昨年はフジテレビ系ドラマ『真夏のシンデレラ』『いちばんすきな花』などで存在感を見せた俳優の神尾楓珠。現在放送中のTBS系火曜ドラマ『くるり~誰が私と恋をした?~』(毎週火曜22:00~)では、生見愛瑠演じるヒロインを優しくサポートする“ブランケット男子”役を好演中だ。来年でデビューして10年という節目を迎える神尾に、本作で新たに挑戦したことや俳優業への向き合い方について話を聞いた。

  • 『くるり~誰が私と恋をした?~』で朝日結生役を演じている神尾楓珠

本作は、事故ですべての記憶を失ってしまった主人公・緒方まこと(生見愛瑠)が、カバンの中に入っていた男性用の指輪を手掛かりに、“恋の相手”と“本当の自分”を探していく物語。神尾が演じているのは、自らを“唯一の男友達”と語るまことの元同僚・朝日結生(あさひ・ゆうき)役で、瀬戸康史、宮世琉弥と共に恋の相手候補となる。

「ここまでスーツを着る役は初めて」 スーツ姿がよく見えるよう意識

優しくて包容力がある朝日は、常にまことのことを気にかけていく気遣いのできる青年だ。神尾は、役との共通点について問われると「僕自身も誰かのために尽くすことが好きなタイプです。朝日は記憶喪失のまことをサポートすることが多いですが、僕も友達が悩んでいたりすると、多少無理をしてでも会いに行ったりするので、そういう点はちょっと似ているかなと。また、友達と遠出をする時に、基本的に僕が運転しますし、友達全員の家まで迎えに行って、帰りも全員送って帰るということもよくあります」と、私生活でも“ブランケット男子”的な要素があるようだ。

朝日役で新たにチャレンジしたことについて聞くと「僕自身、あまりスーツのイメージがないと思うのですが、ここまでスーツを着る役というのは初めて演じた気がします」と答えた。

「朝日は基本的にスーツ姿が多いのですが、やはりスーツを着ると、ピシッとなりますね。僕は普段、少し姿勢が悪いから、ずっと背筋を伸ばしていてしんどい時もありますが、今回はスーツ姿がよく見えるようにするにはどうしたらいいかということを学べた感じです」

また、朝日役を演じるにあたり「脚本を読んだ時、ミステリーの要素もあるので、これをどういう風に撮るんだろうと思っていました。朝日は何も考えてないほど底抜けに明るいというキャラクターでもなく、普通に会話をしている中で、ちょっと切ない表情を浮かべるシーンもけっこう多いので、感情の作り方が難しそうだなとは感じました」と言う神尾。

実際に撮影に入ってみると、監督から「表情を大きく動かしてほしい」という演出を受けたそうで「そういう役も今までになかったから、新たなチャレンジだなと思いました。演じる上でバランスが難しかったのですが、やっていくうちに徐々でつかんできている感じがします」と手応えを口にする。

現在25歳の神尾。キャリアを重ねていく中で、役者業への向き合い方も変化してきたそうだ。

「以前は、求められていることをちゃんとやらなきゃという不安の方がやっぱり強かったので、今の方が楽しくできている気はします。昔よりも、『ちょっとこれをやってみよう』というアイデア的なものも言えるようになってきました」

主演の生見愛瑠を称賛! 瀬戸康史&宮世琉弥との共演も語る

また、主演の生見について「最初はバラエティ番組での印象が強く、天真爛漫なイメージで、もちろん現場でも明るく笑顔が多い方ですが、思っていたよりもしっかりされているし、すごく周りを見てくれている方だなと思いました。また、台詞覚えが早いです。出演シーンがあれだけ多いのにすべての台詞をちゃんと覚えてくるし、周りに気遣いもできるから単純にすごい! と思いました」と賛辞を送る。

共演陣では、瀬戸康史がまことの自称“元カレ”西公太郎役を、宮世琉弥がまことの自称“運命の相手”板垣律役を演じている。瀬戸の印象を聞くと「瀬戸さんはお茶目な方で、最初から僕をイジってくださって、コミュニケーションを取ってくれたので、すごくありがたかったです。真顔で面白いことを言われるので、これはボケなのかそうじゃないのかと、最初はちょっと探っていました(笑)。でも今は、これはボケなんだ! とわかるようになったので、楽しく会話させていただいていますとすっかり打ち解けられた様子。

宮世については「顔立ちが大人っぽいですし、落ち着いている雰囲気なので、最初はクールな印象があったのですが、話してみるとすごく“年下感”や“弟感”を感じます。懐に入るのが上手で、愛嬌のある人だなと思います。番宣で生見さんも含め、4人で揃うシーンがありましたが、とてもバランスがいいなと感じました」と語った。

演じる朝日にとっての公太郎や律は、いわばまことを巡って恋のライバル関係となる。では仮に、神尾、瀬戸、宮世がもしも恋愛バトルを繰り広げた場合、勝者は誰になるのか? と尋ねてみた。

「コミュ力であれば瀬戸さんが一番高いと思います。丸山礼さんも本作に出演されていますが、丸山さんのミニコントのようなやりとりにも入っていけるというノリの良さもすばらしいし、そういうところはちょっと勝てないなと思います。また、瀬戸さんは声もすごくいいので、そこもちょっとずるいなと思います(笑)。でも、琉弥にも勝てないかな。あのミステリアスな顔立ちと、笑った時のギャップがすごい破壊力なので。3人の中では僕が一番普通になっちゃうから、印象に残らなそうだなと思います」

そう謙遜する神尾だが、三者三様にそれぞれの魅力が溢れていて、それらが役にも投影されている。胸がキュンキュンする火ドラのラブコメディだが、そこにミステリーの要素が入ったことで、さらに続きが気になる展開となっている本作。今後もまことたちが織りなす四角関係の行方を見守っていきたい。

■神尾楓珠
1999年1月21日生まれ、東京都出身。2015年、24時間テレビドラマスペシャル『母さん、俺は大丈夫』で俳優デビュー。映画『兄に愛されすぎて困ってます』(17)で映画デビュー。ドラマ『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(19)や映画『うちの執事が言うことには』(19)などで注目される。そのほか主な出演作は、ドラマ『顔だけ先生』(21)、『ナンバMG5』(22)、『17才の帝国』(22)、『真夏のシンデレラ』(23)、『いちばんすきな花』(23)、映画『樹海村』(21)、『彼女が好きなものは』(21)、『20歳のソウル』(22)、『恋は光』(22)、『カラダ探し』など。

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