JR北海道は、新型車両737系の報道公開を4月19日に札幌運転所で実施した。737系の車体はアルミ合金製(先頭部は鋼鉄製)となっており、報道関係者との質疑応答の中で、アルミ車両を採用した背景について説明する場面もあった。

  • JR北海道の新型車両737系。札幌運転所にて報道公開が行われた

737系の製作会社は日立製作所。2両編成(1M1T)を13編成、計26両を製作する。現在は7編成14両が搬入済み。所属は札幌運転所となる。5月20日の運行開始後、しばらく7編成で運用し、室蘭本線の室蘭~東室蘭~苫小牧間を中心に営業運転を行う。札幌駅から苫小牧・東室蘭方面へ直行する普通列車も上下各1本設定される。

JR北海道は近年、快速・普通列車用として733系(電車)やH100形(電気式気動車)の投入を進めてきたが、いずれも車体はステンレス製だった。一方で、733系が量産化される前の2010年、寒冷地におけるアルミ合金製車体の状態検証を目的に、札幌圏用通勤電車の試作車として735系を製作し、2012年から営業運転を開始している。735系は現在も普通列車等で活躍中だが、投入車両数は計6両(3両編成×2編成)にとどまった。

737系の報道公開で、質疑応答に対応したJR北海道鉄道事業本部車両部計画課の石田章氏によれば、737系の車体にアルミを採用した背景として、軽量化を第一の目標としていたことが挙げられるという。「今回は2両編成で、すべて運転台の付く車両となります。さらにワンマン機器も追加されることで、いままでの車両より重量が重くなると考えられたため、軽量化を目的にアルミ車両としました」と説明する。

  • 737系の車体はアルミ合金製(先頭部は鋼鉄製)。「さくらいろ」をイメージさせる淡いピンク色の塗装を施した

アルミ合金製の車両を本格投入することに関して、「いままで735系でアルミ車両を試験していましたが、冬期の問題はとくに発生しておらず、アルミ車両で問題があるとは考えていません」と石田氏。アルミ合金製の735系が製作された後、ステンレス製の733系が量産されたことにも触れ、「735系を入れたとき、アルミ車両は当社として初めてで、冬期試験が何年か続きました。その間に733系の製作が始まっており、工程上の理由で別になっていました」と話した。

報道公開は737系のC-1編成(クモハ737-1・クハ737-1)を使用して行われた。アルミ合金製の車体に「さくらいろ」をイメージした淡いピンク色の塗装が施され、「優しさが感じられ、親しみやすく明るく若々しいイメージ」を表現したという。先頭部は鋼鉄製で、車体前面は黒色をベースに、視認性向上のため警戒色のイエロー、JR北海道のコーポレートカラーであるライトグリーンの2色を下部に配した。車内はオールロングシートで、各車両の客室内中央部に車いす・ベビーカー利用者や大きな荷物を持った利用者向けのフリースペースを設置。2号車(クハ737-1)に車いすスペース・車いす対応トイレも設けた。

  • 車内はオールロングシート

  • 車いす対応トイレも設置

  • 新型車両737系の運転台

737系はJR北海道の通勤形電車として初めて、ワンマン運転に対応する装置を搭載する。車両の仕様として最大6両まで併結可能だが、ワンマン運転を行う関係もあり、5月20日から始まる営業運転はすべて2両編成とされている。なお、731系・733系など他形式との連結に関して、事故等の救援時は可能だが、「従来の車両はワンマン運転ができないため、営業運転での(737系との)併結は考えていません」とのことだった。

今後の計画として、「函館線で運用することを現在計画しているところです」との説明もあったが、函館本線での運行区間など詳細はまだ決まっていないという。報道公開では、737系の投入にともない置換えとなるキハ143形に関して、「別の活用用途を検討している」とのコメントも聞かれた。