近年、「インターンシップ(以下、インターン)」制度を取り入れる企業が増えている。就職前の学生に自社の業務を体験してもらう制度で、就職後のミスマッチを防いだり、離職防止につながったりする効果を企業は期待しているのだ。実はインターンを行うメリットは学生にもある。

本稿では、書籍『学生がキャリアアップするための インターンシップ活用術』(総合法令出版)の著者で現役の大学生であるトテ ジェニファー麻綾氏が自らのインターン体験を通して身に付けたスキル、成長できた点について解説する。

コンサル会社の実情

長期インターン経験者の卒業後の進路はさまざまです。とはいえ、必然的に営業のインターンをしていた学生なら営業職を、企画のインターンをしていた学生なら企画職を志望する人が多くなります。

インターン期間は正社員として働く前段階のように捉えることができるため、この風潮は当然といえば当然です。

一方で、インターン時の業種や職種を問わず、特に優秀な学生からの人気が高い業界が外資系金融や外資系コンサルです。

難易度の高さや給与面の良さ、キラキラしたイメージ、一種のステータスのような感覚など理由は各々でしょうが、優秀な学生がこぞって受けたがる花形的なイメージが強い業界のように見受けられます。

実際はどのような様子なのか? 私が働いたあるコンサルティング会社での経験を紹介したいと思います。

長期インターンは就活塾よりも就活塾

世の中には「就活塾」なるものが存在します。有料、無料とありますが、大きく分けると有料のアドバイス型、有料の伴走型、無料の支援型とあると解釈しています。

そして、仮に入塾を検討するのであれば、無料の支援型→有料の伴走型→有料のアドバイス型の順で考えるべきだと思います。

有料のアドバイス型は、エントリーシートの添削や面接の際に気をつけるポイントなどをテキストでやりとりするだけといった場合もあり、「この内容で学生から金銭をとるのか」と思ってしまう内容のものもあるので注意が必要です。

有料の伴走型は志望企業で働く社員や過去の内定者から選考情報を共有してもらえ、各企業に特化した対策が行われるケースもありますが、有料という点では慎重になってしかるべきです。

良いサービスを受けるためには、学生だろうと対価を払うのが当たり前という考えはよく理解できます。一方で、無料でも十分に同じような価値を提供してもらえる場は存在するため、有料は最終手段として検討することをおすすめしたいです。

無料の支援型として代表的なのは、選抜コミュニティです。

この存在を知っている学生からは"選コミュ"と称されるサービスで、言葉の通り、ケース面接やグループディスカッションなどの選抜をクリアしなければ入ることはできません。

入塾人数は少なく、一流企業に入社したい学生ばかりが志願することから選考難易度は高いです。無料でここまでやってくれるのかと思うほど万全な就活対策が見込めることでしょう。

「就活は情報戦のため、1人では無理」という話を耳にすることからも、就活は個人戦のようで団体戦のような側面があることは想像がつきます。

実際に、就活塾に入れば各々にメンターがつき、就活塾の仲間と情報共有や意見交換をする機会もあります。しかし、熱量高くインターンをしていれば、就活塾についてさほど頭を悩ませる必要はなくなります。

先輩、同期、後輩とのつながりや正社員の方からのサポートそのものが就活塾のサービスに匹敵するようになるためです。

花形企業への近道切符

私は、M&A戦略コンサルティング企業のMAVIS PARTNERSで約3年半にわたりインターンをしています。その過程で多くの学生と接触する機会がありましたが、長期インターンに打ち込んでいる学生は、いわゆる「意識高い系」と言われるような学生が多い印象です。

これは、学校で座学だけをしているのではなく、実際に働いている社会人の姿を目の当たりにし、自身もデスクを並べて業務にあたることで、就活やキャリアをはじめ、自分のありたい姿をイメージしやすいからだと思います。

