「実用的」と「芸術的」とは意外と近い関係かもしれません。いつもおウチで使っている洗濯ばさみがアートになる?!

雨のせいで洗濯できませーん

  • (Twitter 洗濯バサミフォトグラファー・岡本なう@okaphotoart より引用)

洗濯ばさみが誕生したのはいつ頃か不明ですが、工業製品として普及したのは19世紀から20世紀にかけて。木製のばね付きの洗濯ばさみとして世の中に広がっていきました。コレ、けっこう最近まで使われていたんですよね。その後、プラスチック製になり、さらに身近なものに。そして2023年、洗濯ばさみはアートへと進化しました! 岡本なう氏の手により造形された洗濯ばさみアートは、フォロワーたちの心を動かしたようで…。

「なんか…エモい…」「シュールすぎる」「スゴイ! 洗濯バサミも泣いてる」「せ、せつない」「芸術作品出来てる」「こういうの…好きwwwww」「めっちゃいいですねコレw」「あえて動画なの、ゆらゆら感と雨音がまた雰囲気出てめっちゃいい」などなど。投稿者であり洗濯バサミフォトグラファーの岡本なうさんにお話を伺いました。

■洗濯バサミフォトグラファーに聞く

……なぜ洗濯ばさみで作品をつくろうと考えましたか?

岡本なうとして2013年からSNSに、アート、ハンドメイド、音楽、(野鳥)写真、短歌などを発表してきて、2021年3月から「洗濯バサミフォトグラファー」としての活動は開始しました。そこから洗濯バサミの魅力を追求した写真を試行錯誤しながら撮り続けていますが、洗濯バサミを使った立体作品などを始めたのは、2022年4月20日にSNSに上げた「(1)洗濯バサミ草(そう)」がきっかけです。

  • (Twitter 洗濯バサミフォトグラファー・岡本なう@okaphotoart より引用)

これは、洗濯バサミに蛍光塗料を塗って蛍のように撮れないかなぁーと思い、塗料を乾かしていた時に撮ったものです。雑草が生い茂ってきた我が家の庭にいい光を見つけたので、試しにこういうものもSNSのフォロワー様に楽しんでもらえるかなぁーとTwitterとインスタグラムにアップしました。

結果、思ったよりも皆様が楽しんでくださったので、それならば花が咲いたら面白いかなぁーと思い、「(2)洗濯バサミ草の花」をあげました。そこからタンポポのように綿毛になったら・・・と思い「(3)洗濯バサミ草の花(綿毛)」、梅雨に入ったので「(4)洗濯バサミ花(紫陽花)」などと繋がっていきます。そして、「(4)洗濯バサミ花(紫陽花)」が人生で初めてTwitterでいわゆる「(ちょこっと)バズる」という状態になりました。多くの皆様に楽しんでいただけている感覚をよりどころに、この洗濯バサミを使ったアート作品をこれからも続けていこうと思うようになり、現在に至ります。

……今回の「雨」を作ろうと思ったきっかけは?

「雨」を作る前に「風」を作って動画を撮影しました。これは「風」という漢字が強風に飛ばされていく様子を撮ったものなのですが、これが思ったよりもご覧いただいた皆様に喜んでいただけて、物凄く嬉しかったのがきっかけです。洗濯バサミで文字を作るということは、洗濯バサミフォトを撮り始めた2021年の9月頃から挑戦していたのですが、当時は立体的に組み上げることが出来ず、木製の洗濯バサミを床に並べて文字を撮影する方法でした。

2023年の1月に「縁」という文字でアイデアがかたまって、文字を洗濯バサミで組み上げ、洗濯バサミハンガーに吊るすようになりました。この時は、写真を撮ることのみでした。また、今回のように大きな反響があるわけでもありませんでした。しかし、自分の中ではずっと撮りたかった洗濯バサミの文字が進化したことに大きな感動があったので、2023年は洗濯バサミの文字作品を撮っていきたいと思い、チャレンジしてきました。「雨」という漢字も2023年の2月に作成し、洗濯ばさみフォトとして投稿していますが、今回、改めて「雨の中の洗濯バサミはエモいんだよなぁー」という思いもあり動画にしました。

……洗濯ばさみアートの難しさと魅力とは?

今回のような「雨」という、一見すると簡単な漢字でも洗濯バサミで組み上げる際には、毎回、予想外の難しさに出会います。組み合わせが甘くなって洗濯バサミが飛んでいってしまったり、思い通りにいかないことの方が圧倒的に多いです。制作する時、いつも自分が作っているものは、「見た人が一目で洗濯バサミだとわかるものなんだ」と意識しながら制作をしています。撮影時には、一目で洗濯バサミだとわかってしまうものを、「どうにかパッと見で、ソレっぽく見えるように撮れないか!? 」という思いで撮影しています。その加減が難しくて何度も撮影をするのですが、撮影場所が自宅の庭なので、余計なモノが写り込まないようにするのは、本当に難しいです。

僕が思っている洗濯バサミアートの魅力というのは、洗濯バサミという1つ持っているだけで、一日中写真を撮っていられるような最高に美しい被写体が、いくつも組み合わさって1つの形をしていることですね。

……今回の作品にどんな反響がありましたか?

誰かに見てもらえる、気にしてもらえるというのは本当に難しいこと、ありがたいことだと、ずーーーーっと感じているので、今回、たくさんの方がTwitterでいいねやコメント、リツイート、フォローをしてくださって、本当に物凄く嬉しかったです。今回もこうした皆様が、洗濯バサミフォトグラファーに注いでくださっているお気持ちが、「雨」を「恵みの雨」に変えてくれたのだと思っています。

▼雨のせいで洗濯できませーん