――東映京都撮影所で『ハリケンジャー』を撮るのは初めてとうかがいました。今回は時代劇ですから、「和」テイストのハリケンジャーとは相性がいいように見えましたね。

大ベテランの方だけでなく若い方たちもいて、京都撮影所ならではのチームワークがあり、すばらしかったです。撮影時期はちょうど真夏で、日中だと40度くらいあってみんな汗だくになりながらやっていましたが、すべてが新鮮な体験でした。思い起こせば、『爆竜戦隊アバレンジャー』(2003年)から毎年「京都編」エピソードが作られていたのに、前年の『ハリケンジャー』は京都に行くチャンスがなかったんです。そのことをずっと残念に思っていたので、20周年でついに京都撮影所に来ることができて、念願がかないました。撮影は1週間と短かったですが、毎晩のようにキャスト、スタッフみんなでメシを食い、思いっきり仕事をして、休みの日には観光もして(笑)、とても楽しい日々を過ごすことができました。

――山本さんはハリケンイエローの吼太を演じると同時に、江戸時代では疾風流忍者・吼太郎として活躍します。江戸のオープンセットの中で敵との激しいアクションがありましたが、やってみていかがでしたか。

とても気持ちよかったです。瓦屋根の上なんて普通は走れないですからね(笑)。オープンセットがとてもしっかり作られてあって、その素晴らしさに感動しました。何度も「京都に来てよかったなあ」という思いを噛みしめていました。

――久々のアクションシーンで、難しさはなかったですか。

それが、現役のときよりもうまくやれたかもしれないです(笑)。体力というより、経験値の違いでしょうね。あとは、スケジュールがタイトなのでちょっとでもミスができないから、集中力を高めて臨んだことも大きいですし、アクション監督の竹田道弘さんがうまく演出してくださったというのもありますね。以前から、こういった本格的な忍者の立ち回りをやりたかったので、辛さよりも楽しさのほうが勝っていました。

――吼太郎のセリフには、いつも語尾に「ござる」がついていて、忍者らしい印象を強めていましたね。

台本ではそんなに「ござる」って言ってないんですけど、せっかくだから僕がしゃべるところにはできるだけ「ござる」を入れたいなと思い、渡辺勝也監督に相談したんです。脚本の谷慶子さんからもOKをもらったので、もう「ござるござる」言いまくりました(笑)。

――本作に出てくる新キャラクターについての印象を聞かせてください。

裏七本槍・三の槍「オイランダ」を演じられた陽月華さんがすごくカッコよくて、ほれぼれしました。とにかく立ち振る舞いが素敵で、ベストなキャスティング!と思いました。あと、印象的だったのは「照姫」役の羽瀬川なぎちゃん。のびのびとした芝居が、とても可愛くて心に残りました。僕は照姫役を決めるオーディションで候補の方たちの相手役を務めていたのですが、そのとき塚田英明プロデューサーたちの審査の様子を間近で観られたことが、自分にとってすごく収穫でした。この役に合うか合わないかだけじゃなくて、たとえ合わなくて今回落ちたとしても、ちゃんとその「先」を見ていてくれる。この役にはハマらないけど、別の役ならハマるとか、役者のことを考えてくれていることがはっきりわかったので、僕自身も「この人たちを信じてよかった」と改めて思いました。

――本作のみなならず、TTFCオリジナル特撮ドラマ『シリーズ怪獣区 ギャラス』(2019年)などを企画し、実現に持っていった山本さんが、プロデューサーとして将来的に作ってみたいのはどんな作品ですか?

『ギャラス』は塚田さんや佛田洋監督の要望もあって「怪獣映画」になったのですが、もともとは僕と奈央がTTFCでやっている番組『忍び道』で「オリジナルの特撮ヒーローを作ろう」と構想したことがもとになっています。『ギャラス』もいい作品になりましたけど、まだオリジナル特撮ヒーローは実現していないので、それを作ってみたいという思いが強いです。僕の企画でなくとも、どこかで誰かが新しいヒーローを作ってほしいと願っています。

――最後に山本さんから『忍風戦隊ハリケンジャーでござる! シュシュッと20th anniversary』の見どころをお願いします。

スーパー戦隊といえば、初々しい「新人」ヒーローの活躍がポイントとなりますが、20年後のヒーローを演じる僕たちをご覧になって「こんな味わいのあるヒーローもいいな」と思ってくだされば嬉しいです。10周年のときはまだ勢いが残っていましたけど、20周年だとみんなすっかり大人ですから、以前のようなヒーローを演じるにはなかなかハードルが高い。でも「時代劇」で作ったら、登場人物それぞれの年齢がわからなくなりますし、これはイケる! と思いました。東映京都の伝統といえる「勧善懲悪・娯楽時代劇」の流れを汲み、いろいろと新しい要素を加えた痛快アクション作品に仕上がっていますので、ぜひお楽しみください!

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