今回は、「つまずく」と「つまづく」、どちらが正しい表記なのかを解説します。また、違いや漢字表記も紹介しているので、正しい使い方に悩んでいる方はぜひ最後までチェックしてくださいね。

「つまずく」と「つまづく」の違いとは? 正しい表記はどっち?

  • 「つまずく」と「つまづく」の違いとは? 正しい表記はどっち?

    「つまずく」と「つまづく」はどちらが正しいの?

「つまずく」と「つまづく」は、両方とも漢字で「躓く」と書きます。意味も同じです。

それでは、「つまずく」と「つまづく」は一体何が違うのでしょうか。

主な違いは「現代的な書き方か、歴史的な書き方か」です。「つまずく」は現代仮名遣い、「つまづく」は歴史的仮名遣いで表記されています。そのため、現代では「つまずく」が正しい表現とされています。

「つまずく」と「つまづく」の意味と語源

  • 「つまずく」と「つまづく」の意味

    「つまずく」と「つまづく」の意味に違いはあるの?

「つまずく」と「つまづく」の違いは表記の違いでした。ここからは「つまずく」「つまづく」の意味について解説します。

「つまずく」「つまづく」の意味

「つまずく」「つまづく」には、2つの意味があります。以下、『広辞苑 第七版』に掲載の意味です。

つま‐ず・く 【躓く】 ツマヅク

自五(「爪突く」の意)

①足もとの障害物に足先を蹴当てて、倒れそうになる。けつまずく。万葉集(3)「我あが乗れる馬そ―・く」。「段差に―・く」

②途中で障害が起こって予定どおりゆかない。中途で失敗する。天草本伊曽保物語「当座の威勢に驕る者は以来の難儀に―・かうず」。「経営に―・く」

[広辞苑 第七版]

1つ目は「歩行中、足先を何かにぶつけて転びそうになること」です。ちょっとした段差につま先を引っ掛けて転びそうになる経験は、誰にでもあるでしょう。「つまずく」はこの状態を表現しています。

2つ目は「物事の途中、思わぬ障害によって行き詰まること」です。計画やプロジェクトの進行が何らかの要因に阻害されている状態をさします。

1986年に内閣が告示したルールにより、日本語の歴史的な仮名遣いと現代の仮名遣いの統一が行われました。それにより、「つまづく」と書かれていた単語は「つまずく」と書くようになりました。

以降、ビジネスシーンや公的な文書では「つまずく」を用いる方が望ましいとされています。

「つまずく」「つまづく」の語源

「つまずく」「つまづく」の語源は「爪突く」です。

「爪突く」は爪が障害物に当たって体が前によろけるさまを表します。語源が「爪突く(つまつく)」であるため、歴史的仮名遣いでは「つまづく」と表記されていました。

「つまずく」「つまづく」の漢字表記

  • 「つまずく」・「つまづく」の漢字表記

    「つまずく」「つまづく」の漢字表記は?

「つまずく」「つまづく」の漢字表記は「躓く」です。「躓く」は常用漢字ではありません。そのため、公的な文書では使用できません。

常用漢字に含まれない「躓く」は、学校で習わない漢字です。誰もが読める漢字ではないといえます。多くの人が読む文章には、ひらがなでの記載をおすすめします。

「つまずく」の使い方・例文

  • 「つまずく」と「つまづく」の正しい使い方・例文

    「つまずく」と「つまづく」の正しい使い方を学ぼう!

ここからは「つまずく」と「つまづく」の使い方を例文を交えて紹介します。

「つまずく」「つまづく」「躓く」これらは表記の違いだけで、意味は一緒です。しかし、「つまづく」は昔の表現です。また、「躓く」は常用漢字ではありません。そのため、ビジネスシーンでは「つまずく」を使用しましょう。

また、「つまずく」には2つの意味があります。それぞれの使い方を詳しく解説します。

足が何かにぶつかったときに使う場合

「つまずく」は、物にぶつかったり、自分の足がもつれたりして、歩行中にバランスを失う状況を表現します。

例文を以下に示します。

  • 段差につまずいてしまったため、足を負傷してしまった

  • 彼はつまずいて転ばないように、ゆっくりと歩くことにした

いずれも「足」が「物理的な物体」にぶつかってつまずいた場合の例文です。

挫折・行き詰まったときに使う場合

「つまずく」は挫折や行き詰まった状況でも使われます。「足」がぶつかるでも「物理的な物体」にぶつかるでもない、比喩的な表現です。進行中の出来事に対して何かよくないことが起こり、進行が妨げられている状況を示します。

例文を以下にあげます。

  • 皆のスケジュールの折り合いがつかず、企画がつまずいてしまった

  • 新しいビジネスを始めたが、資金不足でつまずいてしまった

上記の例文は、プロジェクトや計画の進行を妨げる障害を段差に見立て、困難な状況に直面している状態を例えています。

「つまずく」と「つまづく」の違いを知っておこう

「つまずく」と「つまづく」は発音は同じ単語です。「づ」で書いても「ず」で書いても意味は伝わるでしょう。しかし、現代は「つまずく」が正しい表現とされています。

「つまずく」の漢字表記は「躓く」ですが、常用漢字ではないので「つまずく」と平仮名表記にした方が無難です。文面で記入する際は、「つまずく」と表記するように意識しましょう。