――今後はどういう風になっていきたいと思い描いていますか?

具体的なビジョンはないんです。出会うべきときに出会うべき作品や役、人と出会えると思うので。今度、ミュージカル『時をかける少女』をやらせてもらいますが、今このタイミングでソロナンバーがあるミュージカルと出会えたことにも意味があると思っているので、そのとき出会えたお仕事と向き合っていったら、自然と楽しいと思える自分でいられるのかなと思っています。

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――今は舞台が主戦場となっていますが、舞台のやりがいは大きいですか?

舞台の好きな時間がカーテンコールの時間で、映画やドラマでは味わえない感覚なんです。1つの作品が終わって、お客様の前で礼をして拍手をいただくというあの時間が大好きで、その瞬間のために舞台をやっているのかなとか思います。幸せですね。10周年公演のときもお客様の拍手にすごく勇気をもらいました。

■映像作品にも意欲「いろんな場所でいろんな人と出会えたら」

――映像作品に対する思いもお聞かせください。

機会があれば映像作品にも出演したいです。一生舞台役者でやっていきたいわけでもなく、映像の役者に絶対になりたいわけでもなく、自分が楽しく表現できる場所があれば、そこでやっていきたいなと。人との出会いも大切にしたいと思っているので、場所にいらぬこだわりは持たず、いろんな場所でいろんな人と出会えたらいいなと思っています。

――先ほど、カーテンコールの時間が大好きだとおっしゃっていましたし、活動の幅を広げたとしても、舞台から離れることはなさそうですよね。

やっていきたいですね。ソロ公演で理想の形を作ることができ、いろんなクリエイターさんと作品を作らせてもらったのですが、来年も再来年も、自分の好きなことを表現できる場所にソロ公演がなっていったらいいなと思いました。そして、来てくださる方がいないとできないので、ずっと応援してもらえる役者でありたいと思える機会にもなりました。

――最後にファンの方にメッセージをお願いします。

皆さんのおかげで自分の表現が好きになれていると思います。1人の役者を応援するってすごいエネルギーだなと、20代後半から改めて強く思うようになっていて、出演している作品を見てくださるって本当にありがたいことだなと感じています。これからも変わらず、いろんな表現を届けられる役者でいられるように頑張ります。

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■蒼木陣(あおき・じん)
1992年5月26日生まれ、大阪府出身。2015年、ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズンの喜多一馬役で注目を集め、2016年、『プリンス・オブ・ストライド THE LIVE STAGE』の藤原尊役で初主演、2019年、「舞台『刀剣乱舞』維伝 朧の志士たち」の陸奥守吉行役で初の単独主演を務める。そのほかの主な出演作は、「舞台『鬼滅の刃』其ノ参 無限夢列車」(2022)猗窩座役、舞台『鋼の錬金術師』(2023)ロイ・マスタング役、映画『君たちはまだ長いトンネルの中』(2022)武藤あつし役など。10月6日~10日に上演されるミュージカル『時をかける少女』では、深町一夫/ケン役を務める。