俳優の吉沢亮が、映画『国宝』(2025年公開予定)で主演を務めることが、わかった。

映画『国宝』で主演を務める吉沢亮

同作は、2017年から朝日新聞にて連載された吉田修一氏による同名長編小説の実写化作。歌舞伎界を舞台にした原作は、連載時から大きな話題となり、2019年に「第69回芸術選奨文部科学大臣賞」、「第14回中央公論文芸賞」をダブル受賞した。吉田氏自身が3年間歌舞伎の黒衣をまとい、楽屋に入った経験をもとに書き上げた渾身の作品となっており、任侠の一門に生まれながらも、歌舞伎の世界に飛び込み、芸の道に青春を捧げ、芝居だけに生きてきた喜久雄が、その命を賭けてなお、見果てぬ夢を追い求めていく壮大な物語を描いている。

主演を務めるのは、映画『キングダム』(19)で信の親友・漂と、玉座を奪われた秦国の王・エイ政の二役を見事に演じ分け、「第43回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞」、「第62回ブルーリボン賞助演男優賞」を受賞した吉沢。30歳となった節目の年に、芸の道に人生を捧げ、やがて国の宝となる稀代の女方歌舞伎役者・喜久雄に挑む。

これまで踊りの経験がなった吉沢は、まずはまっすぐ歩くことから始め、すり足で歩く、正座の仕方、扇子の持ち方・取り方など基本動作からスタート。稽古初日はまっすぐ歩くことだけで終わり、撮影時にきちんと踊ることができるのか不安もあるなか、他の仕事をセーブし、撮影本番のギリギリまで日々歌舞伎の稽古を行なった。

また、今作のメガホンを取るのは『悪人』(10)『怒り』(16)と、これまでも吉田修一作品を手掛けてきた李相日監督。脚本は、『八日目の蝉』(11)『コーヒーが冷めないうちに』(18)の奥寺佐渡子氏が担当する。

コメントは以下の通り。

■吉沢亮

吉田修一先生×李相日監督の3作目。『悪人』ではただただ視聴者として感嘆し、『怒り』ではオーディションの参加者として、何もできなかった自分への苛立ち、完成を観てのどうしようも無い昂まりと悔しさ。そして『国宝』では当事者としてなにを思うのでしょう。稀代の女方を演じると言う、途方もない挑戦ではございますが、その挑戦の先に見える景色が何よりも美しいものである事を信じて。日々精進です。

■李相日監督

芸に身を捧げ、人生を翻弄される多彩な登場人物たちが織りなす豪華絢爛な歌舞伎の世界観。吉田さん渾身の作品を担う重圧に慄えが止まりません。小説刊行からの構想6年。言い換えれば、“覚悟“に要した年月です。決め手は、吉沢亮の存在。美しさと虚しさを併せ持つ妖艶なその存在感。役者として着実に成長し進化を遂げた今、まさに機が熟した宿命の出会いです。数多ある困難を超えた先に拡がる未知の世界に、関係者一同胸昂る思いです。

■原作者・吉田修一氏

『悪人』『怒り』、そして『国宝』へ。夢が叶う。三たび、信頼する李相日監督に自作を預けられる喜びにあふれている。そしてもう一つ、夢が叶う。『国宝』執筆中も書き終えてからも、ずっとあることを夢見ていた。無理は承知ながら、この稀代の女方・立花喜久雄の舞台を一度でいいからこの目で見てみたいと。その夢が叶う。吉沢亮という稀代の役者を迎えて。

【編集部MEMO】
吉沢亮は、1994年2月1日生まれ、東京都出身。2009年に「アミューズ全国オーディション」で審査員特別賞を受賞しデビュー。映画『キングダム』(19)で日本アカデミー賞最優秀助演男優賞などを受賞。2021年にNHK大河ドラマ『青天を衝け』で主演を務めた。近年の主な出演作は、映画『キングダム』シリーズ(19・22・23)、『東京リベンジャーズ』シリーズ(21・23)、『ブラックナイトパレード』(22)、『ファミリア』(23)、ドラマ『PICU 小児集中治療室』(22)など。

  • (左から)吉田修一、李相日

(C)吉田修一『国宝』(上 青春篇/下 花道篇)朝日文庫