製品評価技術基盤機構はこのほど、5月16日に「消費生活用製品安全法関係法令」の改正が閣議決定され、マグネットセット及び水で膨らむボールが特定製品に指定されたことを受けて、「こどもの誤飲事故」に対する注意喚起を行っている。

  • マグネットセット(磁石製娯楽用品)/水で膨らむボール(吸水性合成樹脂製玩具)

    マグネットセット(磁石製娯楽用品)/水で膨らむボール(吸水性合成樹脂製玩具)

近年、強力な磁力を持ったマグネットセット(磁石製娯楽用品)や水で膨らむボール(吸水性合成樹脂製玩具)をこどもが誤飲したことにより、開腹手術が必要となった事故が発生している。いずれも個々の磁石、ボール 1 個が小さく、 容易に飲み込めてしまうことや、数百や1,000 個といった大量のセットで販売されているため、誤飲によって個数が減ったことが分からず、保護者が誤飲に気付きにくいという。

  • (左)マグネットセットの誤飲により消化管壁を挟んで引き合うイメージ/(中央)マグネットセット誤飲患者のレントゲン写真 出典:日本小児科学会「Injury Alert(傷害速報)」/(右)水で膨らむボールの誤飲により消化管内で膨張するイメージ

    (左)マグネットセットの誤飲により消化管壁を挟んで引き合うイメージ/(中央)マグネットセット誤飲患者のレントゲン写真 出典:日本小児科学会「Injury Alert(傷害速報)」/(右)水で膨らむボールの誤飲により消化管内で膨張するイメージ

マグネットセットは強い磁力により離れた位置にあっても引きつけ合うため、胃や腸といった消化管壁越しに引き合い、壁を挟んで引っ付いて自然排出されなくなり、それによって挟まれた消化管壁の血流が滞り、壊死することで消化管壁に穿孔(穴があくこと)が生じるおそれが。

また、水で膨らむボールを飲み込むと胃液や腸液等の体液を吸収し、消化管内で膨潤。狭い消化管内で詰まった場合には、自然排出されにくく、腸閉塞を生じるおそれがあるという。

  • PSCマーク

    PSCマーク

このような"小さな時限爆弾”による事故を防ぐため、2023年5月16日、「消費生活用製品安全法関係法令」の改正が閣議決定され、これにより、マグネットセット及び水で膨らむボールが特定製品は、2023年12月19日以降、技術基準を満たしPSCマークが表示されたものでなければ市場で販売が出来なくなる。

しかしながら、規制対象化前の製品を保有している場合など、引き続き誤飲事故が発生するおそれがあることから、同機構は注意喚起を行っている。

同機構によると、子どもの誤飲事故を防ぐポイントは、「小さなこどもに触れさせない」「こどもが持ち出せない場所に保管する」「口に入れると危険であることをこどもに伝える」「リスクがあることを理解した上で購入を検討する。不要な製品を廃棄することを検討する」ことに加え、購入時には「PSCマークの表示を確認すること」、そして、経過措置期間中は「PSCマークが表示された製品と表示されていない製品が混在することに注意すること」が重要だという。

なお、子どもの誤飲に対する内容は、NITE公式 YouTube【nite-ps】マグネットセット・水で膨らむボール「1 こどもが誤飲」でも公開されている。