『特捜戦隊デカレンジャー』(2004年)の放送20周年を記念して製作されたVシネクスト『特捜戦隊デカレンジャー20th ファイヤーボール・ブースター』(監督:渡辺勝也)の完成披露上映会が2024年5月15日、東京・新宿バルト9にて開催された。舞台挨拶ではメインキャストが登壇し、本作の見どころやそれぞれの「デカレンジャー20周年」への熱い思いを語った。

  • 左から長妻怜央、林剛史、吉田友一、さいねい龍二、菊地美香、伊藤陽佑、川村文乃

■『特捜戦隊デカレンジャー20th』完成披露舞台挨拶にキャスト集合

2004年から2005年にかけてテレビ放送されたスーパー戦隊シリーズ『特捜戦隊デカレンジャー』は、地球の警察では手に負えない異星人犯罪者(アリエナイザー)の凶悪犯罪を取り扱い、熱い情熱とクールな行動で捜査し、事件を解決に導く「宇宙警察地球署」のスペシャルポリスたちの活躍を描く物語。基本1話完結で、毎回さまざまな思惑を備えるアリエナイザーが登場。デカレンジャーの個性的な面々が、いかにして異星人犯罪の手がかりをつかみ、犯人を突き止め、被害者の安全を確保するのかが丁寧に描かれており、見ごたえのあるSFアクションドラマが生み出された。

大勢の『デカレンジャー』ファンが詰めかけた劇場には、デカレッド/赤座伴番役・さいねい龍二、デカブルー/戸増宝児役・林剛史、デカグリーン/江成仙一役・伊藤陽佑、デカピンク/胡堂小梅役・菊地美香、デカブレイク/姶良鉄幹役・吉田友一といったオリジナルキャストに加え、本作のゲストキャラクターとして、伴番が属するファイヤースクワッドの後輩刑事=プレミアデカレッド/江戸川塁を演じる長妻怜央(7ORDER)と、リドミハ星人モクミスを演じる川村文乃(アンジュルム)が登壇。挨拶が始まるまではさわやかな笑顔でファンの声援に応えていた長妻だが、マイクを持ったとたん肩に余計な力が入り、かなり誇張気味に緊張を示し、隣に立つ林から「急に緊張!?」とツッコまれていた。

宇宙全体の治安を守るというスケールの大きな世界観や、各キャラクターの魅力的な個性を活かし、これまでにも『特捜戦隊デカレンジャー 10 YEARS AFTER』(2015年)や『スペース・スクワッド ギャバンVSデカレンジャー』(2017年)といった「復活」作品が作られてきた『デカレンジャー』。毎回ひねりにひねりぬいた「謎解き」ストーリーの面白さや、長年にわたり一緒に戦ってきた「刑事」だからこそ描ける深みのあるキャラクタードラマが用意され、テレビ放送時からずっとファンであり続ける方たちに加えて、新しいファンも育っていくという「世代を超えた」人気を獲得している。

デカレンジャーが挑む今回の事件は、地球のみならず、宇宙全体をも揺るがす最大級の凶悪事件。台本を最初に読んだときの気持ちを尋ねられたさいねいは「いい意味で、20周年というアニバーサリー感のない、テレビシリーズの延長であるところに魅力があります。高知県が舞台となっていますが、デカレンジャーは宇宙警察地球署ですから、管轄内だと思いました(笑)」と、撮影に際して全面協力を受けた「高知市」の観光名所がふんだんに出てくるストーリーをアピールした。林もまた「高知と聞いて、まず友一や美香の顔が浮かびました。高知は食べ物がおいしいと聞きますし、台本を読んだ時点から早くロケに行きたいなと思いましたね」と語った。

2018年に菊地と結婚し、現在は高知市地域活性推進課職員として活動している吉田は「スーパー戦隊や仮面ライダーは、関東近郊でのロケ撮影が多くなりますが、新しい挑戦もしてほしい。そんな思いから、自分たちがIターンで引っ越してきた高知を盛り上げる意味で企画を立ち上げました。高知は渋滞がなく、ロケがしやすい。海、山、川へのアクセスも短いコンパクトシティで、効率がよい。まさに、勝ち筋しかないんです」と、現在の活動拠点である高知が特撮ヒーロー作品のロケ地として最適であると強調。あまりにも圧の強いトークだったため、林から「講演会のようだ(笑)」という絶妙な反応をもらっていた。

伊藤は、吉田や菊地ともにアソシエイトプロデューサーを務め、企画準備段階から「デカレンジャー20周年」に携わっていたといい「台本作りから参加させていただきました。当たり前のようにメンバーが全員揃っていますけど、いざ作るにあたっては当たり前ではなかった。みんな揃って20周年作品ができる。僕がファンの立場だったらこんなに嬉しいことはないと、想像の膨らむ台本が出来たと思いました」と笑顔で語り、キャストとファンが「20周年記念の新作」を楽しむ思いを共有できたことに、喜びを感じていた。

新人刑事としてベテラン揃いの地球署に来て、個性の塊のような先輩たちの独特な捜査方法に驚く塁を演じる長妻は「小さいころ、テレビで観ていた『デカレンジャー』に参加できて、とても嬉しかった。最初、レッドになると聞いたので、今までのデカレンジャーと違った新チームなのかなと思ったら、新メンバーが僕だけ。他に同期のいない、単身弟子レッド、弟子デカレンジャーでした!」と、独自の表現で「かわいい後輩」ポジションをアピール。実際にも、さいねいをはじめとするキャスト陣から可愛がられていたという長妻だけに、撮影を終えたときの感想を聞かれると「もう、最高でしたー!!」と語って笑顔を見せた。

