北陸新幹線の延伸により3月16日に「北陸新幹線 加賀温泉駅」が開業する。このタイミングにあわせ、観光需要の増加を期待する石川県加賀市ではUber Japanとライドシェアに関する包括連携協定を3月12日に締結した。普通免許+自家用車を持つ住民ドライバーが旅客を運送できる『加賀市版ライドシェア』の本格運行をスタートさせる。

  • 石川県加賀市×Uber Japanがライドシェアに関する包括連携協定を締結した(以下、すべての写真提供:Uber Japan PR事務局)

■どんなサービス?

『加賀市版ライドシェア』は、加賀市観光交流機構が運行主体となり、Uberがスマホアプリを提供、加賀第一交通が運行管理を担う三者協力体制で実施するもの。規制が緩和された2023年12月以降に、Uberが初めて自治体と提供する「自家用車有償旅客運送」(以下、自治体によるライドシェア)となる。

  • サービスのイメージ。地元ドライバーが自家用車で旅客を運送する

本ライドシェアは、午前7時から午後7時までは「主要観光地」や「住宅地」で、午後7時から午後11時までは「加賀市全域」で利用できるサービス。なお、午後11時から午前7時まではサービスを提供しない。

利用の流れは、次の通り。乗客はUberアプリに乗車地・目的地などの必要事項を入力。するとドライバーのアプリに配車依頼が通知され、ドライバーが依頼を了承するとマッチングが成立。料金は事前登録されたクレジットカード・電子マネーなどでキャッシュレス決済される。ちなみに運賃は南加賀交通圏のタクシー運賃の8割に設定されており、売上の7割がドライバーの報酬となる。

  • Uberアプリによる加賀市版ライドシェアの概要

住民ドライバーは2月中旬から募集を開始しており、これまでに70名以上の応募があった。すでに加賀市観光交流機構・加賀第一交通による選考・研修を通過した、加賀市に住む普通運転免許を保持する住民14名(2024年3月12日時点)がドライバーとして登録されている。今後は、市内の自動車学校の運営団体からもドライバーが派遣されるという。

  • アプリの利用イメージ

石川県加賀市にて3月12日に開催された包括連携協定式において、加賀市長の宮元陸氏は「北陸新幹線の金沢~敦賀間の開業は、われわれ加賀温泉、ひいては石川県全域にとっても地域活性につながる100年に1度のビッグチャンスです。そこで関係各所とスクラムを組み、万全の体制を整えて今日を迎えました」と力を込める。令和6年 能登半島地震により被災した地域にも思いをはせながら「元気な地域が盛り上がることで、みんなで被災者を支えていく」と宮元市長。

  • 加賀市長の宮元陸氏

「Uberさんは70カ国以上、10,000以上の都市でサービスを提供している世界最大のモビリティプラットフォームです。われわれとしては、そのシステムを活用しながら、多くの観光客にとっても利便性の高いサービスを実現させます。そして加賀市内の住民の皆さんに向けても、タクシー、バス、鉄道、ライドシェアを組み合わせて自由に移動できる社会環境を実現していきます」(宮元市長)

ちなみに今後の展開に向けては、遊休の車両を活用することにも言及。「例えば旅館・ホテルのマイクロバスは送迎の時間以外はすいています。福祉車両、医療関係の車両も使えるかもしれない。市内の移動手段を最適化することで、加賀市に住む人たちの快適性を上げていきたい」とした。

  • 現地では12日、本格運行する様子がメディアに公開された(JR加賀温泉駅 駅南側広場 温泉中央口 駅前ロータリーにて)

続いて、Uber Japan代表の山中志郎氏が登壇してあいさつ。Uberではアプリを通じて、乗客と運転手のマッチング、配車依頼、決済サービスを提供する。

北陸新幹線 加賀温泉駅のロータリーには、本ライドシェア専用の「Uber専用乗り場」も設置。新幹線を降りた客がUberアプリを通じて配車したクルマにスムーズに乗車できるようにする。自治体によるライドシェア支援の目的について、山中代表は「地域の移動手段を確保することで、地域経済に貢献することを目指しています」と説明する。

  • Uber Japan代表の山中志郎氏

「土地勘のある、地元を熟知した住民ドライバーによる安心安全でグレードの高い運送サービスを実現します。世界中で使われている50言語に対応するUberアプリの知名度を生かし、海外から来るインバウンドの訪日客にも利用を促進したい。地域経済の活性化に貢献できれば、と考えています」と山中代表。

近日中に台湾、香港、その他の国々に「加賀市内でUberが利用できるようになった」ことを伝えるリリースを出すとも明かした。

■タクシーとの優先順位は?

最後に質疑応答の時間がもうけられた。

タクシーと加賀市版ライドシェアの間に優先順位はあるのか、という質問に加賀市の職員は「タクシーの運行を補完するような形でライドシェアの導入を進めてきました。まずはタクシーの運行を優先する流れになると考えています」と説明する。

また募集に応じた住民ドライバーの属性について、加賀第一交通の担当者は「ほかに本業をしつつ、土日などの休日に運行されるという方が8~9割です。50代が多い印象です」とした。

※写真提供:Uber Japan PR事務局