平成仮面ライダーシリーズ第4弾『仮面ライダー555(ファイズ)』の放送20周年を記念したⅤシネクスト『仮面ライダー555 20th パラダイス・リゲインド』の完成披露上映会が14日、東京・新宿バルト9で開催され、主演の半田健人ほか主要キャストと田崎竜太監督(※崎はたつさき)による舞台挨拶が行なわれた。

  • 左から藤田玲、村上幸平、半田健人、芳賀優里亜、唐橋充、田崎竜太監督

『仮面ライダー555 20th パラダイス・リゲインド』は、人類の進化形というべき生物「オルフェノク」の脅威に挑むべく、特殊ツール「ファイズギア」を用いて戦士ファイズに変身する青年・乾巧(演:半田健人)と仲間たちのさまざまな人間模様を描いた特撮テレビドラマ『仮面ライダー555』(2003~2004年放送)の「20年後」の物語である。死から甦ることで「覚醒」するオルフェノクをサポートし、ファイズギア、カイザギア、デルタギアなどを開発した巨大企業スマートブレイン社は20年後の現在、なぜかこの世のオルフェノクを殲滅する方向へとシフト。仮面ライダーミューズ/胡桃玲奈(演:福田ルミカ)と量産型ライダー「ライオトルーパー」部隊が任務にあたっている。

このような状況の中、乾巧や園田真理(演:芳賀優里亜)、そして草加雅人(演:村上幸平)たちはどのような考えを抱き、どのような行動を取るのか。テレビシリーズ全話、および劇場版『パラダイス・ロスト』を手がけた脚本家・井上敏樹氏が新たに作り上げた20年後の『555』の物語は、ファンの想像のナナメ上を行きつつも「これぞ『555』!」とうなるべき内容に仕上がっている。

■Ⅴシネクスト『仮面ライダー555 20th パラダイス・リゲインド』の完成披露上映会にキャスト・監督集合

完成披露上映が終了した直後、つめかけた熱心なファンからの割れんばかりの拍手が巻き起こり、ファンにとってかなり満足度の高い内容だったことをうかがわせた。

上映後、MC(寺迫麿)の呼び込みでキャストと監督がステージに登場した。仮面ライダーネクストファイズに変身する乾巧を演じる半田健人。本作のヒロイン・園田真理役の芳賀優里亜。仮面ライダーネクストカイザに変身する草加雅人役・村上幸平。スネークオルフェノク/海堂直也を演じる唐橋充。かつてドラゴンオルフェノクとしてファイズと戦い、本作ではスマートブレインの社長を務めている北崎望役・藤田玲。そして本作のメガホンを取った田崎竜太監督。

20年ぶりの「完全新作」をファンの前で初披露することができた喜びからか、半田をはじめとするキャスト陣は終始晴れやかな笑顔で舞台挨拶に臨んだ。

半田は「20年前の自分に、将来こんな日が来るということを教えたい気分です。映画が実現したのは僕たちの力ではなく、20年間『555』を応援してくださったみなさんのおかげ。ファンのみなさんの力で作った映画です」と、『555』を支える多くのファンの思いが形になり、映画の企画が実現したと強調し、改めて感謝を示した。

村上は「みなさんのお顔を見るのがずっと楽しみでした。僕も20年前の自分に、嫌われていた草加だけど20年後にはめっちゃ愛されるようになるぞ、と伝えたい(笑)」と言って非常にクセの強いキャラ・草加が長年にわたってファンに親しまれていることを喜びつつ「俺のことを好きにならない人間は……」「邪魔なんだよ!」という草加の印象的なセリフのコール&レスポンスを行い、客席のファンを大いに盛り上げた。

芳賀は「この映画は、みなさんによって見せていただいた“夢の続き”だと思っています。こうして舞台に立つことができて、感謝しています」と、当初は想像もしていなかった『555』続編映画が実現したことへの驚きと喜びを表した。

唐橋は「深爪とささくれに悩まされ、唇の乾燥に打ち勝ち、今日ここに立っています……」とシュールな挨拶をしつつ「『555』キャストとしてお客様の前に立つのは、中野サンプラザで行なわれた『555バトルトークショー』で号泣して以来。今日も泣かなきゃいけないかな……、あ、大丈夫ですか」と、海堂直也としてファンの前に姿を見せることができた喜びを、独特な表現によって示した。

藤田は「あれから20年。今ではもう役者を辞められた方や、残念ながらこの世を去った方もいらっしゃいます。今回、このメンバーでステージに立つことで、当時のキャストみんなの思いを強く感じることができました。応援してくださったみなさんのおかげで、こんなすばらしい機会をいただけ、嬉しいです」と語り、現在ここに立つことが叶わなかったキャスト陣への思いをこめながら、20年目の続編ができた喜びをあらわにした。

田崎監督は「今回のスタッフは私のような古参だけでなく、子どものころ『555』を観ていた人、そして『555』だったらぜひ参加させてほしいという人がいっぱいいました。まさに『555』を愛する人々の熱に支えられた映画です」と、作品を愛するファン、キャスト、スタッフによって作り上げられた幸せな映画であることをアピールした。

