――2.5次元作品を中心に活躍されていますが、もともと2.5次元作品に出演したいと思っていたのでしょうか。

そういうわけではなく、いろんなご縁に恵まれて出演させていただいています。

――2.5次元作品のやりがいはどのように感じていますか?

2.5次元もほかの作品も、向き合い方は結局変わらないと思うようになりました。いただいた台本の中で、作品を面白くするためにどうすればいいのか、役やほかの役者さんや演出家の方と向き合っていく過程は同じで、そこにキャラクターというのが一つあるだけなのかなと思います。

  • 蒼木陣

――熱烈な原作ファンの方もいるということで、プレッシャーを感じることはありますか?

原作という確立された正解があり、キャラクターを好きなお客様たちがたくさんいらっしゃるというプレッシャーはあります。また、『刀剣乱舞』のムツ(陸奥守吉行)も『鋼の錬金術師』のロイ・マスタングも、今の自分には早いのではないかと、年齢感や人生観が追いついていないのではないかというところからの出会いだったので怖かったです。でも、その不安をかき消してくれる人との出会いが各現場にあり、演じるキャラクターが寄り添ってくれる瞬間もありました。自分が沈んだときにムツの明るさに救われ、だから走り抜けられたのだと思いますし、たくさん苦しい時間を乗り越えたから、そのキャラクターとしてステージに立ったときに受け入れていただけたんだろうなとか思いました。

――等身大ではないキャラクターを演じられたというのは大きな自信になりそうですね。

自信になった気がします。

■親友の本田礼生がいなかったら「きっと役者はやっていない」

――遡って、芸能界を目指したきっかけも教えていただけますか?

俳優の本田礼生くんと中学1年生の時に同じクラスになって、礼生からブレイクダンスをしようと誘われてブレイクダンスを始め、ダンスって楽しいなとか思いながら礼生と過ごす中で、2人とも「芸能界ってかっこいいな」というふわっとした憧れを抱いていました。でも、愛媛の中学に通っていたので、東京は遠い世界で、芸能界なんて本当に遠い世界で、挑戦せず普通に学生生活を送っていましたが、どこかで芸能界に対する憧れがあったので、20歳になって専門学校を卒業するタイミングで、役者を目指して上京しました。

――親友の本田さんと2人とも夢を叶えているってすごいことですよね。

ありがたいですね。礼生がいなかったらきっと役者はやっていないと思いますし、背中を押してくれた人です。

――今はお互いの活躍を見て、刺激し合う関係ですか?

そうですね。この間の『刀剣乱舞』の感謝祭で、1日だけ礼生が参加する日があったのですが、感慨深かったです。しょっちゅう連絡も取り合っていて、家族です。相談事は一番にしますし。でも、半年ぐらい連絡を取らない期間もあったり、家族ってそんな感じですよね。

  • 蒼木陣

■30代になって芽生えた心の余裕「ありのままの自分でいいと思えるように」

――今31歳ですが、30代になってから意識の変化はありましたか?

心に余裕ができたのは大きな変化だと思います。オーディションに落ちてもへこまなくなったというのも、心に余裕ができたからだと思いますし、ありのままの自分でいいんだなと思えるようになりました。

――何かきっかけがあったのでしょうか。

この1~2年での変化ですが、これまでの経験の積み重ねで変われたのかなと思います。ソロ公演でも、ありのままの自分を楽しんでくださるファンの方々の空気を感じられて、そういった積み重ねが自分を構築してくれているのだと思います。