2023年3月5日から放送スタートするスーパー戦隊シリーズ第47作『王様戦隊キングオージャー』の制作発表会見が2月14日に行われ、5人の「王様」キャスト陣が登壇。作品にかける強い意気込みや、子どものころ憧れていたヒーローの思い出を熱く語った。

  • 左からトンボオージャー(ブルー)/ヤンマ・ガスト役の渡辺碧斗、カマキリオージャー(イエロー)/ヒメノ・ラン役の村上愛花、クワガタオージャー(レッド)/ギラ・ハスティー役の酒井大成、パピヨンオージャー(パープル)/リタ・カニスカ役の平川結月、ハチオージャー(ブラック)/カグラギ・ディボウスキ役の佳久創

『王様戦隊キングオージャー』のモチーフは、いつの時代も子どもから大人まで興味と羨望の的であり、無条件に“崇拝”の対象となる人間として最高の存在=「王様」と、サバイバルの象徴であり、地球上でもっとも古い生物のひとつである「昆虫」。スーパー戦隊のフォーマットを踏まえつつ、5人が王様同士というドラマチックな設定を活かし、巨大昆虫メカが合体してロボになる“戦隊にしかできない”展開を最大限に盛り上げるという。

1975年の『秘密戦隊ゴレンジャー』から2022年の『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』まで46作を数えるスーパー戦隊シリーズには、ヒーローキャラクターに自動車や動物、恐竜、忍者など、子どもたちの興味をひくモチーフが取り入れられているが、「昆虫」モチーフは『忍風戦隊ハリケンジャー』(2002年)の電光石火ゴウライジャー(カブトライジャー、クワガライジャー)や、『特命戦隊ゴーバスターズ』(2012年)のビートバスター、スタッグバスターと、それほど多くはなかった(マスクのゴーグルが蝶をイメージした『魔法戦隊マジレンジャー』(2005年)のマジピンクも、広い意味で昆虫モチーフといえるかもしれない)。バッタの驚異的な跳躍力を備えた改造人間=『仮面ライダー』(1971年)や、カブトムシやクワガタの硬質なイメージをメカニカルな強化スーツに反映させた『重甲ビーファイター』(1995年)など、昆虫をモチーフとしたヒーローのヒット作が過去にいくつかあるだけに、満を持して誕生した「昆虫」戦隊となる本作にはそれらとの差別化で、どのように斬新なアイデアが盛り込まれているのか、非常に興味をそそられる。

発表会見で「天の声」=司会進行を務めるのは、『超力戦隊オーレンジャー』(1995年)や『海賊戦隊ゴーカイジャー』(2011年)などスーパー戦隊シリーズ各作品でも活躍した人気声優の関智一。プロモーション映像が流されたのち、関の呼び込みによって5人の「王様」が悠々とステージに現れた。

守護神が宿る最強国・シュゴッダムの“自称”王様というクワガタオージャー/ギラを演じる酒井大成は「まだ演技の経験が浅く、不安な部分もありますが、僕たちが小さなころ与えてもらった夢や希望を、今度は今の子どもたちへ届けられるよう、精一杯頑張ります」と爽やかに挨拶。撮影はまだ始まったばかりだと話す酒井は「僕はこの5人の中ではいちばんの後輩ですけれど、撮影に全力で取り組み、楽しんでいます! 演技では難しいな……と思うことが多いものの、いろんなことをどんどん吸収していって、今後につなげていきたい」と、1年間にわたる撮影で自分自身が大きく飛躍する決意を固めた。ギラは自称王様という設定で、シュゴッダムの本当の国王ではない。酒井はギラについて「まっすぐで素直、誰かのために自分を犠牲にできるような芯を持った勇敢で正義感のある役です。誰かのために“悪役”を演じているところがあり、素でいるときと人への接し方がぜんぜん違う、そんなところに注目してほしい」と、正義感が強いのに悪役口調だというユニークなヒーロー像をアピールした。

テクノロジーの国・ンコソパの王、トンボオージャー/ヤンマ・ガストを演じる渡辺碧斗は「子どものころ、家族そろって東京ドームシティのヒーローショーを観に行きました。大切な思い出があるスーパー戦隊に携わることができ、光栄に思います。観てくれる方に、こんな人になりたいと憧れてもらえるよう、1年間頑張っていきたい」と抱負を語った。渡辺はスーパー戦隊シリーズのオーディションをこれまで3度受けていて、今回4度目で合格しただけに、役が決まったときの喜びも格別だったという。ヤンマはテッペンを取るというヤンキー精神でのしあがってきた国王。役柄について渡辺は「側近や国民にも、イキのいいキャラが出てきますので、ヤンマとのコンビネーションを観てほしい」と、国一丸となって印象を強めようと意欲を燃やしていた。衣装の注目ポイントとしては、ヘッドフォンやパンツにつながっているコードがチカチカと「点滅」しているギミックであるという。

芸術と医療の国・イシャバーナの女王、カマキリオージャー/ヒメノ・ランを演じる村上愛花は「長い歴史のある作品に携われて、嬉しく思います。台本を読んでいて、子どもたちはもちろん大人の世代の方々がご覧になっても楽しめる内容だと思いました」と話し、作り込まれた世界観と濃厚なキャラクターたちが織り成すドラマに見ごたえがあることをアピールした。これまで、モデルとして雑誌やイベントで活躍してきた村上だが、俳優として特撮テレビドラマに出演するのは初めての経験。これについては「緊張もありますが、大勢のスタッフ、キャストでひとつの作品を作り上げるのは楽しい」と語って、常に前向きな姿勢でどんなことにも取り組んでいこうとする意志の強さをうかがわせた。ヒメノの見どころとしては「執事のセバスチャンたちが、わがままなヒメノにふりまわされてワチャワチャとしている姿を観てください」と、イシャバーナ国民のコミカル描写にも期待できそうなコメントを残した。

