日本テレビ系ドキュメンタリー番組『NNNドキュメント’23』では、トランスジェンダーの成長を追った『レインボーな僕~高校生のカミングアウト~』(読売テレビ制作)を、きょう28日(25:00~)に放送する。

  • 岡笑叶さん=2022年8月

兵庫県西宮市の岡笑叶(おかわかな)さん(18)は、“女性”の身体で生まれ、“男性”の心をもつトランスジェンダー。3人きょうだいの笑叶さんは、幼いころから姉の服よりも兄の服を好み、ランドセルは黒色を選んだ。

ムードメーカーで笑顔がトレードマークだが、その笑顔を失ったときがあった。中学生のとき、スカートを履くことを余儀なくされたのだ。校則のため、いじめられるのではないかという恐怖心のため、嫌で嫌で仕方のなかったスカートを履き続ける日々が続いた。

「心の底から楽しめる学校生活を過ごしたい」という思いから、高校は多様な価値観を大切にする大阪市内のインターナショナルスクールに進むことを決めた。そして、入学直後に「クラスメイト全員にカミングアウト」。クラスのみんなが、「全然気にせんでええよ」と温かく受け入れたとき、笑叶さんは「1つの壁を乗り越えられた」とホッとして涙を流した。

中学時代とは一転して、楽しい学校生活を送ることができた高校生のうちにやっておきたいことがあった。それは「性に悩む思春期の子どもたちに自分の経験を伝える」こと。2022年9月、大阪市内の中学校で講演を行った。すると終了後、1人の生徒が「自分は、心は男で女の人も男の人も好きになる。きょうの授業で、心がうわーと動いたような気がした」と涙ながらに思いを打ち明け、笑叶さんは「性に一番悩む中学生へのフォローがまだ足りていない」と気づいた。

大学入学を控えた今年1月、胸のふくらみを取る手術を行うという大きな決断をした。「男か女かと気にする周りの目が気になる。大学という新たな環境に進む前に、一緒に変化を喜べる仲間がいる中で手術をしたかった」という思いからだ。

「性的マイノリティーへの理解は深まってきている。でも、『LGBTQ』という言葉が残っている限り、偏見は無くならない。『LGBTQ』という言葉がなくなることがゴール」と話す笑叶さんの成長を通して、「“性別”は本当に必要なのか」と問いかけていく。

ナレーションは、吉岡里帆が担当する。

  • 7歳のときの笑叶さん

  • 高校入学直後、クラスメイト全員にLINEでカミングアウト

  • 後攻の修学旅行=東京・新大久保、2023年2月