ジャニーズ事務所のジャニー喜多川前社長による性加害問題を巡り、同事務所が設置した「外部専門家による再発防止特別チーム」が公表した調査報告書を受け、民放テレビキー局とNHKが、30日までにコメントを出した。
最初に声明を発表したのは、今月4日の国連「ビジネスと人権」作業部会の記者会見の際もコメントを出していたテレビ東京。調査報告書が公表された29日に「性加害は重大な人権侵害であり、いかなる性暴力も許されません」「ジャニー喜多川氏の性加害問題について、テレビ東京は6月以降、同事務所に対し、第三者機関による検証と公表、さらには再発防止の徹底などを申し入れてきました」とした上で、「ジャニーズ事務所が今回の報告を受けて、迅速で的確な対応をとるよう望みます。また、再発防止特別チームの報告書は、メディアの関わりについても言及しています。テレビ東京はこうした指摘を重く受け止め、人権デューデリジェンスの考え方に基づき、自社はもちろん、取引先についても、人権重視の姿勢を徹底するよう今後も行動して参ります」とした。
次いで日本テレビも29日に「取引先であるジャニーズ事務所に対し、被害者の救済と再発防止に取り組むよう求めるとともに、人権を尊重した企業活動に努めてまいります」とし、「『マスメディアが正面から取り上げてこなかった』などの指摘を重く受け止め、性加害などの人権侵害は、あってはならないという姿勢で報道してまいります」と宣言した。
明けて30日朝、フジテレビは「調査報告書に記された再発防止策について、ジャニーズ事務所が今後どのように対応していくのか、その推移を注視していきたいと考えております。また、報告書に記されたマスメディアの過去の報道に関するご指摘を真摯(しんし)に受け止めております。性加害が決して許されないことは当然です。当社としても、あらゆる人権侵害を防ぐべく対処していく所存です」とコメント。
同日昼、TBSテレビは「『マスメディアの沈黙』と指摘された事も踏まえ、いかなる性暴力も許されるものではないという姿勢で、今後も報道や放送に臨んでまいります。また、すでに人権方針をかかげ人権を重視した経営に取り組んでおり、ジャニーズ事務所に対しても被害者の救済や人権侵害の防止を求め、ひきつづき適切な対話を続けてまいります」。
同日午後、テレビ朝日は「性加害は許されるものではな<、今回の報告書を受けてジャニーズ事務所が提言された事項について今後どのように取り組み、対応していくのかを注視してまいります。テレビ朝日グループでは従前より、人権尊重を明確に掲げて事業活動を行っておりますが、調査報告書に盛り込まれたマスメディアに対する指摘を重く受け止め、今後ともかかる取り組みを真撃に続けてまいります」。
そして同日夕、NHKは「『マスメディアが正面から取りあげてこなかった』などと指摘していることを重く受け止めています」とした上で、「NHKは、職員の行動指針として『人権、人格を尊重する放送を行うこと』を定めており、性暴力について、『決して許されるものではない』という毅然とした態度でこれ まで臨んできたところであり、今後もその姿勢にいささかの変更もありません。ジャニーズ事務所に対しては、被害者救済と再発防止に取り組むよう要望するとともに、その実施状況を確認しながら、人権尊重の観点から、適切に対応していきたいと考えています」と発表した。