人気アイドルグループ「アンジュルム」のメンバーであり、高知県出身の川村は「最初は、高知にデカレンジャーが来る!? とびっくりしました。作品の舞台となる牧野植物園は、小学校の遠足で行ったりして、なじみの深い場所。私の役柄が植物園の学芸員だと知って嬉しかったですし、土佐弁で喋ったりするシーンもあって、高知で生まれ育ってよかったと思いました」と、深い「地元愛」をまぶしいスマイルを交えながら語った。

■次世代に引き継ぎたいもの

劇中では、ファイヤースクワッドの先輩・伴番から塁へと、プレミアデカレッドの継承が行なわれるという。これにちなんで「次の世代へと引き継ぎたいものは?」という質問がMC(寺迫麿)から寄せられた。さいねいは「テレビシリーズで『デカレンジャー2』をやってほしい。その際にはぜひレッドに長妻さん、グリーンに川村さんで!」と、新チームによるデカレンジャーのテレビシリーズを熱望。これを聞いた客席のファンも多いに盛り上がり、林が「そのときは僕がもう一回ブルーで……」とアピールして笑いを取った。続いて菊地が「日曜の朝じゃなくて、夜の放送で大人っぽいヒーロー作品を放送してほしい」と話し、デカレンジャーの可能性の拡がりを夢想して目を輝かせた。

林は「デカレンジャーに続き、歴代スーパー戦隊がこれから10周年、20周年を迎えるにあたり、こういった記念作品を作り続けてくれたら嬉しい」と、メンバーそれぞれが成長を遂げ、同じ時間を過ごしてきたファンと再会ができる喜びを、後輩戦隊にも味わってもらいたいと語った。伊藤は「デカレンジャーに影響を受けて警察官になったり、渡辺碧斗くん(王様戦隊キングオージャー:トンボオージャー/ヤンマ・ガスト役)のように俳優になったり、いいスパイラルが生まれてほしい」と、自分たちが頑張って作り上げた作品世界に憧れ、後に続く若者たちがいい影響を受けてくれることに期待していると話した。

菊地は「デカレンジャーの現場では、スワンさん役の石野真子さんに影響を受けました。いつも笑顔で、フラットで、おちゃめなところがあって、完璧な女性像です。真子さんから受け継いだ愛を、私もいろんな人に伝えたいと思って、毎日お弁当を作っています!」と、自身が店長を務める高知市の弁当屋「十月一日」での日々について語った。

吉田は「鍼灸師の資格を取って9年。人間、元気じゃないと映画館にも来ることができませんし、高知県に遊びに来ることもできません。ここに立つメンバーにも僕が施術をしている人がいます(挙手する林、伊藤、長妻)。鍼灸が世代を超えて受け継がれていき、みなさんの健康につながればいいなと願っています」と話し、周囲を感心させた。

長妻は「バラエティの部分を大切にしているのですが、最近『変顔』のレパートリーがなくなってきて、先生である友一さんから変顔を受け継ぎたい」といきなり吉田に変顔の見本を示してほしいと無茶ブリを放りこんだため、不意を突かれた吉田はただあわてるしかなかった。時間の都合もあって吉田の変顔見本はその場では見られなかったが、将来的にSNSなどで披露されるかもしれない、と期待を煽った。

川村は「アンジュルムは今年で10周年。私は先輩方からたくさんのことを受け継ぎましたので、後輩にそれらを伝えて、これからもアンジュルムがどんどん続いていってほしい」と眩しい笑顔と共に語り、今年はアンジュルムにとっても大事な節目の年であることを明かした。

ここで、本日登壇が叶わなかったデカイエロー/日渡茉莉花役・木下あゆ美からの映像メッセージがスクリーンに映し出された。木下は20周年記念作品が完成した喜びを語ると共に、6月7日から公開される本作のことを「ファンの方々にSNSなどで盛り上げていただきたい」と語った。

そして、ファンのリクエストに応える形で、ステージ上のメンバーによる「変身」の生披露が行なわれた。長妻、川村も加えた7人がSPライセンスを手にし「エマージェンシー・デカレンジャー!」のかけ声を発しながらポーズを決めると、客席からは盛大な拍手と歓声が沸き起こった。

最後の挨拶でさいねいは「ここまで来たら、何も言うことはありません。心ゆくまで『デカレンジャー』の世界を楽しんでください」と力強く呼びかけた後「6月9日には、和歌山で『デカフェス』というイベントがあり、ひさびさに『ヒーローショー』を行います。楽しい場所、美味しいものがいっぱいありますので、イベントと一緒に和歌山を楽しんでください」と、和歌山マリーナシティで6月9日に開催される『デカフェス』のアニバーサリーステージの告知を重ね、これからの『デカレンジャー20周年』を盛り上げてほしいと語った。

『特捜戦隊デカレンジャー20th ~ファイヤーボール・ブースター~』は2024年6月7日より、全国劇場にて期間限定上映。11月13日には、Blu-ray&DVDが発売される。