JR四国、JR貨物、JR西日本、東急の4社が協力するプロジェクトとして、四国・瀬戸内エリアで2024年にクルーズトレインを運行すると発表。3月27日に都内で4社共同会見が行われた。4社の代表者が挨拶し、報道関係者との質疑応答が行われた。

  • 四国・瀬戸内エリアのクルーズトレインに使用される予定の「THE ROYAL EXPRESS」(2月1日の体験取材会にて筆者撮影)

四国・瀬戸内エリアのクルーズトレインは、2024年の1月末から3月初旬にかけて、3泊4日のクルーズを1回として、計6回の運行を予定している。岡山駅を出発して瀬戸大橋を渡り、高松駅を経由しながら松山方面へ向かう。宿泊地への移動や、しまなみ海道などの鉄道でアクセスできない場所へは専用バスを活用する。

■旅行代金は北海道クルーズより上乗せされる見込み

旅行商品の販売開始は2023年7月頃の予定。運営・商品企画・販売・サービスは東急により行われる。概要説明を行った東急の松田高広氏(社会インフラ事業部クルーズトレイン推進グループ統括部長)によれば、四国・瀬戸内クルーズの旅行代金は、2020年から運行されている「THE ROYAL EXPRESS ~HOKKAIDO CRUISE TRAIN~」(82万円~)より少々上乗せされる見込みだという。

  • 「THE ROYAL EXPRESS」1号車の展望席
    (2月1日の体験取材会にて筆者撮影)

  • 共同会見で概要説明を行った東急の松田氏

  • JR四国、JR西日本、JR貨物、東急の4社が協力する

  • 周遊予定のルート

車両は、東急が運行する伊豆観光列車「THE ROYAL EXPRESS」(伊豆急行2100系)を5両編成に短縮し、電源車を連結した上で電気機関車が牽引する。使用する電気機関車はJR西日本・JR貨物により提供される。列車の運転は、JR西日本区間(岡山~児島間)をJR西日本、JR四国区間(児島駅から四国島内)をJR四国が担当。JR貨物は伊豆から四国方面へ車両の輸送も行い、JR四国は各駅・地域でおもてなしを行う。

東急の松田部長は、「鉄道会社および地域の皆様と協力しながら旅の舞台を作り上げ、四国・瀬戸内の素晴らしい魅力を、列車を通してこれからも発信していければ」とコメントした。

  • 企画、運転、機関車の提供、おもてなしで4社連携

  • 運行時期、エリア、商品販売予定と編成イメージ

会見では、4社の代表者がそれぞれ挨拶。JR四国代表取締役社長の西牧世博氏は、クルーズトレインを四国・瀬戸内エリアで運行できることを喜びつつ、「今回のクルーズトレイン運行を機会として、これまでにも増して観光振興・誘客促進に努め、四国の活性化につなげていきたい」と語った。

東急取締役社長の高橋和夫氏は、「THE ROYAL EXPRESS」を全国展開したいという思いと、その次の段階としてJR四国の協力を得たことを説明しつつ、「人と人、地域と地域がつながるように、そういったことが実感としてわかってきたと考えているので、今回もそういう視点をもって運用できれば」と語った。

JR貨物代表取締役社長・社長執行役員の犬飼新氏は、北海道クルーズへの協力に続き、四国・瀬戸内クルーズにも協力することを「当社としても大変うれしく思っております」と歓迎。「プロジェクトの完遂に弊社も関係の皆様方と連携し、引き続き協力してまいります」と表明した。

  • (写真左から)JR西日本の大路氏、JR四国の西牧氏、東急の高橋氏、JR貨物の犬飼氏

最後に挨拶したJR西日本理事・東京本部長の大路洋司氏は、四国・瀬戸内クルーズの出発地が岡山駅であることに触れ、「岡山は新幹線の乗換えも便利ですので、遠くからのお客様にもご参加いただきやすいクルーズトレインになると思います」と話す。その上で、「4社協力してお客様に満足いただける素晴らしい列車となるように、しっかり努めてまいりたい」と締めた。

■電化区間で電車を電気機関車が牽引、トンネルが理由に

4社の代表者による挨拶に続いて質疑応答となり、報道関係者から多くの質問が寄せられた。東急への質問には高橋社長または松田部長が回答。電化区間を電車(「THE ROYAL EXPRESS」)で運行するにもかかわらず、電気機関車が牽引する理由について質問があったが、理由としてはJR四国管内のトンネルが小さく、「THE ROYAL EXPRESS」はパンタグラフを外さないとトンネルを通行できないためだという。JR西日本・JR貨物が提供できる機関車にも限りがあったとのことで、今回のクルーズトレインは電化区間を電気機関車で牽引する形での運行となる。

車内でのサービスに関しても質問があり、北海道クルーズと同じく地元の料理人を迎え、四国・瀬戸内ならではの食事を提供していくとのこと。「THE ROYAL EXPRESS」に携わっている音旅演出家・ヴァイオリニストの大迫淳英氏による演奏も予定している。

■クルーズトレインはJR四国の既存の観光列車と何が違う?

そもそも、なぜ東急とJR四国が手を組んだのか。松田部長によれば、北海道クルーズで得たノウハウを生かして全国の地域活性化に取り組みたいという東急と、さらなる地域活性化をめざすJR四国の思惑が一致したとのことで、両社で協議を始めたとのことだった。そこにJR西日本・JR貨物を加えた4社が連携するプロジェクトとなり、今回の発表に至った。

  • 北海道クルーズのノウハウを生かし、地元ならではの料理を提供予定(2月1日の体験取材会にて筆者撮影)

JR四国へは、既存の観光列車(「伊予灘ものがたり」など)とクルーズトレインとの違いについて質問があり、西牧社長が答えた。現在、JR四国で運行している観光列車は、価格面において「THE ROYAL EXPRESS」とは大きな違いがあり、料金的にはこちらのほうが乗車しやすい。その分、「THE ROYAL EXPRESS」はさらにグレードが上の豪華列車ということで、利用者層の違いも見込んでいるという。

クルーズトレインの運行で期待することについても質問があった。西牧社長は、自社で「THE ROYAL EXPRESS」のような豪華列車を運行していないことを踏まえつつ、「豪華なツアーの取組みやノウハウを学ばせていただいて、今後につなげたい」と答えた。

筆者は今年2月に行われた「THE ROYAL EXPRESS ~HOKKAIDO CRUISE TRAIN~」の体験取材会に参加した際、北海道のシェフによる料理を味わい、地域関係者から歓迎の声を聞くこともできた。今回の会見で、「北海道でのノウハウを生かす」という言葉が出てきたが、それは地域の魅力を引き出す食事や、地元との連携にあると思われる。東急が北海道クルーズで得たノウハウが、四国・瀬戸内クルーズに生かされることに期待が高まる。詳細の発表を待ちたい。