昨年、10カ月ぶりに入った作品が『どうする家康』だったという広瀬。とても学びの多い現場になったと振り返る。

「10カ月ぐらいお仕事から離れていて、復帰作がこの大河でしたが、この作品で本当によかったなと思いました。時代劇はあまり経験がなかったので、所作や笛など、いろんな稽古を重ねて1から役を作っていき、改めてお芝居ってどんなだったかというのが学べました。20代後半で新しく学ぶことは少なくなってくると思うので、大きな経験に。一つ一つを丁寧に演じるというのはとても学びでした」

お芝居の楽しさも改めて実感できたという。

「ちゃんと気持ちが入って於愛として殿と会話する楽しさ。程よい緊張感で、ちょこっと心臓がバクバクしながらセリフを言い、終わったあとには達成感があるという楽しさがありました」

■「松本潤さんのお尻を叩くって…」初登場シーンを回顧

クスっと笑えるシーンもあり、視聴者にも癒やしを届けてくれた於愛。家康の尻を叩いた初登場シーンはインパクトがあったが、このシーンの裏話も話してくれた。

「『どんどん来てくれ。遠慮しなくていいから』と言われたんですけど、松本潤さんのお尻を叩くって、けっこうすごいことだなと。どうしても遠慮してしまっていましたが、やっているうちに慣れてきて強くなっていきました。贅沢な時間でした(笑)。その後、第35回でもう1回殿のお尻を叩くシーンがありましたが、あれは一発OKでした」

第30回では、鷹の世話係をしていた本多正信(松山ケンイチ)の真似をして於愛も「ホウ!」と声を出すというシーンが描かれ、視聴者の笑いを誘った。広瀬もこのシーンを大いに楽しんだという。

「松山さんとの『ホウ!』は渾身のシーン(笑)。やっとめちゃめちゃふざけられるぞと思いました。松山さんがだいたいリハーサルで自由なお芝居をされるので、それに乗っかればいいなと。正信さんとの2人のシーンは少ないのでご一緒できてうれしかったです」

以前、役者人生の転機として、女芸人・リリコを演じたNHK連続テレビ小説『わろてんか』(2017~2018)を挙げていた広瀬。同作でコメディエンヌとしての才能が開花し、その魅力が広く世に知れ渡ることになったが、於愛はそんな広瀬らしさも存分に生きた役となった。

「於愛という役を演じられて本当によかったなと思っています。私も場をパッと明るくすることは得意分野で、改めてそれを再確認できましたし、演じていて楽しかったです」

大河ドラマへの出演は本作が初めてとなった。

「全部がすごいです。1日2日でセットが変わる。同じセットなのに世界観が変わるし、毎回新鮮な気持ちで現場に行けて、扮装も重みがある。その重みが役への重みに感じ、自然と身が引き締まり、背筋もピンと伸びました」と振り返ると、「また挑戦できるのであればぜひという感じです」と2度目の大河ドラマ出演にも意欲を見せていた。

■広瀬アリス
1994年12月11日生まれ、静岡県出身。2008年、ドラマ『ファイブ』でデビュー。近年の主な出演作は、ドラマ『探偵が早すぎる』シリーズ(18・22)、『ラジエーションハウス』シリーズ(19・21)、『七人の秘書』(20)、『知ってるワイフ』(21)、『恋なんて、本気でやってどうするの?』(22)、Amazonプライム『失恋めし』(22)、映画『AI崩壊』(20)、『地獄の花園』(21)、『劇場版ラジエーションハウス』(22)、『七人の秘書 THE MOVIE』(22)など。10月17日スタートのTBS系ドラマ『マイ・セカンド・アオハル』で主演を務める。

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