JR九州は26日、福岡・大分デスティネーションキャンペーンの開催に合わせ、2024年春にデビューする新しいD&S列車の列車名を特急「かんぱち・いちろく」に決定したと発表した。久大本線全線開通の実現と、現在の久大本線を形作ることとなった歴史的にも縁深い麻生観八氏と衞藤一六氏の名前から列車名を採用した。

  • キハ47形の特急「いさぶろう・しんぺい」イメージ(画像提供 : JR九州)

新D&S列車「かんぱち・いちろく」は3両編成。特急「いさぶろう・しんぺい」として運行していたキハ47形2両を1・3号車とし、キハ125形1両を2号車のビュッフェ車両として使用する。コンセプトは「ゆふ高原線の風土を感じる列車」とし、「“風土”すなわち、その土地の気候や地勢、そこから生み出される土地の食や風習、風景を五感で楽しむ列車」とのこと。

博多駅からゆふ高原線(久大本線)を経由し、由布院駅・別府駅までの間を1日あたり片道1便運行(木曜日運休)、博多~別府間の所要時間は約5時間を予定している。博多駅から由布院駅・別府駅まで、月・水・土曜日に特急「かんぱち号」の列車名で運行。別府駅・由布院駅から博多駅まで、火・金・日曜日に特急「いちろく号」の列車名で運行する。全席グリーン席の車内で、ゆふ高原線沿線の食材を中心に、福岡・大分両県の魅力が詰まった食事(弁当)を提供する。

  • キハ125形イメージ(画像提供 : JR九州)

  • 麻生観八氏(画像提供 : JR九州)

  • 衞藤一六氏(画像提供 : JR九州)

列車名の由来となった麻生観八氏は、舟来屋(現八鹿酒酒造)の3代目で、数多の反対を受けながらも久大線敷設の実現をめざし、運動を続けた人物。20年を越す絶え間ない努力の末、1929年(昭和4年)に久大本線の引治駅、恵良駅、豊後森駅が開業したが、前年に63歳でこの世を去っている。

衞藤一六氏は旧大分県農工銀行頭取を務めた人物。1923(大正12)年の小野屋~湯平間開通後、路線をさらに西へ進めていく中で、湯平駅を過ぎたあたりで線路をカーブさせ、北由布・南由布両村を通すよう働きかけた有力者とされる。カーブの部分に南由布駅と北由布駅(現・由布院駅)を設け、地元でこのルートを「一六線(一六曲がり)」と呼ぶようになったという。

なお、車両レイアウト、車両外観・内装デザイン・運転時刻・運転日・停車駅・車内サービス・発売額・発売方法等については、詳細が決まり次第、順次発表する。