さいたま市の鉄道博物館にて、「鉄道写真家・南 正時作品展 ブルートレイン 夢の旅路へ」が6月24日から9月25日まで開催される。これに先立ち、6月23日に報道関係者向け内覧会が行われた。

  • 鉄道博物館で開催される「鉄道写真家・南 正時作品展 ブルートレイン 夢の旅路へ」。内覧会に南氏も参加した

鉄道写真家・南正時氏の作品展は今回で第3弾となる。南氏が鉄道博物館に寄贈した写真の中から、ブルートレインをテーマに約80点を選定。1970~1980年代に活躍したブルートレインの走行シーンや、車内での旅の様子などを撮影した写真が展示されている。

■ブルートレインの外観だけでなく、内部も見てほしい

南氏は「ブルートレインブーム」が起きた1970年代以降、ケイブンシャの書籍や「鉄道ジャーナル」誌上で多数の作品を発表し、ブームを牽引した。走行中の外観の写真だけでなく、車内の写真や、寝台特急に乗車する人々、鉄道で働く人々も撮影。かつての旅の様子を現代に伝える貴重な記録になっている。

今回の作品展では、未発表の写真も多く展示されている。内覧会の当日、南氏自身も参加し、展示した写真等の解説を行った。

  • 20系客車の模型を前に南氏が説明

  • DF50形が牽引する「富士」の写真も

  • 大百科シリーズの誌面に登場した元少年も会場に

  • 本来は廊下側を頭にするA個室寝台

  • デジタルとフィルムの違いを説明する南氏

  • 西鹿児島(現・鹿児島中央)行「富士」の方向幕

電気機関車EF65形500番代が牽引する「あさかぜ」の写真は、「いまから見るとぶれが目立つ」と南氏は言う。しかし、当時は技術的な制約もあった。早朝の時間帯、ASA感度(現在のISO感度)64のフィルムで撮影した写真のため、絞りやシャッタースピードも最低限のものとなり、どうしても動きが止められないという状況を説明していた。

SLブームの時代、ブローニーフィルムで撮影した「富士」(20系客車、牽引機はディーゼル機関車DF50形)も、ASA感度は50だった。「みんな次に来るSLに夢中で誰も撮影しなかった。でもこの20系はきれいでした」と南氏。フィルム原版は真っ赤になっていたため、デジタルで時間をかけて補正したという。「こういった写真を、当時の少年だった人に見てほしい」と話していた。

南氏の写真で特徴的な点として、鉄道で働く人々や、乗客も含めた車内の様子など、いまとなっては撮影困難な場面を克明に記録したことが挙げられる。「あさかぜ」の車掌を撮った写真もあり、定年間近となった車掌の仕事を表現することに成功している。「当時の寝台特急の車掌は、憧れでした」と南氏は言う。ケイブンシャの大百科シリーズで登場したという元少年も内覧会に参加しており、南氏と当時のことを振り返っていた。

  • ブルートレインの走行シーンをはじめ、車内で働く人々の写真も。ヘッドマークも展示されている

  • ブルートレインの紹介や、寝台特急の運転区間・区間に関するパネル展示も

アニメーターの経験もある南正時氏は、『大いなる驀進』『喜劇急行列車』といった映画作品を参考にしながら、写真を撮影し、文章を書いた。今回の展示では、東京駅から西鹿児島(現・鹿児島中央)駅まで日豊本線経由で走行した「富士」の大百科シリーズ紙面も再現。24系25形の1人用A個室寝台オロネ25形のモックアップを前に、「本当は廊下側に枕を置くのだけど、窓側を頭にして寝ていたんだよね。テーブルで急いで原稿を書いていたから。旅を楽しむ余裕はなかったです」と、南氏が当時の仕事ぶりを説明する場面もあった。

今回展示した写真のほとんどはフィルムによるものだが、一部デジタルで撮影した写真もある。デジタルの写真を前に、南氏がデジタルとフィルムの写真表現の違いを説明し、フィルムの表現力についても語った。「人々の記録を見てほしい」と南氏。なお、撮影にあたり、当時の国鉄の広報などが協力的だったことも明かしていた。

■鉄道博物館の展示車両に「出雲」「富士」のヘッドマークも

鉄道博物館では、「鉄道写真家・南 正時作品展 ブルートレイン 夢の旅路へ」の開催に合わせ、展示車両の一部をブルートレインのヘッドマークやバックサインで装飾する特別イベントも行われる。

  • C57形に「出雲」のヘッドマークを掲出

  • EF58形に「富士」のヘッドマークを掲出

  • 20系客車の「富士」バックサイン

蒸気機関車C57形135号機に「出雲」のヘッドマーク、電気機関車EF58形89号機に「富士」のヘッドマークが掲げられ、ナハネフ22形に「富士」のバックサインが表示された。他にもEF66形に「はやぶさ」、ED75形に「ゆうづる」のヘッドマークを取り付けるという。期間中、ヘッドマークやバックサインは何度か交換する予定。作品展・展示車両ともに、往年のブルートレイン全盛期を感じさせる内容となっていた。