千葉市幕張新都心地区に拠点を置く企業5社と千葉市は、若手職員・社員のキャリア開発を目的とした異業種交流研修「まくはリンピック」を開催。その1日目のワークショップが11月2日に行われた。

約1カ月にわたってビジネスプランを練りプレゼンする参加者たちに向けて、千葉市市長の神谷俊一氏が講演を実施。千葉市や幕張新都心が抱える地域課題や将来構想について説明した。

■6団体の若手職員・社員が参加する「まくはリンピック」

「まくはリンピック」は、千葉市幕張新都心地区に拠点を置く企業の若手ビジネスパーソンたちが交流する異業種交流研修。設定されたテーマに基づいてグループワークやディスカッションを通じて、分野や企業などバックグラウンドの異なる社員・職員が強みを持ち寄り、地域に根ざしたビジネスプランの提案を行う。

2016年から開催されており、8回目の開催となる今回は業界・業種の異なる6団体の若手職員・社員が集まった。今年から新たに「千葉興業銀行」が参加団体として加わっており、「ウェザーニューズ」「イオン」「NTT東日本 千葉事業部」「富士通 Japan」「千葉市」の5団体は、昨年から引き続きの参加となっている。

各団体は「まくはリンピック」に参加する若手メンバーを6~7名ずつ選出。原則、各団体1人ずつで構成された6~7名グループに分かれ、各チームによるプレゼンテーションが最終日に行われる。

そこでの審査によって金賞・銀賞・銅賞を表彰。金賞グループには千葉市長とのミーティングが実施されるほか、上位3グループには各団体から提供される賞品が授与される。

審査員は各団体から1名ずつ選出されており、プレゼンを行う参加者自身も自身のグループ以外の発表を採点する。具体的な採点項目は大きく「企画力」と「プレゼン力」の2つに分かれ、各40点の80点満点となっている。

■転機を迎える幕張新都心の今後

このほど開催された1日目のワークショップでは各参加団体の事業紹介が行われた後、各グループ内でメンバーによる自己紹介など、チームビルディングのためのグループワークやディスカッションなどが中心に行われた。

また、今年度のプレゼンのテーマは千葉市が昨年策定した「千葉市基本計画」のメインコピーである「みんなが輝く都市と自然が織りなす・千葉市」とのことで、本会の最後には千葉市の神谷市長の講演も行われた。

「鉄道や幹線道路の結節点で交通の要衝である千葉市は、自然環境にも恵まれた場所です。まちの歴史としては1126年に千葉常重という武将が本拠を構えたことで、まちの繁栄が始まったとされています」と、神谷氏は千葉市の概要について説明した。

千葉市には、文教のまちとしてのカラーが強い稲毛区や自然豊かで農業も盛んな若葉区・緑区など、それぞれ表情が大きく異なる6つの行政区がある点が特徴だという。

「歴史と自然、都市機能が備わる千葉市は何でも揃っている素晴らしい街ですが、その裏返しとして都市のアイデンティティがはっきりしないという面もあります。市としては歴史と自然に着目し、重点的にPRしていこうということで、『加曽利貝塚』『オオガハス』『千葉氏』『海辺』の4つを起点に、多彩な地域資源の活用を推進しているところです」

また、幕張新都心に関しては「1989年の“まちびらき”から30年以上が経ち、今後どういう街にしていくのか考える上で、いま大きな転機を迎えているタイミング」とのことで、千葉市が昨年策定した将来構想の内容を紹介した。

「エリア全体で価値の維持・向上ためにマネジメントしていけるような組織を組成・育成。これまで幕張新都心らしさを構成してきた『職・住・学・遊』それぞれの方向性で、継続的なイベントの開催や目を引く企画をしていく。市が中心となって関係者をお引き合わせしながら、取り組みを進めていきたいと考えています」

1990年に竣工したZOZOマリンスタジアム(旧・千葉マリンスタジアム)は、潮風の影響などで老朽化が進んでおり、その今後の動向も幕張新都心エリアの将来像を考える上でのポイントと説明する。

「現在、幕張新都市の中での新設を最優先しつつ、いろんな可能性を探っていますが、単なるスタジアムの改修・移転ではなく、もう少し広いゾーンとして開発をしていく必要があります。プロ野球の興行が可能なスタジアムはそもそもスペックが高く、スタジアム経営に参画いただける企業を募らなければいけません。音楽ライブなどは1~2万人が基本なのでバスケのアリーナ向きですし、3万人規模の球場とくにドームの野球スタジアムは資金回収が難しい。オープン型のスタジアムにした上で、宿泊や商業施設と一体で整備する周辺開発を行うことでマネタイズしていくことが大切です」

■「挑戦都市のDNAを守っていきたい」

幕張新都心エリアでは今年3月に幕張豊砂駅が開業。これまで唯一の最寄り駅だった海浜幕張駅の混雑緩和や周遊性の向上も見込まれているという。イオンモール幕張新都心に直結する新駅を軸に、“拡大地区”として周辺地域の土地活用も見直していくようだ。

「幕張新都心は新時代のモビリティサービスの実証実験の場としても注目されています。路線バスやタクシーなど従来の地域の公共交通だけでは対応できなくなる時代がすでに来ようとしていますが、幕張新都心は国家戦略特区として、新しい地域内移動の手段を生み出していく。そのためのさまざまな取り組みを行っているところです」

自動運転車の技術的な検証するための公道での実証実験のほか、サービスインを前提とした新時代のモビリティのシェアサービスの需要調査なども実施。ラストワンマイルの課題解決に向けたドローンの宅配実験についても紹介した。

「千葉市には次世代の挑戦を支えてきたフィールド・文化があります。よく例に挙げられるのが民間航空機発祥の地である稲毛海岸ですが、そんな挑戦都市のDNAをしっかり守っていきたいと考えています」

人口98万人の千葉市だが、コロナ禍でも外国人の住民は3万人を超えるまでに増えているそうで、しっかりとした共生社会を形成していくことの重要性についても語った。

「千葉市においても人口減少は避けられないと考えており、ピーク迎えつつある人口の減少を緩和・抑制していく施策が今後極めて重要です。人手不足の問題を踏まえれば、海外から人を受け入れていくことが必要ですし、日本に来ていただけなくなる可能性もけっこう高いと私は思っています。アジア諸国も少子化が進んでいることなどもあるので、中東やアフリカといった国の方々も含めて考えないといけないかもしれません。都市機能と自然環境をさらに磨き、人口減少も緩やかなかたちにしていくことで千葉市の拠点性を維持していきたいと思っています」

講演の最後には質疑応答も行われ、参加者たちは真剣な表情でその話に耳を傾けていた。「まくはリンピック」の今後のスケジュールについては、各グループの進捗など確認する2日目の中間日が11月24日に設けられている。プレゼンと審査が行われる最終日は12月8日の予定だ。