TOKYO MXの情報番組『5時に夢中!』に4月からレギュラー出演中の大島由香里。番組史上初の女性MCとして、フリーアナウンサー・垣花正とダブルMCを務めている。

個性豊かなコメンテーター陣が顔をそろえる『5時に夢中!』。「大きな船に乗せてもらっています」という大島にとって、同番組はどのような意味を持つのか。その真意を探るべく本人を取材し、現在も活き続ける“『バラいろダンディ』で得た経験”のほか、番組出演による生活サイクルの変化、「子育て本は読まない」という独自の子育て論についても聞いた。

  • 大島由香里 撮影:宮田浩史

■『5時に夢中!』MC就任に緊張「4回くらい携帯電話を落として(笑)」

――『5時に夢中!』(以下、ゴジム)新MC就任おめでとうございます。実際に出演されてみていかがでしたか?

初日は笑ってたらあっと言う間に終わってました! (月曜日は)マツコ・デラックスさん、若林史江さんという最強の布陣だったというのもありますし……まぁどの曜日も最強の布陣なんですが(笑)。コメンテーターの皆さんが長く番組に出演されていて世界観ができているので、MCという立場ですが、その大きな船に乗せてもらっています。

――緊張はありましたか?

すごく緊張していて、一緒にMCを務める垣花正さんとも「緊張します……」「いや、またまたぁ~」なんてやり取りをしていたんですけど、その間に4回くらい携帯電話を落として(笑)。我ながらすごい動揺しているなと(笑)。

――勝手なイメージですが、大島さんはあまり緊張はしないのかと。

やっぱり注目度の高さみたいなのをすごく感じていました。ただ、TOKYO MXには『バラいろダンディ』(以下、バラダン)でずっと来ていたし、スタッフさんも顔見知りの方々。全てが初めての環境・人というわけではなかったので、すぐに慣れました。ほかに唯一の緊張要素があるなら、初めてのダブルMCと帯のレギュラー番組でMCをするということへの責任感ですね。

――『バラダン』ではアシスタントMCという形で出演されていましたが、メインMCとなると意識の違いもありますか?

あるんですけど、じゃあダブルMCってなんぞやって聞かれるとまだちょっと探り探りで多分誰も正解はわかっていない(笑)。でも、探りながら良い形を見つけていこうということができるのがTOKYO MXの良さだなと思うので、現段階だと垣花さんと密に連携を取りながら進行しています。

――垣花さんとは『バラダン』以来の再タッグになりますね。

そうなんです。それがすごくやっぱり私の中ではありがたくて。『バラダン』でご一緒したときは垣花さんと同じタイミングで番組に参加したので、スタート地点が一緒だったんです。新しい『バラいろダンディ』というものを模索しながら作ったという1年半の関係値があるからこそ、『ゴジム』では、ある程度出来上がった空気感の中でやれるというのは、すごく助かります。

■肩書に縛られない自由度を持つ意識「『ゴジム』は誰が仕切ってもいい」

――さらに、番組史上初の女性MCとしての出演になります。

そうやって肩書を並べると、すごく大変なことしてるみたいな風に聞こえるし、私も改めて聞くとプレッシャーを感じるんですが……(笑)。ただ、私の性格上そこまで考え過ぎないほうがいいと思っていて。あれをやらなきゃいけない、こうしなきゃと決めてしまうと、その通りにできなかったときに、自己嫌悪になってしまうので(笑)。

極端な話をするなら、『ゴジム』は誰が仕切ってもいいと思っていて。MCという肩書きではあるけど、実質、裏回しで番組を進めてるのはマツコさんや若林さんのコメンテーターの皆さんだったりもしますし。コーナーを誰が仕切ってもいいし、誰が盛り上げてもいいし、誰がまとめてもいいというくらいの自由度を持っていようと。じゃないと肩書ばかりが増えてしまって、それを守ろうと固執すると私が壊れます(笑)。

――以前のインタビューでも、ご自身のことを「0か100か」と表現されていましたが、まさに。

おっしゃる通りです。そもそも台本通りに進むわけではないし、逆にそういうときの方が盛り上がるので、“進行”しなきゃという考えはやめようと思っています。コーナーの説明と締めだけをきちんとやる。尺に関しても盛り上がってるところの途中で切ることほど寒いことはないと思うので、そこはあとで調整しようと思える自由度を持っていようと思っています。

――毎日違った熟練のコメンテーターの方々と、その場でキャッチボールをする難しさは感じますか?

視聴者のときから思っていたんですが、曜日ごとに別の番組なんです……! 私が今回のMCのオファーをいただいたときに唯一やったことは毎日『ゴジム』をちゃんと見ること。出演されている皆さんの性格や好きなこと嫌いなこと、コメンテーターの方々の関係性とかはよく見ておいたほうが得だろうなと思って。でも、画面を通じてこういう人かなと思っていても、全然違うこともあるなと考えを改めて、一旦それは忘れて真っ新で行こうと! 多分いじったりいじられたりということを徐々にしていくうちに、人間関係はできていくと思いますし、想像を超えてくる人間関係っていうものを楽しみにしていたいので、ベースの基本情報は入れつつも、純粋にその場の空気感を楽しみながら組み立てて、作り上げようと思います。

――帯番組ではなく、毎日違うレギュラー番組を担当する感覚に近いんですね。

でも、だからおもしろいんです。申し訳ないくらいダメダメで0点になってしまったという日もあるかもしれないし、すごく盛り上がった! という日もあるかもしれない。でもそれも、帯の良さだし、私がグダグダでいじられまくったとしても、番組がおもしろければそんな日があってもいい! というくらいの度量を持ち合わせながら、存分に楽しませてもらえたらいいなと思ってます。

■『バラいろダンディ』で培ったマインド

――なるほど。そういう考え方は『バラダン』での経験があったからこそ生まれたものですか?

活きていると思います。そもそも『バラダン』がフリーになってから初めての帯のレギュラーなんですが、その前の帯のレギュラーはなんだったかというと、フジテレビ時代の『ニュースJAPAN』。この2つの番組って両極端で、『ニュースJAPAN』は全部決まっていて、『バラダン』はほとんど自由。ものすごい差があるじゃないですか(笑)。その差にすごく苦労して、『バラダン』に出演し始めはフリートークがいちばんつらかったですね。それまでは決まったこと以外は言っちゃいけないという世界だったのが、今度はその場でいちばん適切な言葉を、自分で考えて言わなきゃいけなくなって想像以上に大変でした。これは慣れるしかないんですけど、それにとても時間がかかりましたし、「なんて自分には才能がないんだろう……」と落ち込む日々で。いまだにそう思うことはありますけど、今はそれを肴にお酒を飲めるようになりました(笑)。

――いつのタイミングで慣れてきたのでしょうか?

ようやく楽しめるようになったのが、2年ほど経ってから。また、その半年くらい前のタイミングでMCが垣花さんからふかわりょうさんに変わったんです。垣花さんは男性アナウンサーなので、アナウンサー男女での仕切りというのは経験があったんですが、タレントさんと一緒にMCをするのが初めての経験で。

ふかわさんってMC台に台本を置かないんですよ。尺とその場の空気で全部組み立てていくということをやられていて、それを見たときに“これくらいじゃないとおもしろい話は聞き出せないんだ……”と思って! 私は台本を置かないとできないので、台本はあってないようなものというマインドで進行するということをふかわさんとの2年で学びました。自由にするために自分自身がその場をいちばん楽しむことが大事だと気づいてからは、進行にとらわれないで人の話をよく聞くようになりました。