氷雪の国・ゴッカンの国王にして、世界の中立を守る最高裁判長、パピヨンオージャー/リタ・カニスカを演じる平川結月は「たくさんの人たちに愛されてきたスーパー戦隊のバトンを託され、緊張していますが、みなさんの毎週の楽しみになれるよう頑張ります」と、しっかりした口調で意欲を語った。撮影合間の平川はメンバーの「ツッコミ担当」らしく「ふだんからみんなのボケが渋滞していますので、あちこちで盛り上がっているところに行っては鋭くツッコミを入れています(笑)」と話し、茶目っ気のあるところを見せた。リタは前髪や襟で素顔をほとんど隠し、表情が読み取れないミステリアスな外見をしているのが大きな特徴。これについて平川は「ふだん人に見せている冷静沈着で不動の国王という面と、部屋でひとりになったときの面が極端に違いますので、そのギャップを楽しんで」と、エピソードが進んでいくうちリタの意外な面が観られると興味をあおった。

農業の国・トウフの“殿さま”ハチオージャー/カグラギ・ディボウスキを演じる佳久創は「僕は今年で33歳になります。スーパー戦隊のヒーローにはもっと若い人が選ばれやすい中で、昨年のキジブラザー/雉野つよし(演:鈴木浩文)に続いて“30代”のバトンを受け継ぎました。今後も30代ヒーローが続いていくように、すごい作品にしていきたい」と、メンバー最年長ならではの抱負を語った。佳久の言葉を聞いた関は「30代、40代と戦隊ヒーローの年齢が上がっていって、50代が出てくれば、いま50代の僕にもチャンスが……」と、声だけではなく素面での出演にも意欲を燃やしていた。カグラギの衣装は歌舞伎をイメージした派手で強烈な和テイストが特徴。佳久は役柄について「派手な衣装で笑っていて、何を考えているかわからない男ですが、心の中ではいつも民のことを考えています。ときどき、ヒーローとして大丈夫か? みたいな行動を取りますが、回を重ねていくうちに愛されるキャラクターになると思っています」と、何やらとんでもない行動をしでかしそうなカグラギを愛してほしいと言ってニッコリ笑顔を見せた。

本作では、個性豊かな5人の「王様」がそれぞれ治める国の映像表現に「LEDウォール」による「バーチャルプロジェクション」という最新テクノロジーを導入。国内でもまれに見る制作方法で、独自の世界観を貫いたファンタジックな画面が創り上げられるようだ。酒井は「何もないグリーンバック(合成用)背景と違い、実際に背景が映し出されている中で演技をするため、どんな場所にいるのかイメージしやすい」、平川は「背景の氷に光沢感があり、リアルに感じました。すばらしい景色をバックに演技を行うことで、王としての自覚、威厳が芽生えた感じ(笑)」と、合成画面のクオリティを各段に高める撮影技術の進歩について語った。

新しくヒーロー、ヒロインを演じることになった5人だが、彼らが子ども時代に好きだった東映特撮ヒーロー、ヒロインは誰なのだろう。関が彼らの「思い出のヒーロー」を訊いた。酒井は「『爆竜戦隊アバレンジャー』(2003年)や『仮面ライダークウガ』(2000年)を兄弟そろって観ていました」と懐かしそうに語り、渡辺は「『特捜戦隊デカレンジャー』(2004年)のデカイエロー/ジャスミン(演:木下あゆ美)が初恋の女性でした。もしも木下さんとお会いできる機会があればその思いを伝えたい」と、目をうるませながら今後の希望を語った。

村上は「『仮面ライダーフォーゼ』(2011年)の決めゼリフ『宇宙キターーッ!!』を妹や弟と一緒にマネしていました」と、好きなヒーローが仮面ライダーだったことを明かした。現在『仮面ライダーギーツ』(2022年)出演中の星乃夢奈とは以前共演の経験があったそうで「カマキリオージャーと仮面ライダーナーゴでまた共演したい」と意欲を述べた。

平川は「日曜やお休みの日は、誰よりも早く起きて外を走り回る子どもでした。なのでテレビはほとんど観たことがありません」と、好きなヒーローはフィクションの中にいないと断言。不動を貫くリタと違い、アクティブな性格の平川は「スポーツはどれもけっこう得意なので、機会があればアクションに挑戦したい」と話して、将来激しいアクションをやってみたいという夢を話した。

佳久は「『五星戦隊ダイレンジャー』(1993年)が大好きで、録画したVHSビデオを擦り切れるまで観ていた思い出があります。シシレンジャー・大五に憧れ、双子の兄と姉とでよく遊んでいました」と、ダイレンジャーへの思い入れを語った。そして「男2人だとどっちかがレッド(リュウレンジャー)をやりたいと言ってモメるんですが、そんなとき姉が『あなたはグリーン、あなたはブルー』と間に入ってくれて、ケンカを回避していました」と振り返った。

シャープな昆虫ヒーローと昆虫合体ロボットの魅力と、5つの国の個性的な王様が団結して巨大な悪に挑む超・王道のストーリー展開。かつてないスケール感で描かれるスーパー戦隊シリーズ『王様戦隊キングオージャー』の放送開始が迫り、否応なしに期待が高まるというものだ。

最後の挨拶でマイクを手に取った酒井は「キャストもスタッフも素晴らしい方ばかり。恵まれた環境で撮影をやらせていただいています。これから、キングオージャーをもっといろいろな方に知っていただけるよう、頑張ります。ぜひ1年間、応援よろしくお願いします!」と、緊張のあまり途中言葉を詰まらせたものの、最後まで堂々と言葉を発し続けた。

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