ニコン・エシロールが展開する遠近両用ブランド「バリラックス」は9月27日、「日本特有の老眼問題の実態と世界の老眼市場調査」の結果を発表した。同調査は6月30日~7月6日、45歳以上の日本在住のメガネ保有者556人を対象に、インターネットで実施した。

  • 年齢と共に遠くなる近点

同社によると、人の目は10歳を過ぎたあたりから少しずつ機能が低下するという。10歳では、十分な調節力を有しているため眼前8cmくらいまではよく見えるが、20歳ではその距離は約11cm、30歳で約14cm、40歳で約22cm、45歳を過ぎたあたりからは35cmまで遠ざかる。50歳で約50cmになり、老眼現象は60歳で約100cmまで遠ざかっていくと言われている。

2023年現在、日本の人口は約1億2,400千万人だが、老眼のターニングポイントである45歳以上は約7,000万人で、その割合は56%を占める。日本は人口の半数以上が老眼という老眼大国だという。

  • 45歳以上の人口比率

45歳以上の日本在住のメガネ保有者に、実際に「見る」ことに対して、具体的にどのように感じているか尋ねたところ、読書がしにくくなるといった「機能的な悩み」や、老人になったように感じる「情緒的な悩み」、今後もっと見えなくなるのではないかという「将来への不安」の3つの不安心理が存在することがわかった。

遠近両用レンズの普及率調査を見ると、フランスは70%、アメリカが53%、日本は44%だった。日本は欧米と比較すると老眼対策である遠近両用レンズの普及が遅れをとっている。日本の遠近両々レンズの普及率が低い理由としては、遠近両用レンズの認知率は98%と高いものの、「使用する必要性も感じていない」という回答が44%を占めている。

  • 欧米の遠近両用レンズの普及率

遠近両用レンズの普及率が高いフランスと日本の累進レンズ市場を比較した。市場規模では、フランスが日本の2倍以上であるのに対し、45歳以上の人口は1/2以下。日本の平均単価は3万3,000円だが、フランスでは倍以上の7万8,000円となる。価格はレンズとフレームがセットになったスタンダードプライスが日本は約7割だが、フランスでは4割以下だった。プレミアムプライスでは、フランスは全体の約4割を占めているのに対し、日本ではわずか4%となっている。

  • 日本とフランスの累進レンズ市場の違い