最後に、セッションのテーマである「オワコン化しないために、これから何をすべきなのか」という問いに、西田氏は「バラエティの制作者って、本当に褒められることが少ないんです。やるだけやって、おもろいのが当たり前でやる世界なので。だから、いろんなところで細やかなことを演出しているということを“褒める”というキーワードで奨励するのはどうでしょう。これは番組単位じゃなくて、1つのシーンとかでも。視聴者の方から『あそこの配慮良かった』と言ってもらえるものを集めながら、全国の番組を対象にして、みんなで褒めるんです。実は褒められていくっていうことが、ひらめきにつながると思うんです。視聴者の人が信じてくれてるから、ひらめく。たぶんAIの世界で人間がこれから果たしていける脳みその役割ってひらめきだけじゃないかと思うんで、コンテンツの世界でひらめきにつながるアクションを、BPOさんにも手がけてもらえたらいいかなと思います」と要望。

久我氏は「よくテレビがオワコンになるんじゃないかという話があるんですけど、僕は全然そうは思わないんです。選択肢がめちゃくちゃ増えたからこそ、テレビに費やす時間が減ってるのは確かにそうだと思います。ネットでは見たいものが検索すれば出てくるので、そこの情報量に関してはネットのほうが多いと思うんですけど、テレビはつけっぱなしにして、これを見ようと思わなくても見るっていう状態を作り出す唯一のコンテンツだと思うんです。だからこそテレビ、特に情報番組を作る人間としては、“こういうニュースがあるよ”、“こんな考え方があるよ”、“これを知ってほしい”ということをキュレーションして見せる意識が大事だと思っています。そうすると、テレビはフラットじゃなきゃいけないって言われてきたんですけど、実はもう少し偏ってもいいんじゃないか。制作者の意識が出てもいいんじゃないかなと思っていて、その善し悪しは視聴者がちゃんと判断してくれればいいし、“この情報の集め方の番組は嫌いだから見ない”という選択肢も全然あっていい思います。だから、作る側の“見せたい意識”というものを大事にしていければと思います」と力を込める。

そして、佐野氏は「とにかくドラマは海外市場にちゃんと売れるものを作らなきゃいけないと思っています。最近よく海外の事業者やスタジオの方と話をすると、“日本のドラマは入り口がいいのに、出口がよくない”と言われるんです。日本にはたくさんの物語があって、ドラマの入り口の発想はいいんだけども、それが最後的に作品になったときの映像のクオリティだったり、お話のあり方だったり、一話完結のものにしていってしまうみたいなことが良くないということなんです。制作費でいうと、韓国が(日本の)5倍から10倍、アメリカだともう10倍から100倍みたいなところと戦っていかなければいけないとなると、いかにアイデアをきちんとしたクオリティのものにするかが大事だと思うので、海外のスタジオや事業者と組んでやるっていうことも視野に入れて、制作費を確保しつつ、日本にあるいろいろな物語だったり、アイデアだったりを良い形にしていくということを目指したいと思っております」と、今後の展望を語った。