2000年代に流行した前略プロフィール(前略プロフ)。手軽に自分のホームページが作れるため、コミュニケーションツールとして人気を集めていました。

本記事では前略プロフィールの流行の理由やサービスの内容、黒歴史と言われる所以、現在の状況などを解説します。mixiなど、X(旧Twitter)やFacebookが流行る前に人気となったSNSの歴史も振り返ってみましょう。

  • 前略プロフィールとは

    前略プロフィールについて、意味や流行の理由、現在の状況などを解説します

前略プロフィール(前略プロフ)とは

まずは前略プロフィールとはどのようなサービスか、概要について詳しく解説します。

前略プロフィールとは、2000年代に流行した自己紹介ページ作成サイト

前略プロフィールとは、かつて若年層を中心に爆発的な人気を誇った、自己紹介ページ作成サイトの名称です。

2002年にキープライムによりサービスが開始され、2003年に楽天がキープライムを子会社化した後は、楽天のサービスの一つとして運営されていました。

会員数は2007年に445万人、2009年に540万人、2010年には630万人と成長していき、「日本最大級のプロフィールサイト」と呼ばれるようになります。

前略プロフィールはメールアドレスだけで登録できる上に、パソコンのほか携帯電話からも手軽に利用できるサービスです。

数十項目の簡単な質問に回答するだけで自分のプロフィールページを作成でき、写真の掲載もできるため、ガラケーを使う中学生・高校生の女性を中心に2000年代に流行しました。

なお2012年には、本サービスは楽天からザッパラスへ譲渡されています。

前略プロフィールが流行した理由

無料サービスのため誰でも利用できる気軽さが、前略プロフィールの人気の理由の一つです。

さらにそれ以外で、前略プロフィールが流行した理由について解説します。

質問に答えていくだけで自分のホームページができる気軽さ

前略プロフィールはメールアドレスを登録し、数十項目の質問に答えていくだけで、簡単に自分の紹介ページが作成できます。

質問項目は性別や誕生日、趣味といった基本的なもののほか、「前世」「世界平和に必要なのは」「生まれ変わったら」といった、ユーモアが試されるような項目があるのも特徴。

プログラミング言語を知らなくても、簡単に自分のページを作り個性を主張できるという手軽さ、便利さが、人気となった理由だと考えられます。

URLを友人同士で教え合う

自分のプロフィールページを作ったら、友人同士で携帯電話を直接見せ合ったり、URLを教え合ったりするのが、前略プロフィールの主な使い道です。前略プロフィールは、いわば名刺代わりのようなものだったのです。

クラス替えのときなどに、前略プロフィールを見せるだけで、相手のだいたいの人柄が把握できます。

ゲストブックと呼ばれる掲示板やコメントのような機能もついており、訪問者とのコミュニケーションツールとしても利用されていました。

ページの最後にはリンク集をつけられるため、友達のページやお気に入りのページへのリンクも可能です。リアルタイムブログ(通称リアル)のリンクを掲載する人も多くいました。リアルタイムブログとは自分の今の状況を報告するもので、現在で言うX(旧Twitter)のようなものです。

前略プロフィールは黒歴史という声も

当時一世を風靡した前略プロフィールですが、「黒歴史」と感じる人もいるのではないでしょうか。

ここでは黒歴史という声が上がる理由を紹介します。

解読不能なギャル文字

当時、前略プロフィールをギャル文字で記載していた人も多くいました。ギャル文字とはカタカナや漢字、記号などを組み合わせて、既存の文字を表す方法、またその文字自体のことです。

例えば「なかよし」をギャル文字にすると「ナょカゝょU」などとなります。小文字や半角カタカナなどを活用するのも特徴です。「まじ」を「まぢ」と書くのも定番でした。

一見すると解読不能なギャル文字は、主に当時の女子中学生・女子高校生の間で流行していました。世代である筆者も当時、前略プロフィールでギャル文字を使用していましたが、読みにくい文章がなぜ人気だったのかはいまだにわかりません。

彼氏への思いを熱く語る

彼氏を「ダァ」と呼び、その愛を宣言する女性が多かったのも、黒歴史と言われる理由でしょう。

例えば「好きな男性のタイプ」の回答に「ダァ一筋!スキスキ!ずっと一緒だよ」などと、当時の彼氏への愛を語っている人も多かったのではないでしょうか。彼氏とのキスプリ(キスをしながら撮影したプリクラ)の画像を載せたり、付き合った記念日を「since (日付) ~」の形で載せたりする人もいました。

公の場で彼氏への熱い思いを語っていた人にとっては、今となっては最後まで読み返せないほどの黒歴史になっているかもしれません。

恥ずかしげもなく堂々と載せていたポエム

前略プロフィールで多いのが、ポエム調での文章です。筆者の周りにも、例えば以下のような熱い思いを載せている人が多く見られました。

「毎日一緒にいれて幸せ。これからも一緒にいられるの?ずっと一緒にいたいよ」

口頭だと恥ずかしくて言えないようなセリフを載せられるのも、前略プロフィールの特徴です。自分の世界に浸りきったクサイ言葉をポエム調で載せていた人にとっては、前略プロフィールは赤面必至の黒歴史と言えるでしょう。

前略プロフィールの現在

前略プロフィールは、2016年8月末に新規会員登録、発言や書き込みなどのアクションが停止され、同年9月末にサービスが終了しています。

原因はmixiの台頭、さらにX(旧Twitter)やFacebook、InstagramといったSNSサービスが開始されたため、ユーザー離れが加速したことだと考えられています。

ほぼ同時期に登場したmixiとは

2002年に前略プロフィールが登場した後、ほぼ同時期の2004年に登場したのがmixiです。

mixiはX(旧Twitter)やFacebookが普及する前の2000年代~2010年代に大変な人気を博した、当時国内最大と呼ばれたSNSです。

ユーザー登録数は2006年に500万人、2007年に1000万人、2008年には2000万人と急成長していきました。当初は既存の参加者から招待されて登録できる仕組みでしたが、2009年の春より招待状無しでも登録できるようになりました。

自分のページを訪れた人を把握できる「あしあと機能」を搭載しているのが、mixiの特徴です。そのほかの主なサービス内容は、以下の通りです。

  • プロフィール
  • 日記
  • フォトアルバム
  • コミュニティ
  • メッセージ機能

など

また友人同士でつながることを「マイミク(マイミクシィ)」と呼びます。マイミクになると、自分や友達のリストに表示されたり、相手を紹介する他己紹介の文章を掲載できたりします。このように友人同士で楽しめるのも、mixiが人気の理由と言えるでしょう。

X(旧Twitter)やFacebook、Instagram、LINEといったSNSの普及により、mixiユーザーは減少しました。しかしキラキラした世界を載せなくてはいけないというプレッシャー、炎上騒ぎなどが多い昨今のSNSへの疲れや、昔から使用している安心感もあってか、サークルのようなゆるい感覚で利用している人が2023年現在でもいるようです。

前略プロフィールはサービス終了してしまったが、SNSの先駆け的存在とも言える

前略プロフィールとは、2000年代に主に女子中学生・女子高校生の間で流行した自己紹介ページ作成サイトです。友人にURLを教えて、プロフィールを見せ合えることで人気となりました。

mixiやX(旧Twitter)、FacebookといったSNSの普及の影響もあり、前略プロフィールは2016年にサービスを終了しています。

しかし前略プロフィールは、インターネットが身近になり始めた時代を支えた、元祖SNSと言っても過言ではありません。もしもサービスが再開されたら、ぜひまた利用してみたいものですね。