小説家の池井戸潤氏がこのたび、俳優の中村倫也が主演を務めるテレビ朝日系ドラマ『ハヤブサ消防団』(7月13日スタート毎週木曜21:00~)の撮影現場を訪問した。

  • 池井戸潤氏と『ハヤブサ消防団』キャスト=テレビ朝日提供

『ハヤブサ消防団』は、山間の小さな集落を舞台に描く戦慄のホラーミステリー。中村は、原作・池井戸潤氏が自身を投影した主人公のミステリー作家・三馬太郎を演じる。物語は、スランプ気味の太郎が亡き父の故郷、“ハヤブサ地区”に移住するところからスタート。都会のストレスから解放され、穏やかな田舎暮らしを手に入れたはずの太郎だったが、地元の消防団に加入したことを機に連続放火騒動や住民の不審死などの怪事件に次々遭遇。真相を追ううち、集落の奥底にうごめく巨大な陰謀に突き当たる。

池井戸氏が訪問したのは、ハヤブサ地区唯一の居酒屋“△(さんかく)”のセットが組まれた都内のスタジオ。居酒屋△は太郎が消防団に勧誘され、疑惑のヒロイン・立木彩(川口春奈)と再会を果たす重要な場所となっている。池井戸氏は、「意外に大きいですね。原作ではもっとこじんまりとした居酒屋のイメージでした」と驚きながら、架空の銘酒ラベルがあちこちに貼られたカウンターや歴史を感じさせる柱など、美術スタッフが細部までこだわり抜いたセットを興味深く観察した。当日は主人公・太郎をはじめ、藤本勘介(満島真之介)、徳田省吾(岡部たかし)、森野洋輔(梶原善)、宮原郁夫(橋本じゅん)、山原賢作(生瀬勝久)ら消防団メンバーが、東京から訪れた編集者・中山田洋(山本耕史)を交えて盛り上がる宴会シーンの撮影が。

撮影終了後、消防団の法被を贈呈された池井戸氏。出演者たちから「先生、撮影をご覧になられていかがでしたか?」など質問攻めにあいながら、にぎやかに集合写真を撮影した。

■池井戸潤氏(原作)コメント

――居酒屋シーンの撮影を見学された感想を教えてください。

まるで本物の居酒屋のようでしたね。まずセットが素晴らしく、あれほど立派なものは想定していなかったので大変、驚きました。スゴイものを組んでくださったなと感心しました。

また、キャストのみなさんは酔っぱらいの演技が板についていましたし、飲み会のテンションが高すぎて、あの輪の中にはなかなか入れないなと思うほど濃い雰囲気でした(笑)。しかも、みなさんとても仲が良く、芝居ではなく普通に盛り上がっていて、「なんなの、この面白い現場は!」と驚きました。カメラが回っていないときも消防団の団結力をしっかり感じられる、とてもいいチームだなと思いましたね。

――主人公・三馬太郎役・中村倫也さんの演技はいかがでしたか?

雰囲気が出ていて、とても素晴らしかったですね。とにかく、セリフ回しも演技もうまい。小さなモニター越しでも感じるものがあったので、大画面のテレビで拝見したらもっとグッとくるだろうと思いました。

太郎はデビュー5年の作家という設定ですが、その時期は作家なら誰もが苦しむものですので、彼の葛藤を中村さんがどう表現してくださるのか、昔を苦々しく思い出しながら楽しみたいと思っています。

――暑い中、撮影に挑んでいるキャストのみなさんにエールをお願いします。

今回はスタジオにうかがいましたが、山奥の滝のシーンや山中で迷う場面など、おそらくキャスト、スタッフのみなさんは“決死のロケ”に挑んでいるはずです。また、消火シーンでは走りながら重いポンプなどを運ばなければなりません。キャストのみなさんは体力がおありだと思いますが、栄養ドリンクなど飲みながら頑張って乗り切っていただきたいですね。迫力あふれる映像を楽しみにしています。

――視聴者のみなさまにメッセージをお願いいたします。

まだ脚本をすべて拝読していませんので結末がどうなるのかわかりませんが、小説とは少しずつストーリーが違っています。“こう来るか!”という映像作品ならではのオリジナル部分や人間ドラマもあり、小説をすでに読まれた方も新鮮な気持ちで楽しんでいただける連続ドラマになっています。もちろん、私自身もオンエアを楽しみにしています。そして、ドラマをご覧になったら、映像とはまた異なる私の原作小説を手に取っていただけたらうれしいですね。