NTT西日本グループでは、最新のソリューションを提案することで地域の企業・自治体のデジタルトランスフォーメーションを推し進めている。

一例を挙げると、宮崎県都城市の社会福祉法人「スマイリング・パーク」においては、まず従業員の業務を洗い出すことで効率化できるポイントを探り、次に定型作業をRPAツールで自動化することで業務改善に成功したという。関係者にその改善の詳細や、地域との関わりについて話を聞いた。

  • 宮崎県都城市にある社会福祉法人「スマイリング・パーク」

導入の経緯、その効果は?

スマイリング・パークは、高齢者福祉事業、子育て支援事業、障がい者福祉事業を行っている宮崎県都城市の社会福祉法人。現在は市内を中心に30ほどの事業所を展開している。

同社ではこれまでNTT西日本グループの協力のもと、電話機、FAX、光回線などの社内インフラを整備。そして各拠点で取り扱うPCの台数増加にともない、よりセキュアな、強靭なネット環境を必要とするようになった。

  • 社内環境の改善について話し合う、スマイリング・パーク 法人会計責任者の渡辺保氏(右)とNTT西日本グループの黒木卓氏(左)

「あれは事業所間をつなぐVPNの構築についてNTT西日本さんに相談しているときでした」と振り返るのは、同社で法人会計責任者を務める渡辺保氏。

NTT西日本グループの担当者からは、「おまかせAI 働き方みえ~る」という従業員が普段の業務に利用しているPCから業務内容を分析し、視える化するツールを紹介されたという。オンラインストレージへのアクセス、USBによるファイル持ち出しなどのセキュリティリスクも視える化でき、セキュリティ面の向上も兼ねているそうだ。

  • 「おまかせAI 働き方みえ~る」でPCで行っている業務内容を洗い出すことができる

「導入してみると、従業員が『PCで繰り返しの手作業に追われている』ことが分かったんです。例えば、銀行の入出金の伝票を毎月処理するんですが、ずっと手打ちでやっていました。インターネットバンキングから抽出されるデータの数字を打ち込むだけの転記業務ですが、結構な日数が必要で、打ち間違いのリスクもありました」(渡辺氏)。

  • 渡辺氏は元プログラマーでICTにも明るいため、新しいソリューションがあれば積極的に社内に導入している

そこでPCで行う定型作業はRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)ツールで自動化できないか、NTT西日本グループに相談。折しもNTTグループでは、業務効率を支援するソフトウェア型ロボットの「WinActor」を展開していた。

NTT西日本グループの黒木卓氏は「WinActorは、複数のソフトをまたいで行う定型作業を自動化するソフトです。最初に『これをしたら、次にこれをしなさい』というシナリオを作るところから始まります。例えば、このファイルを開いたら、次に別ソフトのデータをこちらにコピペしなさい……といったようなイメージですね。こういったRPAツールは、繰り返しの多い作業行程で効果を発揮します」と説明する。

  • 「実際の業務が行われている現場に入り込み、利用者目線で『何ができるか』考えるところから始める」と話すNTT西日本グループの黒木卓氏

そして銀行からのデータを会計ソフトに流し込む作業にWinActorを導入。作業時間が大幅に短縮され、それまで3日はかかっていた作業がわずか半日で終わるようになったという。

  • ソフトの作業イメージ

渡辺氏は「さまざまな場面で、NTT西日本さんから最適な商材を紹介してもらっています。事業展開のスピードが早いスマイリング・パークですが、同社に相談すると、すぐに対応してもらえるのが心強い。他の業者との間に立って調整してくれることもあり、うちの事業に即した形で動いてもらえるので助かります」と感謝の言葉を口にする。

  • 「バックオフィスを丸ごと効率化し、施設利用者に向けたサービスなど"人にしかできない業務"に集中してもらえる環境を作れたら」と語るNTT西日本グループの田中聖子氏

地域と共生していく

最後に、渡辺氏に地域との関わりについて聞いた。

「うちの法人では、地域の人たちと共生していく、という理念を掲げています。地域で困っている人がいれば、すぐに手を差し伸べたい。事業所を建てるときはいつも、はじめに自治公民館に加入します。そこでコミュニケーションをとっていきながら、地域に根ざした活動を行っていくということですね」(渡辺氏)。

また地域住民だけでなく、DX化が採用面でも少なからぬ影響をもたらしたようだ。

「いまの若い子たちは、学校では1人1台のパソコンを使って学ぶでしょう。でも、そうやってデジタルの作業に慣れ親しんだ後に、いざ介護業界に就職したら手書き文化の会社だった、なんてこともあります。そうならないよう、スマイリング・パークでは積極的に業務のデジタル化へ取り組んでいます。例えば文字入力一つとっても、PCのキーボード入力に拘らず、場合によってはスマートフォンや音声入力も使える環境にしました。そこで時間を取るよりも、高齢者、園児、障がい者の皆さまと接する時間を長く作ってほしいですからね。そんなスマイリング・パークに魅力を感じて入社してくれる就活生も増えてきたんですよ」と笑いながら話す渡辺氏だった。

また、NTT西日本グループの黒木氏には地域のDX化の進捗状況について尋ねてみた。

「私は普段、都城市内を担当しています。市内の企業さんの間でもDX化の話は頻繁に出ています。当社でも商工会にてセミナーを開催するなど、DX推進の活動を続けている状況ですが、『言葉は聞いたことがある、けれど何をしたら良いのか』というお客様も多いですね」と黒木氏。NTT西日本グループでも引き続きDX化のメリットを広くお伝えしていきたい、と話していた。

  • 左からNTT西日本グループ 黒木卓氏、スマイリング・パーク 法人会計責任者 渡辺保氏、NTT西日本グループ 田中聖子氏