「目の肥えたドラマ好きの30~40代女性に、それっぽいものを作ったところで見てもらえない」――そんな危機感を持ちながら、イギリス公共放送・BBCに直談判し、日本リメイク版として制作されたのが今、話題のドラマ『夫婦が壊れるとき』(日本テレビ、毎週金曜24:30~ ※9日は24:55~)だ。

今春新設された新枠「金曜ドラマDEEP」の第1弾作品で、不倫夫に復讐(ふくしゅう)するヒロインを演じる稲森いずみをはじめ俳優陣の迫真の演技と、登場人物たちが織り成すスリリングな展開を売りに、TVer見逃し配信が23時以降の深夜ドラマで新記録となる累計2,000万再生を突破するなど、成果を上げている。企画した日本テレビの藤澤季世子プロデューサーに制作の裏側を聞いた。

  • 『夫婦が壊れるとき』主演の稲森いずみ (C)NTV

    『夫婦が壊れるとき』主演の稲森いずみ (C)NTV

■世界各地でリメイク版の実績

傷つきながら計算づくで不倫夫に復讐する女医の陽子(稲森いずみ)の物語は、単なるドロドロの不倫ドラマとは訳が違う。ドラマ『夫婦が壊れるとき』が話題を集めている理由の1つにあるのが、そう言わしめる脚本力にある。原作はイギリス・BBCのドラマ『女医フォスター 夫の情事、私の決断』(原題『Doctor Foster』)だ。

イギリスで2015・17年に放送されると、英アカデミー賞をはじめ数々の賞を受賞。その後、韓国でリメイクされた『夫婦の世界』(2020年)は、韓国ケーブルドラマ史上最高の高視聴率28.4%を記録し、日本でも配信されると大きく注目を集めた。さらに、フランス、トルコ、フィリピン、インドネシアなど世界各地でリメイク版が展開されている。確かな実績を持つ間違いないドラマなのである。

藤澤Pも、原作の脚本力に魅了された1人だ。「登場人物一人ひとりが持つ背景にも信念にもリアリティがあり、それぞれの異なる価値観の対立も巧みに描かれています。さらに、予想の上を行く展開によって夢中にさせるポイントが高い」と太鼓判を押し、新たに立ち上げる「金曜ドラマDEEP」枠にふさわしい作品になり得ると、目を付けた。

■ターゲットは配信再生数が見込める層

この新ドラマ枠のターゲットは、配信の再生数を見込める18歳以上の女性、さらに「F2層(35~49歳女性)」に設定した。視聴率以上に配信の再生数を狙うため、「4月に新しい枠を立ち上げるにあたって深夜ドラマの視聴傾向を分析していくと、一般的に深夜ドラマを積極的に配信で見ているのがこの層でした。さらに、この世代がどのようなドラマを求めているのかというと、エッジの効いた不倫や裏切り、“ディープ”なものだったのです。それならば、一番適したものを探そうと、いろいろと検討し、たどり着いたのがイギリスの『女医フォスター 夫の情事、私の決断』でした」(藤澤P、以下同)

藤澤Pは権利元であるBBC傘下のBBCスタジオに自らメールを送って交渉。その結果、同作にとって10カ国目となるリメイク権を日本テレビが勝ち取った。ただし、人気作をリメイクすれば容易に成功するとも考えなかった。イギリス版や韓国版と比較されることも想定した。