第1弾・2弾の放送は、前述の通り日本民間放送連盟賞でテレビエンターテインメント部門優秀賞を受賞し、日本テレビ系列14局に番組販売が成立。

そうした実績に加え、「何よりうれしかったのは、こどもディレクターの皆さんに放送後に話を聞くと、“親と会話する時間が増えました”と皆さん言ってくれるんです。また、ディレクターの米山(敦也)が、全然会っていなかったお母さんを名古屋に連れてきたという話を聞いて、こどもディレクターをやってくれた人の変化だけでなく、視聴者の方がこの番組を見て、家族に何か聞いてわだかまりが解けるようなことが、僕たちの見えないところであるのかなと思ったときに、この番組をやって良かったなと思いました」と手応えを語る。

放送後、北山Dの母親のもとに多くの連絡が寄せられたそうだが、そこにあのエキサイトスーパータナカの社長が果物を送ってくれたのだそう。「僕に直接送らず、母の家に送るので、僕が取りに行って母に会うことになるじゃないですか。その機会を作ることを計算してくれているんです」という粋なはからいで、「社長さんの優しさを改めて知りました」と感謝する。

また、鈴子ママには「番組を観たい!」と言われて一緒に鑑賞すると、「見ている途中で、鈴子さんが“るーちゃん(北山D)も出てるんでしょ。こんな番組作る人間は、自分も親に聞きたいことがあるに決まってんだよ!”と言ったんです」とのこと。第1弾のスタジオ収録の本番前には、MCの斎藤工からも「流川さんが親御さんに聞きたいことがあるんですよね?」と、見透かされていたそうだ。

シソンヌ長谷川が涙…“あなただけの番組”に

第3弾となる今回は、小学生時代から高校時代まで反抗期がひどかった女性が、母親に当時どう思っていたのかを聞こうと取材を試みるも、本題を切り出せず3日も経過してしまうVTRが登場。彼女を代表例に、「皆さんの一歩踏み出す瞬間が見ることができた気がするので、何か物事に対して躊躇(ちゅうちょ)している人に、勇気を与えてくれるのではないかと思います」と見どころを語る。

またスタジオ収録では、シソンヌ・長谷川忍が、VTRの親子の物語と自分自身を重ね、自らの両親に思いを馳せて涙する場面があったが、「斎藤工さんもおっしゃっていたのですが、こどもディレクターの撮ってきた映像が“不完全”だから、自分の経験で補完して見る作品になっているんですよね。だからこそ、家庭環境が違えば全然違う物語に見えて、見終わった後の感情の矛先が自分になるので、人によって表情が変わっていく。そういう面で“あなただけの番組”になっているのではないかと思います」と分析。

それだけに、「もしかしたら、思い出したくない過去を思い出すこともあるかもしれません。それでも見て良かったと思ってもらうべく、読後感の良い番組になるようにしっかりと作っています」と力を込める。

そこで大きな役割を果たすのが、映像制作も手がける視点でもVTRの感想を語る斎藤工。北山Dは「僕のVTRも斎藤さんに温かい言葉をかけてもらって、自分もやって良かったと思えたので、斎藤さんがこどもディレクター全員を見守ってくださることが、この番組にとって本当に大事だなと思います」と感謝した。

  • 反抗期当時のことを母親(右)に聞こうとする真菜実さん

  • スタジオで涙を見せた長谷川

●北山流川
1994年生まれ、愛知県出身。立教大学卒業後、17年に中京テレビ放送入社。『PS純金』を経て、特番『ウマい!安い!おもしろい!全日本びっくり仰店グランプリ』でディレクターデビュー。レギュラーでは『ヒューマングルメンタリー オモウマい店』を担当し、『こどもディレクター』のほか、『オレの一行』『仕事の武器は恋の武器』『遠距離宅配バラエティ オカンからの荷物です。』といった単発番組も手がける。