お笑いコンビ・千原兄弟の千原ジュニアが主演を務めるカンテレのスペシャルドラマ『新・ミナミの帝王 銀次郎の新たな敵は神様!?』があす25日(14:57~※関西ローカル)に放送される。“ミナミの鬼”と恐れられている大阪ミナミの金貸し・萬田銀次郎(千原ジュニア)と、銀次郎の舎弟・坂上竜一(大東駿介)のコンビを中心に、欲望とカネに翻ろうされる人々の姿を描く同作。第22作目となる最新作は、霊能語を操る教祖が、若者や主婦など救いを求める人々の心の隙間に近寄っていくというストーリーで、急成長を遂げる宗教団体の闇に萬田が鋭く切り込んでいく。

2010年に竹内力から萬田役を引き継ぎ、13年となる千原ジュニア。そのときの決断を振り返ってもらうとともに、最新作の見どころや詐欺から身を守る方法、昨年話題となったドラマ『ミステリと言う勿れ』への出演や、YouTubeでの活動についても話を聞いた。

  • 萬田銀次郎を演じる千原ジュニア=カンテレ提供

    萬田銀次郎を演じる千原ジュニア=カンテレ提供

■詐欺から身を守る鍵は「日々の充実した暮らし」

――最新作の台本を読んだときの印象を教えてください。

ここ1、2年の社会で起きているいろいろなニュースが凝縮されているという印象を受けました。宗教という難しいテーマに、しっかり踏み込んで書かれているなと。

――テレビドラマで宗教を取り上げるのはチャレンジングですよね。劇中で登場する詐欺や事件について、発見や驚きはありましたか。

新たな発見というよりは、結構身近なところで起きていることだぞというリアリティを感じました。たまたま別の番組で被害に遭った方と話をする機会があったのですが、最初は「なんで騙されてしまうん?」と大きなクエスチョンが浮かんでいたロマンス詐欺も、ターゲットを特定して近づいてくる、すごく緻密な計画のもとで遂行されていると知って驚きました。被害者の方は皆さん「まさか私が」と仰るのですが……そう思うのも理解できます。

――騙されないためにはどうすれば良いと思いますか。

弱っているときに手を差し伸べられると掴んでしまうかもしれない。難しいと思うのですが、日頃から充実した暮らしをどう送ることができるかが大事だと思います。

――ジュニアさんのように芸能界にいると、怪しい話を持ちかけられることもあるのではないでしょうか。

全くありません。知識もないですし興味もないので、そんな人間に何か言っても無駄だということで、そんな話が来ないんじゃないですかね。

――『新・ミナミの帝王』を届ける側になってから、ニュースを見る視点に変化はありましたか。

脚本がニュースの先をいくこともありまして、過去には、撮影中に同じような手口の事件が起きたこともありました。ニュースの見方で言うと、たとえばバイトテロ1つとっても、本当に高校生がふざけてやっているだけなのかな、違う企業が送り込んでいたり裏で株の取引に使われていたりするのではと、深読みではないですが、報じられていない別の視点で見るとどうなっているのか考えるようになりました。

■萬田役を引き継ぐオファーに「人生で唯一悩んだかも」

――ジュニアさんが竹内力さんから萬田役を引き継いで13年経ちますが、やはり愛着は年々大きくなっていますか。

もちろん大きくなっています。1つの役を13年もやらせていただけることって俳優さんでもなかなかないと思うので、大事にしていきたいです。僕も小さい頃から竹内力さんの萬田銀次郎を見て育ちました。僕が引き継ぐにあたり、竹内力さんとは全く違う、線が細くて少し今どきの、原作に近いインテリジェンスな萬田銀次郎をやりましょうということになったんです。当然、賛否はずっとありました。僕もドラえもんの声が変わっただけでも違和感があるので、見た目から全く違う萬田銀次郎を受け付けられない人もいますよね。でも10年以上やらせてもらえて、竹内力さん時代の萬田を知らない方々も出てきているかもしれないですし、ここからまだまだ続けていければいいなという期待を持っています。

――当時、萬田を引き継ぐプレッシャーはありましたか。

当時35歳くらいだったのですが、賛否の否がかなり大きくなるであろう中、僕がこの役をやっていいのか非常に考えました。それまで竹内力さんの『ミナミの帝王』にチンピラ役などのゲストで出演させていただいていたので、「そうか、あの萬田銀次郎か」と見てきたぶん余計に悩みましたね。やるかやらないかを悩む性格ではないので、それが人生で唯一悩んだことかもしれないです。最終的には「断ったら誰か違う人がやるんやろうなぁ、それを見るくらいなら自分がやったほうがえぇか」と思って引き受けようと決めました。

――10年以上経ったいま、その決断をして良かったと思いますか。

大阪でロケをしていると、たまに「萬田さんや」と声をかけられることもあるので、良かったかなと思います。

■演じる竜一とともに厚みを増している大東駿介

――竜一役の大東駿介さんともタッグを組んで長い付き合いになりますが、出会った頃からの変化があれば教えてください。

作品が回数を重ねるたびに竜一が成長していて、僕が偉そうに言えることでもないですが、同じように大東くんも役者として厚みを増していると感じます。

――空き時間はどんなお話をされていますか。

お昼ごはんを一緒に食べたりしながら、音楽、映画、漫画……エンタメに関する他愛もない話をしています。あとは役者の世界の最近の事情を聞いたり、逆にお笑いの世界について聞かれたりですね。