実際にインターンの先輩は、知らぬ間にサクサクと内定を獲得して、大学3年生の年末前後には就活を終えているケースが大半でした。

同期に目を向けてみても、「A社の2次面接ってどんな感じだった?」と聞けば、「結構お堅い印象だったかな。エッジの効いた質問はなかったから特別な対策はいらないと思う」と返され、「B社のジョブとC社のグループディスカッションの日程が被ったのだけど、どっちを優先させるべきだと思う?」と相談すれば、「B社は採用人数も多いし、年明けぐらいまで選考をしているから、いま慌てて受けなくても大丈夫なのでは?」と返ってきます。

  • 提供:総合法令出版

MAVISでインターンを経験した人の就職先は、コンサルティング業界や金融業界、業界を問わないところでいえば外資系企業が多いです。

外資系企業の選考はとにかく早期からはじまることで有名です。多くの外資系企業は日系企業の選考が開始される数カ月前から選考をはじめており、優秀な学生が他社へ流れる前に彼らを獲得しようとする傾向にあるためです。

学生側もこの流れを理解しているからこそ、2年生の後期には就活対策をはじめ、3年生では選考直結型のサマーインターン、ウインターインターンに力を注ぎます。

日系大手を第一志望としている場合でも、箔が付いている状態で第一志望を受けることを目的に、早期から対策をはじめ、外資系企業の内定を獲得する学生もいます。

日系大手の中にはエントリーシートの段階で「下記の企業の中で内定を得ている企業はありますか?」と問い、すでに選考が終了している企業を並べるケースがあります。

そして、それらの企業には金融やコンサルを筆頭に外資系企業が列挙されています。企業としては、すでにこの企業の内定をもらっている学生ならある程度は優秀だろうから、うちの会社としても欲しい人材という見方をしているのでしょう。

結局のところ、外資系企業を志望していようが、日系企業を志望していようが、外資系企業のほうが先に選考がはじまるため、早期で就活する学生たちは一気にここになだれ込むということです。

つまり、スタートする時期は自分の志望先に左右されることはなく、一流と呼ばれる企業に入社したいと考えているのであれば、1日でも早く動き出すことが不可欠です。

外資系企業の選考では、「ジョブ」と呼ばれる選考フローがあるケースが目立ちます。ジョブはグループディスカッションの上位互換、学生が主体となった短期インターンという言い方が最もイメージがしやすいです。

細かい選考内容や選考順序は企業によって異なるものの、

(1)エントリーシート
(2)テスト
(3)グループディスカッション、面接
(4)ジョブ
(5)面接
(6)内定

というような流れが一般的です。 3日間~1週間程度にわたり、グループワーク形式でボリュームのある課題に向き合い、その様子を横で見ながら採用担当者が学生を評価します。最終的にジョブで成果を上げた学生がその後の選考に呼ばれ、複数回の面接を経て内定を獲得するのです。

お題は企業側で事前に用意されますが、何であれ検討の進め方はあまり変わりません。

お題の背景にある前提を確認、曖昧な点の定義づけ→現状の把握→原因の分析・特定→解決策の検討→解決策の絞り込みに加えて、随所で調査が挟まってくるというのが一連の流れです。

そしてこの進め方は、インターンで毎日のようにやってきたことに通じています。前提の確認や定義づけは、タスク内容を問わず意識する必要があるため感覚が染みついているはずです。現状の把握や原因の特定の段階では、仮説思考が活きます。

真摯にインターンをしてきたという前提がある上での話ですが、業務を通して指摘されて培った経験が、選考で高い評価をもらうことにつながるのです。

著者プロフィール:トテ ジェニファー麻綾

MAVIS PARTNERS 株式会社トレーニー
共立女子大学ビジネス学部4年

株式会社サイバーエージェント、株式会社キュービックにてWEB マーケティング、メディアの企画・運営のインターンに従事。その後、オフショア開発セールス事業、長期インターン斡旋事業での起業を経てMAVIS PARTNERS 株式会社にインターンとして入社。就活では外資系金融、外資系IT 企業を中心にインターン(ジョブ)に参加し、うち複数社から内定を得た。
2023年11月に『学生がキャリアアップするためのインターンシップ活用術』(総合法令出版)を発売。共立女子大学4年生である著者が自身の経験をもとに、長期インターンシップを解説しており、すべての学生におすすめしたい内容となる。