「生む」と「産む」は、いずれも「うむ」と読む言葉です。非常に近い意味を持ちますが、細かい部分に違いがあります。

本記事では「生む」と「産む」について、詳しい使い分けとそれぞれの意味や例文を紹介。言い換え表現もまとめました。

  • 「生む」と「産む」の違いとは

    「生む」と「産む」の違いやそれぞれの使い方と例文、類語などを紹介します

「生む」と「産む」の違いとは

「生む」と「産む」は、どちらも共通して「何かが新たに誕生すること」を指す言葉です。

しかし「生む」は「お金を生む」や「傑作を生む」など、生き物以外の物事も含め、広い意味での誕生を表す際に使われます。

一方「産む」は主に、哺乳類における出産や、爬虫(はちゅう)類・鳥類における卵の放出などに限定して使われるという違いがあります。

また「生む」はそれまで無かったものが母体から「出る」「出た」という事柄に重きを置いているニュアンスがありますが、「産む」の場合は母体から「出す」という瞬間の出来事に重きを置いているニュアンスがあります。

「生む」と「産む」のそれぞれの意味

  • 「生む」と「産む」の意味

ここでは、「生む」「産む」のそれぞれの意味を、より詳しく見ていきましょう。

「生む」の意味

「生む」は、新しいものを誕生させたり作り出したりするという、広い意味を持っています。

まず人間をはじめとする、さまざまな動物の誕生について使用可能です。人間や人間以外の動物、卵が母体から出た際に「生む」「生まれる」「生まれた」などのように使用します。

また生物以外の何かを新しく作り出したとき、この世に送り出したときにも使えます。

例えば小説を書いていて傑作が誕生したら「傑作が生まれた」と表現できます。ビジネスで企業が利益を出した場面でも「利益を生む」と表現できます。

「産む」の意味

「産む」は「生む」よりも使用できる意味合いが狭いです。主に母体が子どもや卵を体外に出すときの表現として使用されます。

人間や動物の母親が子どもを出産する瞬間、爬虫類や鳥類、魚類などの母体が卵を体外に放出する瞬間を切り取って表す場合に使われます。

人間の赤ちゃんは「生む」「産む」のどっちが正しい?

人間の赤ちゃんが誕生したときは、「産む」が正しい表現です。「産む」は出産の瞬間を指して強調する場面で使用されます。

例えば「妻が娘を産む瞬間に立ち会うことができた」といった具合です。

ただし、「生む」も間違いではありません。「生む」は用途や瞬間を限定せずに、広く使うことができます。

例えば「あなたが生まれたのは今から30年前」「彼女は30年前にあなたを生んだ」など、出産の瞬間のことではなく、この世に生を受けた、出たという事柄全体を伝えるシーンで使用する場合は「生む」が正しいと言えます。

卵は「生む」「産む」のどっちが正しい?

卵の場合も人間の赤ちゃんのときの考え方と同様です。

「今、ウミガメが卵を産んでいます」や「ニワトリが卵を産んだのは今朝です」など、母体が卵を体外に出す場面を指して強調する場合は「産む」が正しい表現です。

一方で、「地元の養鶏場のニワトリが生んだ卵が売られている」など、この世に現れたという事柄全体を表現するときは「生む」を使用します。

考え方は哺乳類でも爬虫類や鳥類でも同じです。出てきた瞬間にフォーカスしているかどうかがポイントです。

「生む」と「産む」の正しい使い分け・例文

  • 「生む」と「産む」の正しい使い分け・例文

「生む」と「産む」を正しく使い分けられるように、それぞれの例文を読んで使い方を整理していきましょう。

「生む」の正しい使い方・例文

「生む」は、これまでになかった新しいものの誕生全体を指します。人類をはじめとする哺乳類や爬虫類、鳥類など生命の誕生はもちろん、著作物やエネルギーなど、その他のすべてが含まれます。

以下に、「生む」を使った例文を示します。

  • 卵の殻の色は、その卵を生んだニワトリの種類によって決まる
  • こうして、かの有名な商品が生まれた
  • 彼女との会話の中で誤解を生んだかもしれない
  • この発明は、今後わが社に大きな利益を生み出すでしょう
  • 彼がこの作品の生みの親です
  • 彼女がおおよそ10年前に生んだ子どもが彼である

「産む」の正しい使い方・例文

「産む」は出産(または卵の放出)の瞬間を指して強調する際に使用します。「生む」と比べるとより狭義の言葉と言えるでしょう。

以下に、「産む」を使った例文を示します。

  • ウミガメが卵を産む映像を見るといつも涙が出てくる
  • 私は飼育委員だったので、ニワトリが卵を産む瞬間を見たことがある
  • 彼女が長女を産んだ瞬間、私は泣いていた
  • 私たち夫婦にとって念願の子どもが産まれた瞬間だった

「生む」「産む」の類語・言い換え表現

  • 「生む」「産む」の類義語

「生む」や「産む」を別の言葉で言い換えると、読み手によりニュアンスが伝わりやすくなる可能性があります。

「生む」と「産む」の類語を見てみましょう。

生成

「生成」は「生む(生まれる・生まれた)」と同様に、新しいものが誕生すること、作り出すことを意味します。

ただし「汚染物質が生成される」「エネルギーを生成する」など、物事について表すことがほとんどで、子や卵については通常使われません。

なお哲学の分野では、事や物がある状態から違う状態に変化すること、またその過程を指します。

出産

「出産」は主に哺乳類の母親が子どもを産むことを指します。

「妻が子どもを産む瞬間に立ち会います」と「妻の出産に立ち会います」は同じ意味です。

産卵

「産卵」は卵を産むことを意味する言葉です。

「魚類のほとんどは交尾ではなく、雌が産卵した卵に雄が放精する形で繁殖します」といった形で使用します。

「生む」と「産む」の違いを知っておこう

「生む」と「産む」はほとんど同じ意味の単語ですが、細かい部分に違いがあります。

それぞれの意味と違いをしっかりと理解し、いざという時に正しく使用しましょう。