JR四国は5日、特急形電車8000系のリニューアル車両(S編成)を報道公開した。車両コンセプト「瀬戸の疾風」を進化させたエクステリアデザインとし、客室にコンセントを設置。トイレをすべて洋式化した。12月23日の団体臨時列車から営業運転を開始する。

  • JR四国が特急形電車8000系(S編成)をリニューアル。運行開始に先立ち、12月5日に報道公開を実施

8000系は1992(平成4)年9月に岡山・高松~新居浜間でデビュー。1993(平成5)年に予讃線が伊予市駅まで電化された後、8000系はJR四国の電化区間を走る特急列車の主力車両となった。2004(平成16)年以降、指定席を中心とした大規模な車内リニューアルが行われ、車両外装を明るく落ち着いた印象のカラーリングに変更。現在、8600系とともに岡山・高松~松山間の特急「しおかぜ」「いしづち」で活躍している。

JR四国は2023年度以降、8000系の改装工事を順次行うとしており、高松駅発着の特急「いしづち」でおもに使用される3両編成のS編成からリニューアル工事に着手。このほど工事が完了し、同社の多度津工場で報道公開が行われた。

  • 8000系リニューアル車両の報道公開はJR四国の多度津工場で行われた

リニューアル後の8000系は、同じく特急「しおかぜ」「いしづち」で運用している8600系と共通のカラーイメージとすることで、岡山駅・高松駅から松山方面へ向かう特急列車を明確化する色彩デザインに。先頭車は非貫通タイプ・貫通タイプともに上部を濃いグレーの配色とし、その下に「シャインオレンジ」のラインをあしらった。「シャインオレンジ」は「瀬戸内の温暖な気候」「愛媛の柑橘」を表しており、先頭車から車両全体に配色することで、将来的に8両の長い編成を際立たせるデザインになるという。

運転台側の車体側面にロゴマークも配置。客室窓の周囲を配色し、窓下に「香川のオリーブ」をイメージした「フレッシュグリーン」のラインが入った。

今回リニューアルされたS編成は普通車のみ3両編成(6・7号車は自由席、8号車は指定席)。車内の座席は指定席と自由席で異なるカラーリングを採用し、光きらめく「柑橘」と「瀬戸内の海」をモチーフとしたモケットデザインとしている。指定席は腰掛を新製して取り替え、各座席の肘掛けにコンセントを設置。自由席は腰掛のモケットを張り替え、窓枠の下部にコンセントを新設した。デッキから見た乗降ドアのデザインも変更され、座席のカラーリングに合わせ、自由席の6・7号は青系、指定席の8号車はオレンジ系の配色となっている。

  • 8000系リニューアル車両の指定席

  • 各座席の肘掛けにコンセントを設置

  • 8000系リニューアル車両の自由席

  • 窓枠の下部にコンセントを設置した

  • デッキ側の乗降ドアもデザインを変更

  • 車内のトイレはすべて洋式化される

車内照明はLED間接照明とし、天井面だけでなく頭上の荷物棚面も照射することで、室内全体が明るく開放的に感じられる演出を行う。床の張替えやドア・窓枠改修も実施。トイレも美装化され、これまで和式だった6号車のトイレを洋式トイレに変更した。7号車に設置していた喫煙ルームを撤去し、座席を追加したことで定員が増加。8号車に設置していた自動販売機も撤去され、客室内に車いす移乗席を設置している。定員は6号車56人・7号車68人(リニューアル前より4人増)・8号車47人(リニューアル前より4人減)となった。

今回公開された3両編成のS編成に続き、来年夏には5両編成のL編成もリニューアル車両が登場予定。L編成の1号車はグリーン車で、「四国の芳醇なめぐみ」をモチーフとしたモケットデザインに。電動リクライニングシートでフットレストや読書灯も備えたハイグレードな座席になるという。L編成の5号車に、同社初という車いすフリースペースを設け、車いす利用者がグループでも快適に乗車できるようにする。