――ハリケンレッド/鷹介の御先祖様かもしれない疾風流忍者・鷹之介の役作りについて教えてください。

江戸時代の忍びは、現代忍者の鷹介よりも厳しい暮らしをしているんじゃないかと想像しました。隠密として、世間にまぎれて生きているわけで、人から見られている表の職業を頑張りながら、隠密の使命もこなさなければならない。それでも、迅雷流の2人(一角、一牙)においしいところを持っていかれて、忍者の花形になることが叶わなかった。

紆余曲折があるスタートの時点で、鷹介とはぜんぜん違うキャラクターですよね。だけど、鷹之介の不屈の魂、どんな境遇にあっても瞳が濁っていないという姿勢があったからこそ、光が集まったときにみんなそれぞれが輝き出す……。そういった部分を強く意識しながら演技をしていました。この作品は誰かひとりを突出して描くのではなく、鷹之介、吼太郎、なみ、一角、一牙を中心にした群像劇なんです。5人に対するスタッフのみなさんの愛情を感じました。

――本格的な時代劇&忍者アクションが披露されました。アクションシーンを演じた感想を聞かせてください。

アクションは本当に楽しくて、ずっとやっていたかったのですが、時間がなかった(笑)。(白川)裕二郎とノブ(姜暢雄)はスケジュールがギリギリで、アクションシーンも短い時間の中で撮りきらないといけないのに、そういう時に限って雨が降ったりするんですよね。簡単には撮らせてくれない。

アクション監督の竹田道弘さんはそんな中でも、5人に思いっきりアクションさせてくれたんです。スーパー戦隊の現場って、僕たち俳優が一生懸命取り組んでいれば、スタッフさんが倍くらいの愛情を返してくれる素敵な環境なんです。それは20年前も、10年前も、今もぜんぜん変わらない。竹田さんの愛情あふれる演出に、とても感謝をしています。

――疾風流忍者の3人よりも年齢が上で、忍者の経験値も高い迅雷流・霞兄弟(一甲、一鍬)との対立構造は、現代よりも江戸時代のほうがはっきりしていましたね。

すごく天気のいい、京都の神社に着物姿で立っている自分を客観視して「俺は今、夢を見てるのかな……」なんて気持ちになりました。奈央も撮影しながらずっと「夢みたい!」ってはしゃいでいて(笑)。そんな思いは、裕二郎もノブも一緒だったようで、京都での撮影を心から楽しんでいたようでした。2人とも、昔とぜんぜん変わらない「悪ガキ」の目をして僕たち3人にツッコんでくるんです。小学生でいえば4年生のグループに、6年生がイタズラを仕掛けにやってくる、みたいな(笑)。夏休みに子どもたちが泊まりがけで遊びに来たような楽しさを、みんなが感じていたのはよかったです。

――本作だけのスペシャルなヒーロー「大江戸ハリケンレッド」の登場も話題を集めています。大江戸ハリケンレッドについて、どう思われましたか。

まさか20年もたって、ハリケンジャーの新フォームが出てくるとは!という驚きと喜びでいっぱいでした。『ハリケンジャー』をやっていたころ、アメリカの『POWER RANGERS』シリーズでは、レッドが強化変身して活躍するのがカッコよくて、プロデューサーに「ハリケンジャーもパワーアップさせてください」とお願いしたけど、叶わなかったんです。そんなことがあったのを思い出し、今回の台本を読みながら家でひとり泣きました(笑)。

衣装合わせのとき、大江戸ハリケンレッドの姿を初めて見て、めちゃめちゃカッコいい!と感動しました。歌舞伎風の名乗りにも、気合いが入りましたよ。20年前、ハリケンレッドの名乗りをやったときはまだ19歳の若造ですから「かぶいて」と言われてもどうしていいかわからず、歌舞伎のビデオを借りて勉強してから臨みました。あれから20年がすぎ、昔よりも様になっている「大江戸ハリケンレッドの名乗り」を楽しみにしていてください。

――試写をご覧になった感想を聞かせてください。

今回、僕たちが新しく演じたキャラクター(鷹之介、吼太郎、なみ、一角、一牙)がとても魅力的で、ここからまた新しく時代劇の『ハリケンジャー』シリーズが続けられるんじゃないかと、ワクワクする思いがありました。今までは、僕たちキャストが「新作やりたい!」と言い続けてきましたけど、この作品では渡辺勝也監督や助監督のみなさんが「これはシリーズ化して続けていきたいよね。続編企画もすぐに出したほうがいいよ」と言ってくれたのが、とても嬉しかったです。こんなにも『ハリケンジャー』が作り手の方々に愛されているのを知り、感無量でした。

――みんなそれぞれ人生経験を積んできた「大人の戦隊」の魅力を描く、新シリーズの誕生に期待ですね。

今回の作品は、江戸時代を舞台にした青春群像時代劇です。5人の忍者の思いと、現代のハリケンジャー、ゴウライジャーも合わせて10人の心がひとつになり、巨大な敵を倒す物語。作品をご覧になれば、きっと「新しいもの」が始まったぞと感じていただけるんじゃないでしょうか。『ハリケンジャー』はスーパー戦隊に「10YEARS」という新しい流れを築くことができましたし、こんどはぜひ「20th anniversary」を成功させ、後輩「戦隊」にもつないでいきたいと思ってます。

そして僕たち『ハリケンジャー』は、また次にどんなことをやるか、いろいろ考えはじめています。ファンのみなさんはぜひ『忍風戦隊ハリケンジャーでござる! シュシュッと20th anniversary』を観ていただいて、作品の感想とか、こんどはこんなことをやってほしいとか、どんどん意見を寄せてほしいです。そうすれば、また新しい「夢」が生まれるし、それを実現するため僕たちも頑張ることができます。みんなで『ハリケンジャー』の未来を作っていきましょう!

(C)東映