NTT東日本は、新入社員が現地で地域課題を体験し、地域活性化の提案を行う研修会を実施している。9月には同研修が栃木県那須町の那須ハイランドパークで開催された。那須町でのワークショップの模様とその狙いについて伺ってみよう。

  • 栃木県那須町の那須ハイランドパークで行われたNTT東日本の新入社員研修会

遊園地やアスレチックで交流し地域活性のアイデアを立案

NTT東日本グループは近年、地域活性化の取り組みを加速させている。地域社会とのつながりをさらに強化し、地域とともに循環型の未来を作ることが同社のパーパスと言える。このような背景から行われているのが、地域密着型の社員研修だ。

6月には長野県南佐久郡南相木村でワークショップを開催。これに続いて行われたのが、栃木県那須町で9月に行われたワークショップとなる。

  • 那須ハイランドパークにあるワーケーション向けの会議室で行われたワークショップ

研修の参加者は新卒と中途の新入社員。年齢層が20代前半から30代まで幅広く、まずはグループ内で交流を深める必要があった。

そのきっかけとして活用されたのが、那須ハイランドパークや空中アスレチック『NOZARU』、レストラン『ル・ロージェ』といった藤和那須リゾートの環境。参加者たちは自然の中で1日かけて交流し、チームビルディングや同期間のつながりを作っていった。

参加者は「宿泊施設が新卒採用と社会人採用の2人部屋で、社会人としての経験談を聞けた」「他支店の同期と初めて交流し、自分が持っていない視点からの意見を知ることができた」と1日目を振り返る。

そして2日目、那須ハイランドパーク会議室でグループディスカッションに望む。テーマは「ワーケーション体験を通じて、自治体・民間企業各々の立場から、地方観光地の地域活性化、地方創生を考える」。

那須町役場から事前情報として地域の特長や課題についての説明を受けると、那須町に地域活性化の提案づくりを進めるのだった。

  • はじめに那須町の現状とDX推進の状況が那須町役場から語られた

  • NTT東日本において地方創生に関するICTを専門としている「DX推進アドバイザー」

各グループは、ときには那須ハイランドパーク内を散策しながら、ときに那須町や藤和那須リゾートからのアドバイスを聞きながら発表テーマを絞り込んでいく。

参加者からは「社会人採用のメンバーは新卒採用者に無い知識や経験を持っているので、(新卒だけで集まった)今までのグループワークとの違いを感じる」「地域に密着した仕事は初めてなので、これまでと異なる気付きがある」などの声があがっていた。

  • すでに業務経験のある中途入社メンバーが主にリーダーシップを取りつつ進むグループワーク

  • 那須ハイランドパークで現地の様子を体験しつつ、昼食中も熱く議論を続ける

那須町、藤和那須リゾート、NTT東日本が彼らに期待しているのは、課題分析や現実的な立案よりもアイデアベースの自由な発想だ。半日にわたるグループディスカッションを終え、各グループは那須地域を中心とした「地域活性化のさまざまなアイデア」を発表した。

  • 那須町の現状を振り返りつつ、地域活性化のアイデアを披露する参加者たち

  • 新入社員の提案を講評する関係者のみなさん

参加後の感想では、「新卒入社と社会人入社、それぞれバックボーンが異なるメンバーが一緒になっても妙な対立がなく、終始良い研修でした」「グループ内ではジェネレーションギャップがあったが、ポジティブな意味で気付きもあった。世代を超えた意見をまとめてブラッシュアップし、お客さまへの提案に紐付けたい」と研修の感想と今後の抱負が寄せられている。

この研修を終えた新入社員たちは、自身の活動エリアに戻って営業活動を行うが、人間関係や物事の見方が配属県に閉じてしまわないよう、配属県を越えて同期間で交流をもたせることも研修の目的のひとつと言える。

町民と観光客に向けたDXを推し進める那須町

藤和那須リゾートが今回の研修先として選ばれた理由は、NTT東日本がワーケーション環境の構築に関わっていたからだという。ワーケーションを実際に体験することで、その効果と地域社会の現状についての気付きを得てほしいというのが狙いだ。

「大自然の中で体を動かしながらチームワークを高めていくのは、那須だからできることと言えます。この研修が新入社員の成長につながれば嬉しいです」とNTT東日本 栃木支店 ビジネスイノベーション部 第二バリュークリエイトグループ カスタマーリレーション担当 馬場武蔵氏は話す。

  • NTT東日本 栃木支店 ビジネスイノベーション部 第二バリュークリエイトグループ カスタマーリレーション担当 馬場武蔵氏

藤和那須リゾート DX担当の千頭和仁氏もまた、「非常にいい機会を頂いたなと思いました。那須地域は観光地として栄えてきた地で、非常に多くの人が訪れます。いろいろな意見をいただいて発展していく土地柄だと思っていますので、今回の企業間交流は非常に良い足がかりだと思います」と取り組みを歓迎した。

  • 藤和那須リゾート DX担当 千頭和仁氏

他の観光地同様、那須地域もコロナ禍で観光客が減少し、大きな打撃を受けた。いまはようやく客足が戻りつつあり、再スタートを切ろうというタイミングだ。

ここで観光客に向けたDXを進めることができれば、今後の発展につながる新たな可能性も見えてくるかもしれない。だが他の地方自治体の例にもれず、那須町も住人の高齢化率は高い。

栃木県那須町 地域活性化企業人として活動する松井彩氏は、「町民へのDX浸透は丁寧に進めていく必要があると認識しています。いま我々が力を入れているのはICT教育です。子育てしやすい町を目指して、子ども1人1台のタブレット環境を実現しました。子どもたちを起点として、町をDXしていくことを目指しています」と、那須町の課題と取り組みについて述べた。

  • 栃木県那須町 松井彩氏

同町のDXにおける基本指針は、「デジタルを用いて人々の生活を豊かにする」という点にある。9月には国土交通省の実証調査としてWebアプリ「那須町ふるさとアプリ」も立ち上げられており、那須町でDXが活用される未来はすでに近くまで来ている。

地域のDXを一企業で実現することは難しい。今回の研修のように、さまざまな企業や団体が集まってこそ達成できる目標と言えるだろう。那須町に住んでいる方、那須地域を訪れた方が快適で豊かに過ごせるよう、DXが進むことを期待したい。

※組織名称は取材時のもの