声優の前田佳織里が、アーティストとしてデビューすることが決定。3月15日に1st EP『未完成STAR』をリリース。1st EPに収録される各楽曲についてのインタビューが到着した。

  • 前田佳織里

デビューが夢のよう

――アーティストデビューが決まったときはどんなお気持ちでしたか?

発表の知らせを受けたのが、所属事務所・アミューズのYouTubeチャンネル「AMUSE VOICE ACTORS CHANNEL」でのサプライズ企画だったんです。マネージャーさんがスケッチブックに「オープニング主題歌を担当することが決まりました!」と出してくれて。すごく驚きましたし、みなさんの粋な計らいに心が温かくなりました。聞いた瞬間はすごく嬉しかったのですが、同時に「自分で大丈夫だろうか」というプレッシャーも感じたんです。

――デビューしていきなり、アニメのオープニング主題歌を歌う訳ですもんね。

そうなんです。それでも、サプライズ企画の動画を見た方が、自分のことのように喜んでくれているのを見て、ほんとうによかったなという気持ちになれて。これは頑張らないと、と気合も入りました。

──もともとアーティストとしても活動してみたかった?

私、高校生のときにガールズバンドを組んでいたんです。そのときから漠然と「人前で何かを表現する仕事に就きたい」と思うようになって。その後、色々な人や人外にもなれて、さまざまな表現ができる「声優」という職業を知り、惹かれていきました。音楽はいまにつながるきっかけであり、私にたくさんのことを教えてくれた、かけがえのないものなんですよ。アーティストとして歌えるのがうれしいですし、夢のようです。

――そうやって声優の道を歩み始めたわけですが、ガールズバンドとして活動していきたい、デビューしたいという気持ちはなかった?

ありました。当時ガールズバンドを組んでいたメンバーとは、会うべくして出会ったと思っていたくらい、運命を感じていたんです。ただ、メンバーのなかには他の夢を持っている子もいて。このメンバーじゃないと意味がないと思っていたので、別のバンドを組んでデビューしようとは考えませんでした。

悔いはないです。なぜなら、そういう紆余曲折があって、こうして声優として活動できているから。ひとつ、ひとつ乗り越えてきたから、いまがあるんです。無駄なことなんてなかったですね。

私が何を表現したいのか考えた

――続けて、今回リリースされる1stEPに収録される各楽曲について教えてください。まずは「光ったコインが示す方」。本曲はTVアニメ『老後に備えて異世界で8万枚の金貨を貯めます』(以下、『ろうきん』)のオープニング主題歌ですね。

アニメの放送がスタートするまでは、「本当に自分が主題歌を担当するのか」と、どこか夢見心地でした。ただ、実際にオンエアされてオープニング映像を見たとき、「歌:前田佳織里」と出ていて。うれしかったですし、感動で鳥肌が立ちました。「光ったコインが示す方」は、『ろうきん』の主人公・ミツハの「楽しく前向きに未来を切り開こう」というマインドとリンクした曲なんです。そういう作品らしさと、アーティストデビューするといういましか出せない気持ちを、歌に乗せました。

――レコーディングはいかがでしたか?

1stEPのなかで、この曲を最初にレコーディングしたのですが、まず、どういう方向性の歌声にしようかと悩みました。というのも、これまでキャラクターとして歌うときは、言葉を綺麗に歌わないといけないという意識があったんです。私の歌を聞いてくださる方はかわいくて、綺麗な声を求めているんじゃないかとも思っていました。とはいえ、アーティストの前田佳織里はキャラクターを背負っているわけではない。私が何を表現したいのか、どういう声で歌えばいいのか考えました。

――アーティスト・前田佳織里の歌声や表現の仕方とは何かと悩んだ。

そうなんです。そんな私を見て、スタッフさんが「まず、気持ちを届けることを大切にしたほうがいいよ。素直に出た気持ちでやってみたら?」とアドバイスしてくれて。その言葉を受けて、「綺麗に」「上手く」ではなく、まずは気持ちをぶつけないと説得力ある歌にならないと思ったんです。それで、意識をガラッと変えて歌ってみたら「エッジが効いているね」「力強さを持っていて、一生懸命さが応援したくなる」と言ってもらえました。

――アドバイスをもらって実際に歌ってみることで、新たな自分に気が付けた。

はい! 実際にこの曲を聞いた方が「前田さんってこんなカッコいい寄りのぱきっとした歌声なんだ」という感想をSNSでおっしゃられていたんです。それを見つけて、何だかうれしくなりました。