フランスの自動車ブランド「DSオートモビル」が世界初となるChatGPT搭載車の販売を開始した。生成AIを積んだクルマの使い勝手はどんな感じなのか。ChatGPTを積むことでクルマは便利に、あるいは快適になるのか。東京で試乗してクルマに話しかけ倒してみた。

  • シトロエン「DS4」

    ChatGPTを搭載するDSオートモビルの「DS4」。見た目は特に変わっていない

フランス車に東京湾の深さを聞いてみた

DSオートモビルはシトロエンから独立して2014年に誕生したブランド。ステランティスの中ではアルファロメオと並ぶ「プレミアム」な立ち位置だ。

今回は、もともとDSのクルマに入っていたボイスコントロール機能「IRIS(アイリス)システム」がChatGPTと連携した。DSが売っている全ての車種が今後はChatGPTに対応する。利用料金は3年間無償、その後は有償となる。対応言語数は合計13種類。もちろん日本語も入っている。すでに販売済みのクルマ(ユーザーが乗っているクルマ)ではChatGPTを利用できないが、今後の対応に向けて検討を進めていくとのことだ。

  • シトロエン「DS4」
  • シトロエン「DS4」
  • シトロエン「DS4」
  • DSオートモビルの全モデル(DS3/DS4/DS7/DS9)がChatGPTに対応。写真は「DS4」

車内でのChatGPTの使い方は、基本的にはクルマに話しかけて答えてもらうような形だ。最近の多くのクルマは音声認識機能が付いている。DSの場合、話しかけたら答えてくれるのがChatGPTだと考えればいい。ChatGPTに話しかける際には「オーケー、アイリス」と声をかけるか、ハンドルに付いているマイクのマークのボタンを押す。

  • シトロエン「DS4」
  • シトロエン「DS4」
  • シトロエン「DS4」
  • アイリス(ChatGPT)が人間のことがを聞いている状態の時、ナビの画面には写真のようなビジュアルが表示される(画面の上の方)

  • シトロエン「DS4」

    アイリス(ChatGPT)に話しかけるには「オーケー、アイリス」と発話するかハンドルの右側に付いているマイクのマークのボタンを押す

まずは、普通にナビの目的地設定ができるのかどうか試してみたのだが、これはほかのクルマの音声認識同様、特に問題なくできた。聞き取り能力は高いようだ。「自宅に帰りたい」と話しかけたら、試乗車を借りた場所(ステランティスが入居しているビル)までナビを入れてくれた。どこどこのお店を予約してという依頼に対しては、自分で電話してといったような回答だった。

試乗しながら通り過ぎる場所に合わせて、「芝浦の歴史は?」「レインボーブリッジっていつできたんだっけ?」「東京湾の深さは?」「お台場の広さは?」などなど、思いつく限りの質問をぶつけてみたのだが、アイリス(ChatGPT)はよどみなく答えを返してくれる。1人でドライブする際には、いい話し相手になってくれそうだ。

会話のキャッチボールはできる?

ただ、少し残念だったのは、会話のキャッチボールができなかったことだ。基本的には一問一答で会話が終了してしまい、対話(やり取り)に発展することはなかった。PCでChatGPTを使う場合は、こちらが何かを打ち込めば向こうが返してきて、またこちらが打ち込むといった感じで、会話らしきやり取りが続く。そんなキャッチボールを期待していたのだが、私が試した限りでは、こういうやり取りには発展しなかった。なので、一問一答が終わるたびに「オーケー、アイリス」と呼びかけることになってしまい、少し面倒だった。

これは、質問の仕方が悪かったのかもしれない。試乗後に担当者に聞いてみたところ、私の質問が一問一答で終わってしまうようなものばかりだったので、会話が続かなかったのではないかとの意見をいただいた。実際、ChatGPTとの会話が2ターン目に入ることもあるとのことだった。

会話のキャッチボールという意味では、「しりとりをしよう」ともちかけたときには何度かやり取りが続いた。ただ、この「しりとり」が少し変わっていて、こちらが「スイカ」といえば向こうは「今度は『カ』で終わる言葉をどうぞ」と答え、それではということで「戦時下」(困った末の回答)というと、向こうは「今度は『カ』で始まる言葉をどうぞ」といった感じで、スイカに対してChatGPTが「カニ」とか「カラス」と答えてくれることはなかった。つまり、言葉遊びはできたのだが、しりとりはできなかった。

かなり聞き取り能力は高いし、クルマに関する事柄以外の話題でも返事をしてくれるところはすばらしくて、これなら、旅行中にふとした疑問が浮かんだ瞬間や、同乗者と会話していて固有名詞が思い出せないときなどに、アイリスに話しかけたくなるのではないかと思った。ただ、会話が一問一答で終わる分には、ボルボとホンダが販売しているGoogle搭載のクルマと機能的にあまり大差はないとも感じた。

アイリス(ChatGPT)に望むこととしては、一問一答で終わってしまうような質問を人間から受けたとしても、回答した後、少なくとも2~3秒くらいは、追加の質問を受ける準備(聞き取り状態の継続)をしておいてほしい。

人間:オーケー、アイリス。2たす2は?

アイリス:4です。

人間:4人組で有名なアーティストって?

アイリス:ビートルズですかね。

人間:ビートルズの有名な曲は?

アイリス:たくさんありますけど、「イン・マイ・ライフ」とか好きですね。

人間:ちょっと流してくれない?

例えばこんなやり取りが続けば一人旅のお供としてかなり魅力的なのだが、このあたりは今後に期待したい。少なくとも、運転していて、すぐにスマホで調べたい何らかの疑問が思い浮かんだ時、アイリス(ChatGPT)がいてくれれば役に立つのは間違いないだろう。