宇宙忍群ジャカンジャと戦って地球の平和を守り抜いた、若き忍者たちの激闘と成長を描く特撮テレビドラマ『忍風戦隊ハリケンジャー』(2002年)は、初めて10周年記念作品『忍風戦隊ハリケンジャー10YEARS AFTER』(2013年)が作られたスーパー戦隊として人々の記憶に残っている。そしてこのたび、放送開始20周年を記念したVシネクト『忍風戦隊ハリケンジャーでござる!シュシュッと20th anniversary』の製作が実現。この20周年記念作品もまた、シリーズ初の快挙となった。

  • 『忍風戦隊ハリケンジャーでござる!シュシュッと20th anniversary』でハリケンブルー野乃七海を演じる長澤奈央

    長澤奈央(ながさわ・なお) 1984年生まれ、東京都出身。2001年に女優デビューし、2002年『忍風戦隊ハリケンジャー』でハリケンブルー/野乃七海役でレギュラー出演。多くのテレビドラマ、映画で活躍し、『ウルトラマンマックス』(2005年)や『仮面ライダーW』(2009年)、『仮面ライダーフォーゼ』(2012年)、映画『仮面ライダー1号』(2016年)など特撮作品の出演も多い。2014年に元サッカー日本代表の中田浩二選手と結婚。現在3児の母。 撮影:大塚素久(SYASYA)

『ハリケンジャー』20周年記念単独インタビュー、今回はハリケンブルー/野乃七海および江戸時代の疾風流忍者「なみ」を演じた長澤奈央が登場。時代劇の本場・東映京都撮影所で作られた最新Vシネクストの見どころや、10周年記念に続いて20周年記念作品が実現した喜び、20年前に濃密な時間を共に過ごしたキャスト陣、スタッフと久々に組んだ『ハリケンジャー』の奥深い魅力について語ってもらった。

――長澤さんがハリケンブルーを演じられるのは、TTFC(東映特撮ファンクラブ)のドラマ『ヒーローママ☆リーグ』(2018年)以来ひさびさですね。今回はハリケンジャーのお2人(塩谷瞬、山本康平)、ゴウライジャーのお2人(白川裕二郎、姜暢雄)がそろい、フルメンバーでの新作となりました。20周年記念作の製作が決まったときのお気持ちを聞かせてください。

3年くらい前までは、まさか『ハリケンジャー』20周年で作品を作れるなんて思っていませんでした。ずっと山本康平くんが企画書を書いてプロデューサーの塚田英明さんたちに見てもらおうとしていたんですけど、いつも「忙しいんだよね~」って言われてて、なかなか厳しい状況ではありました。でも、あきらめたらダメだ!と思い、山本くんに「大丈夫だよ! イケるよ! 次何やろう?」と常に励ましの言葉をかけて、頑張ってもらってました。そんなことがあった上での今回の新作実現なので、嬉しい!と思う前にホッとした感じでしたね。

――通常のスーパー戦隊シリーズは東京で撮影されていますが、今回『ハリケンジャー』としては初めて東映京都撮影所で作られたそうですが、京都での撮影はいかがでしたか?

10日間、京都に泊まり込みで撮影をしました。合宿みたいで、楽しかったです! 京都撮影所へ入り、オープンセットの江戸の町並みを観て、ああ来てよかったなってしみじみ思いました。今回、京都撮影所で「時代劇」として作ることになり、とても新鮮な気分で撮影に臨むことができました。

現代劇だと、どうしても20年という時間経過が見た目などに表れてしまいますけど、時代劇だと違和感がなくなるというか、ファンタジーの方向に持っていけますから(笑)。カツラを着けないといけないし、現代劇の撮影よりもずっと早い時間から準備するのは大変でしたけど、メイクルームで5人が並んで座って、カツラ着けて、着物着て……とそれぞれがだんだん役としてできあがっていく様子を見ているのは、とても新鮮で楽しい時間でした。

――江戸時代の女忍者・なみを演じるにあたり、現代のハリケンブルー/野乃七海のキャラクターを意識されたりしましたか。

七海はいつも元気な女の子、というイメージで演じていましたが、なみはまったく別な、大人の女性として演じるようにしています。今の自分ならではの魅力のようなものが出せたらいいなと思っていました。ちょっとした仕草で大人っぽさ、色っぽさを表現できるよう心がけました。

――なみは世を忍ぶ仮の姿として「門付け」をしており、三味線を弾きながら「忍び恋」を歌われていました。

野乃ナナ(七海の芸名)の持ち歌としてずっと歌ってきましたから、新作でも「忍び恋」が歌えたのは嬉しかったです。三味線は、弾く格好をしていますけどけっこう適当なんです(笑)。でも、テレビシリーズのとき5人で三味線を習ったことが活きており、持ち方とかはそれっぽく見えているんじゃないかと思います。

――日向無限斎の西田健さん、日向おぼろの高田聖子さんが再登場し、さらにシュリケンジャー(の声)の松野太紀さんが長尾恥之進役で出演されているのも、すごいことですね。

高田さんとはスケジュールが合いませんでしたが、西田さんには『10YEARS』以来、10年ぶりにお会いすることができました。松野さんは、テレビシリーズが終わった後、出演された舞台を観に行ったりしましたけど、ほぼ20年を経ての再会でした。みなさん、いくら月日が過ぎたとしても、お会いしたらすぐ当時の感覚に戻れるんです。それだけ『ハリケンジャー』の1年間が濃厚だったわけで、当時のキャスト陣が再び集まったことでもプレミアムな作品になりました。

――新作ならではの新しいキャラクターも登場しますが、中でも印象的だったのはどなたですか。

オイランダの陽月華さんです。全身から発する色気がすごくて、しかも肝っ玉が据わった、めちゃめちゃカッコいい女性だなあ……と惚れこんじゃいました。絢爛豪華な衣装を堂々と着こなして、とても綺麗で、素敵な女優さんでした。