない薬も覚えられないように、電撃ネットワークは南部さんが全部決めてくれるし、アドバイスもくれるから、言われたとおりにやっていればいい。南部さんは“カミさんができるとダメな旦那になっちゃう”って言ってましたけど、電撃もそうだったのかもしれません」
結果として南部さんの死は、否が応でも若手メンバーを成長させる後押しになっていくのかもしれない。
そんな南部さんの若手への思いを汲んで、番組では各メンバーの人となりや葛藤も描いている。
「ランディーさんは自分のお店を持ってるし、リチャード(・ジョーダン)さんは親戚の会社があるから電撃がなくなってもやっていけるけど、元気さんは実家に勘当されて経済的基盤がないから、南部さんは一番心配されていたんです。だから、彼には早く一人前になってほしいという思いが強かったと思います。この番組で電撃ネットワークの名前がまた広がれば、いいなと思いますね」
ゲーム芸人フジタの父が急死、クズ芸人の密着再会
これまで『ザ・ノンフィクション』で、売れない“クズ芸人”小堀敏夫、ゲーム芸人フジタ、そして今回の南部虎弾さんと、一癖も二癖もある芸人たちを追ってきた朝川D。彼らを取材する醍醐味は、どんなところにあるのか。
「それぞれに魅力があるし、僕らみたいにサラリーマンをやっている人間には到底理解できないような独特の個性の持ち主ですよね。芸人というのは“仕事”というより“人種”のようで、お金にならないことをやったり、テレビに絶対出られないような芸をずっとやったりしていますが、皆さんが自分の生き様を貫いていて、爪痕を残したいという強い思いを持って生きているのを感じます」
かつてフジタを捨てて認知症になっていた父が、フジタに子どもが生まれ、写真を見せに行こうとしたところ、今年4月8日に急死した。今後は子どもができたフジタの新婚生活を追っていくほか、小堀への密着も再開しているそうで、また目が離せない芸人のドキュメンタリーを見せてくれそうだ。