■俳優チームから出てきた20周年作品

20周年作品の企画は、もともと半田をはじめとする俳優チームから出てきたものだったという。半田は「最初は20周年で何かやれることはないか、というところから始まった。映画をやるにあたっては、自分たちから言い出したことだから責任を背負わないといけないな、と腹を決めました。僕たちではなく、ファンの方々がいかに楽しんでくださるかを大事に考えて、『555』はやっぱりこうだからいいんだよな、って感想を抱いてもらえるように仕上げること。これだけを念頭に置いて取り組みました」と、20年後の『555』を受け入れてもらえるよう、全力を尽くしたことを明かした。

芳賀は「今回、真理にすごく大きな“変化”が訪れるので、台本を読んですぐにはすべてを受け入れるのが難しく、迷いながら撮影に取り組んでいました。現場で半田くんや監督と話し合いながら作り上げていった作品で、そういう意味でも印象に残っています」と、作品のハードでシリアスな要素を担う真理の人物像を作るにあたって、かつてないほど周囲とディスカッションをしながら撮影に臨んだと語った。

村上は「このメンバーがふたたび集まって、かつてのスタッフも集合した。奇跡を噛みしめながら出演しました」と、20年前のオリジナルキャスト、スタッフがふたたび集合できたという奇跡的な出来事をしみじみふりかえってコメントした。

唐橋は「すごい作品にしなければいけないというプレッシャーがありましたが、みんなが同じ方向を向いていて、あっという間に出来上がった印象。井上さんが書かれたセリフには、産湯というかスズメのスープというか、さーっと身体にしみていく心地よさがありました」と、非常に個性的な表現で井上脚本の馴染み深さを回想。これを横で聞いていた田崎監督は思わず「よくわからない……」と言いながら苦笑いを浮かべた。

藤田は「『555』の20周年映画をやるという噂を聞いて、ああやるんだなあと思っていたら、なんと北崎にも出番があると言われて驚きました。だって北崎と草加はテレビシリーズで死んでいますからね」と、謎めいた本作での北崎・草加の立ち位置についてコメント。村上が「僕は首の骨を折られました」と、テレビシリーズの草加の「最期」について言及すると藤田も「僕は(アークオルフェノクに)食べられましたから。あなたも出るよと言われたときはビックリするしかなかった。でも台本を読んで、北崎がこうやって出るのか、なるほど! と納得し、楽しく出演させていただきました」と、オファーを受けたときのことをふりかえった。

田崎監督は「このキャストが揃って、自分ではなく他の監督が手がけていたなら、きっと嫉妬していた」と語り、愛着のある『555』の20周年映画を監督できたことへの強い思いを明かしつつ「あれから20年が経ってお互い大人になり、コミュニケーションをとりながら仕事ができたのは嬉しかった」と、年月を重ねて経験を積んだスタッフ・キャストとの強くて深い絆について語り、笑顔をのぞかせた。

■次世代を担う若いキャラクターとの対比も

本作では、次世代を担う若いキャラクターが登場し、ファンになじみ深いオリジナルキャストとぶつかりあうことによって作品に新しい色を加えた。これについて村上は「若い世代と僕らの世代の対比が生まれて、よかったよね」とストーリーの妙味について絶賛。そして半田は「以前、仮面ライダーの映画に乾巧役で出たことがありましたが、後輩の新人ライダーを捕まえて、ロケバスでの移動中、2時間半くらいずっと僕がしゃべりっぱなしだったことがありまして、そこで反省をしたんです。若い人には若い人なりの時間があるわけだし、無駄なことは話さないほうがいいかなと(笑)」と、なまじトーク力が達者であるがゆえに、移動中でのおしゃべりが止まらなかった過去を反省し、今回は自分から若いキャストに話しかけなかったと打ち明けた。

すると村上は「僕はスマートレディ役の進藤あまねさんとはよくお話をしましたよ。初日で緊張していたし、彼女自身特撮ヒーローが好きみたいだから、『草加スマイルを目の前で浴びたぜ!』ってファンの方々に自慢してくださいって言ったんです」と、共演の時間こそわずかながら、進藤との交流がけっこうあったことを明かした。すると半田が「気を遣われたのかもしれないでしょう。僕はそれを恐れて、現場では当時のキャスト・スタッフとの絆を再確認することに努めていたんです」と、自分は必要以上に若いキャストに話しかけることのないよう、意識をしていたと語った。

今回はアクションシーンが多かった、と現場をふりかえった藤田は「別作品で親交を深めた和田三四郎さんがアクション監督で、一緒に激しいアクションを作ることができて、よかったです」と、田崎監督が「北崎無双」と称するほど数多い北崎のアクションについて、苦労と楽しさに満ちた日々をふりかえった。

最後の挨拶で半田は「ただの同窓会映画ではなく、ここを『555』の新たな出発点にして、今後5年、10年、そして20年と、みなさんが『555』を愛してくださるきっかけにしていただけると嬉しく思います!」と話し、かつてのテレビシリーズ、劇場版、そして今回の20周年記念作品とさまざまな発展を遂げた『仮面ライダー555』の世界を、これから迎える未来でもたくさんの方々から愛される作品になってほしいと述べ、目を輝かせた。

Ⅴシネクスト『仮面ライダー555 20th パラダイス・リゲインド』は、新宿バルト9ほかにて2月2日より期間限定上映。2024年 5月29日にはBlu-ray&DVDの「通常版」「特別版」、そして9月13日には「CSMカイザフォンXX版付完全版」Blu-ray&DVDが発売予定である。

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