本作における道兼の役割については、「まひろと道長の2人の物語が彩り豊かになれば」と考えているという。

「『光る君へ』はいろんな登場人物の物語が描かれていますが、究極的にはまひろと道長の物語。(道兼は)目も当てられないことをやっていますが、2人の物語の彩りとか起爆剤になればいいなと思いました」

憎しみに満ちた表情や怒り狂った表情など、さまざまな表情を見せる道兼。SNSでは「道兼の表情筋がすごい」「道兼役の玉置さん、表情筋が豊かすぎん?」などと話題に。玉置自身も放送を見て「そんなに顔を動かす必要ある!?」と自分の表情に驚いたと言うが、撮影では表情についてあまり意識していないと明かす。

「顔に関してもこんなに反響があると思ってなかったです。『そんなに表情筋豊かって言われる!?』と思って(笑)。ちょっと過剰にやっている節はあると思いますが、そんなに頑張って表情筋を使っているつもりはなく、あまり意識していないんです」

そして、「こういう顔をしようとは思ってないんですよ。ポジティブに捉えるならば、道兼を演じようとするとちゃんとああいう顔になるんだなと。そういう風になったのは結果よかったなと思います」とも話し、「逆に皆さんにも『日常でももっと表情筋使えるよ!』と言いたいです」と笑顔で語った。

玉置は、放送を見ながらリアルタイムで感想を投稿するなど、SNSも活用して作品を発信しているが、「視聴者の数だけ、導き出される何かが存在するんだな」と感じているという。

「もちろんそれはわかっていましたが、その何百倍も反響の数も反応もあるし、導き出されたものがあるので、こんなにも皆さんが受け取ってくださって、且つ、そこに自分の意思や考えをきちんと乗っけて伝えてくださるんだなと。今の時代ならではのコミュニケーションツールとして目の当たりにできたのは目から鱗でした。SNSはそんなに得意ではなかったですが、自分の捉え方と、利用してくださっている方とのリレーション次第でポジティブに捉えられるものだと感じ、いい試みをしたのかもなと思えてうれしかったです」

特に第14回は反響を感じたそうで、「道兼なりに積み重ねたヘイトとか、道兼の働きぶりが実を結んでいっているんだなと感慨深く感じました」としみじみ。今後も表情筋豊かに道兼を演じているようで、「ことごとく表情も変わっていっているので楽しみに見ていただけたらと思います」と呼びかけた。

■玉置玲央
1985年3月22日生まれ、東京都出身。劇団「柿喰う客」所属。近年の主な出演作品は、舞台『ゲルニカ』(20)、『パンドラの鐘』『ジョン王』(22)、ドラマ『恋する母たち』(20)、『おかえりモネ』(21)、『風よあらしよ』(22)、『大奥 Season2』(23)、映画『夜を走る』(22)など。現在放送中の大河ドラマ『光る君へ』に藤原道兼役で出演。3月から5月にかけて上演中の舞台『リア王』ではエドマンド役を務めている。また、映画『夢の中』が5月10日公開。

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