2006年に日本100名城に選定された、広島県福山市の福山城。その城郭は本丸部分を残して、ほぼ都市部に埋没しています。2022年、この福山城が新たに竣工しました。全長0.2mmの超ミニサイズで…。

髪の毛と同等サイズのお城を築城しました。

  • (Twitter IRON FACTORY IKEDA@IRON_IKEDA より引用)

  • (Twitter IRON FACTORY IKEDA@IRON_IKEDA より引用)

超ミニサイズの福山城をつくったのは株式会社キャステム。精密鋳造で国内トップクラスのシェアを誇るモノづくり企業です。超微細3Dプリントサービスを利用して作成した世界最小0.2mm角の福山城はSNSでも大きな話題に! フォロワたちからも驚きと賞賛の声が寄せられました。

「まじかよ…! 」「しゃちほこや石垣の凹凸まで作り込まれてて驚愕」「吹き飛んだら解らなくなりますね! w」「非現実的すぎて頭が情報を理解できない」「さらに細胞サイズまで行けそうですね!

髪の毛の太さがおよそ80μm、細胞がおよそ20μmだとしたら、出来そうな気がしました」「この技術を活かしたらどんな事が出来るのか気になる」などなど。キャステムの広報担当にお話を伺いました。

■広報担当者さんに聞く

……なぜ髪の毛と同等サイズのお城を作ろうと考えましたか。

築城400年を迎える福山城を地元企業として盛り上げていきたいという思いと、弊社の超微細3Dプリント技術を沢山の方に知ってもらいたいという思いで作りました。あえて目で見えないサイズで作り、福山市に寄贈することで話題性を狙いました。

……どういう技術、方法で作成したのでしょうか。

全長0.2mmという、実物の約17万分の1スケールの福山城の製作を可能にしたのが、私たちキャステムと京都先端科学大学で共同研究を進めている世界最高精度の3D光造形装置Nanoscribeシステムを利用した超微細3Dプリントサービスです。積層2光子重合の3D造形技術とサブミクロンの分解能を持つIP樹脂を用いることで、従来の製法では不可能な形状や精度の製品を製造することが可能なシステムとなっています。この技術を応用することで、刺しても痛くない医療用の針、血管内を移すカメラなど極小のレンズ、生物の一部をナノレベルで再現できる可能性があります。

……作る上で苦労、工夫した点は?

造形に必要な3Dデータの制作には強いこだわりを持って取り組みました。福山市からいただいた建設当時の図面をもとに3Dデータを作成し、高さ0.2㎜というサイズでありながらも外観を完全再現しています。また、築城技術の粋を集め、お城の中でも最も美しく造られたとされる「算木積み工法」を用いた石垣も当時の写真からディスプレイスメントマッピングで完全再現しています。

……どんな反響がありましたか。

想像以上にたくさんの方に驚いていただき、超微細3Dプリント技術に興味を持って頂けました。 恐らく、世界最小のお城だと思いますので、日本だけでなく、世界にも届いてほしいと思います。

▼髪の毛と同等サイズのお城を築城しました。