第72期王座戦(主催:日本経済新聞社、日本将棋連盟)は二次予選が大詰め。3月27日(水)には計3局が行われました。このうち、東京・将棋会館で指された佐藤康光九段―佐藤天彦九段の一戦は97手で康光九段が勝利。天彦流振り飛車を撃退して2年ぶりとなる挑戦者決定トーナメント入りを果たしました。

1年ぶりの顔合わせ

両者の対戦は13局あり天彦九段の9勝4敗。直近は天彦九段の4連勝と意外な偏りを見せます。本局は振り駒で後手となった天彦九段が角道を閉じた三間飛車を採用。居飛車側の穴熊に相穴熊で対抗したのは1月の村山慈明八段戦(叡王戦)でも見せた戦型選択です。

駒組みが続くかと思われたところで先手の康光九段が積極策に出ます。右銀を4筋に繰り出したのは後手の飛車を押さえ込む狙いで、こう進むと右金の動きを保留していた点が後手の飛車成りを消して好都合。実戦はここから両者一歩も引かない攻め合いに突入しました。

康光九段の積極策実る

盤上右方での激しい競り合いから抜け出したのは康光九段でした。3筋で角と銀桂の二枚換えを許したものの、スムーズに敵陣に侵入した竜が攻めの起点として大活躍。一方で天彦九段の竜は4九の地点に鎮座していた先手の金に圧迫されて思うように活躍できません。

リードを奪った康光九段はその後も的確な指し回しで逆転を許しません。「金底の歩、岩より堅し」の格言通りに打った底歩が受けの決め手となってこれ以降の速度計算がわかりやすくなりました。終局時刻は20時30分、最後は自玉の寄りを認めた天彦九段が投了。

感想戦では仕掛けが一段落して以降、振り飛車側が明確に良くなる順は示されませんでした。勝った康光九段は第70期以来となる挑戦者決定トーナメント入りを果たしています。なおこの日は広瀬章人九段と糸谷哲郎八段も同様に勝ち上がりを決めました。

水留啓(将棋情報局)

  • 終局後のSNSには「快勝譜だ」「緻密流の神髄をみた」と賛辞が並んだ(写真は第69期王座戦挑決の時のもの 提供:日本将棋連盟)

    終局後のSNSには「快勝譜だ」「緻密流の神髄をみた」と賛辞が並んだ(写真は第69期王座戦挑決の時のもの 提供:日本将棋連盟)