第60回ギャラクシー賞(主催:放送批評懇談会)の贈賞式が31日、都内のホテルで行われ、ドラマ『エルピス-希望、あるいは災い-』(カンテレ)が大賞を受賞した。

  • (左から)佐野亜裕美プロデューサー、長澤まさみ、大根仁監督

カンテレの佐野亜裕美プロデューサーは「本当にまさか賞を頂けるとは思わなくて、『今日夜ご飯何食べようかな』とかそんなことばっかり考えてたので、ちょっと驚いております」と笑いを誘いながら、「本当にたくさんの方々の力をお借りして、いつもドラマを作ってるんですけれども、この『エルピス』に限ってはちょっと考えられない数の方々のご協力を、公にできない方も含めてお借りして作ることができました。改めまして、関わってくださった皆様に深く感謝申し上げます」とあいさつ。

作品を立ち上げたきっかけについて、「2016年の終わりぐらいから、脚本家の渡辺あやさんと脚本を作り始めたんですけど、当時私は組織とか社会とかにものすごい怒りを抱えていて、渡辺あやさんと朝から日が暮れるまで、ずっと怒り合ったところからこのドラマがスタートしました」と回想。

放送後の周囲の反響は、「向こう見ずな性格なものですから、私個人としては、あまりタブーに切り込むとか、そういう意識がなくて。放送してしまったら、『あれ大丈夫だったの?』とか『すごいリアルでびっくりした』といった声を他社の方から頂いて、驚きを隠せない状況でした」と明かした。

大根仁監督は「演出家としても、佐野さんと(渡辺)あやさんが作ってくださった素晴らしい脚本で、さらにまーちゃん(長澤まさみ)を中心に、(眞栄田)郷敦くん、鈴木亮平くんといったキャストのおかげで、本当にいい作品ができたと思っております」と感謝し、「中でも、まーちゃんと郷敦のコンビっていうのがこのドラマの根幹である部分なので、この2人が本当に現場で素晴らしかったですね。撮ってて面白かったし楽しかったし、2人の真剣さとか、悩みながらこの役を成長させて作り上げていく過程というのを間近で見られたことを、本当にうれしく思っております」と振り返る。

個人賞とのW受賞となった長澤まさみは「もう本当にこの作品を、どうにかたくさんの人に伝わるように良いものが作れるかっていうことだけを、現場にいたキャスト・スタッフ全員が思いながら作品作りをしていたように思います。みんなが自分のことではなく、作品のことに一生懸命になっていたように思います。そういった時間で育めたことが、私にとっても良い経験でしたし、この作品を作り上げることができた要因なのかなと思っております」と、熱気あふれる現場の様子を語った。

続編への意欲を聞かれた佐野プロデューサーは「1ミリもない…」と回答。「志が通じるものは作りたいなと思いつつ、私自身飽きっぽいですし、関わった出演者のみなさんもスタッフのみなさんも、もう次に進んでいるので、今日の喜びを忘れず、また新しいドラマを作っていきたいと思っています。すいません(笑)」と、新たな作品作りへの意気込みを見せた。