ビジネスシーンでよく使用される「ご都合いかがでしょうか」は、正しい意味と使い方を知っておくことで、社外や目上の人にもうまくスケジュールを尋ねられる便利なフレーズです。
本記事では、「ご都合いかがでしょうか」について、意味や正しい使い方、例文を紹介します。言い換え表現や使用時の注意点、英語表現などもまとめました。
「ご都合いかがでしょうか」の意味とは?
「ご都合いかがでしょうか」は、ビジネスシーンではよく使用される丁寧な敬語表現です。
フレーズに含まれている「都合」には、「他の物事との関係」「事情」「具合」といった意味があり、「ご都合いかがでしょうか」のように疑問形にすれば、相手の状況や事情を理解したい場合に使用できます。この「都合」に、丁寧を表す接頭語の「ご」を付けて「ご都合」となります。
また「いかがでしょうか」というフレーズは「どうだろうか」「どうですか」をより丁寧にした形で、相手の状況や意見を尋ねる際に使用する表現です。
つまり「ご都合いかがでしょうか」は、相手の事情や他の予定の状況を理解したい・尋ねたいという意味を持っています。社外の人や上司など、目上の人にも使うことができます。
目上の人には「ご都合どうですか」は避けた方が無難
「ご都合どうですか」も「ご都合いかがでしょうか」と同じ意味合いを持ちます。しかし、「ご都合いかがでしょうか」よりも丁寧さの度合いが低いため、ややカジュアルな表現と言えます。社外の人や上司など、目上の人に使うのは避けた方が無難でしょう。
「ご都合いかがでしょうか」の正しい使い方と例文
「ご都合いかがでしょうか」は、今後打ち合わせや面談などをしたい場合に、スケジュールや場所などを擦り合わせる目的で使用されます。しかし「ご都合いかがでしょうか」を単体で用いるだけでは詳細が決まりにくいので、候補などと組み合わせて使うことが多いです。
例文を参考に、具体的な使い方のイメージをとらえましょう。
日程について確認する際の例文
- 次回のお打ち合わせですが、3月1日か3月6日はご都合いかがでしょうか。
- 最短で3月1日に商品のお届けが可能ですが、ご都合はいかがでしょうか。
日程について確認、調整したい場合は、上記のように日程を指定することで、相手はスケジュールを立てやすくなります。この際、さらに時間まで分かるのであれば「3月1日の〇時以降」「3月1日の〇時~〇時」などと伝えると、よりスムーズです。
また、こちら側から日程を提示するのではなく、相手側のスケジュールに合わせられるのであれば「ご都合のよい日を伺えますか」というフレーズを使用してもいいでしょう。こちらの不都合な日を提示しておき、その日程以外の候補をもらう方法もあります。
場所について確認する際の例文
- 次回のお打ち合わせの場所は、本日と同じく弊社の会議室にてと考えています。ご都合はいかがでしょうか。
「ご都合いかがでしょうか」は、打ち合わせなどの場所についての確認、調整にも使用できます。以前に使用したことがある場所の場合は、上記のように尋ねるといいでしょう。初めて使用する場合や、場所が分かりにくい場合は、住所やルートの詳細を併せて提示しておくとスムーズです。
相手の意向について確認する際の例文
- メールや電話だとわかりづらい部分もあるため、可能であれば直接、〇〇様とお話させていただきたいのですが、ご都合はいかがでしょうか。
初めて面談などを行う相手の場合、面談をする前提での突然の日程調整は、相手に不信感や不快感を与えてしまいます。会うことを希望する経緯や目的を伝えつつ、相手の意向を伺いましょう。
「ご都合いかがでしょうか」の使用時の注意点
日程調整は、自分の都合だけでなく相手側の都合も鑑み、双方の都合が合うことで決定します。相手側の返信を早く受け取りたい場合は、相手側が日程を調整しやすいように配慮したメールを送ることが重要です。
希望日程を明確に伝える
前述のように、ある程度日程の候補が決まっている場合は、明確に日時を提示しましょう。相手に丸投げするスタイルだと、相手側が都合のよい日程を確認し、書き出さねばならず、手間を取らせてしまいます。
いつでも構わない場合でも、「できれば〇月〇日~〇月〇日の間でお打ち合わせしたく」「〇月〇日の週でしたら、私はいつでも調整可能です」などと、幅を持たせて指定するのもいいでしょう。
なお、候補日が一個だけ、一日だけなど限定的だと、相手にこちらの都合に合わせるよう強要しているようにも見えてしまいます。事前に複数の候補日を用意しておき、提示するといいでしょう。
表現は柔らかく
メールは表情や声で相手の感情を読み取れないため、電話や対面よりもさらに丁寧な言葉遣いが求められます。上から目線の対応にならないよう、相手の都合を伺うスタンスで、クッション言葉なども用いながら柔らかい表現ができるように心掛けましょう。
「ご都合いかがでしょうか」の類語・敬語言い換え
「ご都合いかがでしょうか」は、他のフレーズにも言い換えられます。 類語も覚えておき、ビジネスシーンで役立てましょう。
ご予定いかがでしょうか
「都合」が「他の物事との関係」「事情」「具合」という意味に対し、「予定」は「今後の行事や行動を前もって決めること」を意味しています。
「ご予定いかがでしょうか」は、日程調整をする際において、「ご都合いかがでしょうか」と同様に使用することができます。
ご都合はよろしいでしょうか
「ご都合はよろしいでしょうか」は、「ご都合いかがでしょうか」とよく似たフレーズですが、「決定している日程で問題ないか」を相手に確認する際、了承を得る際に使用することが多いフレーズです。
「ご都合いかがでしょうか」は相手に意見を求めており、相手側に日程を決める主導権があるのに対し、「ご都合はよろしいでしょうか」はどちらかというと、こちら側に主導権があるといったニュアンスがあります。
人によっては失礼だと感じる場合もあるため、社外や目上の人には使用しない方が無難でしょう。
ご都合のほどはいかがでしょうか
「ご都合のほどはいかがでしょうか」と、「のほど」を加えれば、さらに柔らかい表現ができます。「のほど」は、断定を避け、表現をやわらげるのに用いる便利な言葉です。
日程はいかがいたしますか・日程はいかがなさいますか
「いかがでしょうか」よりも丁寧な印象の「いかがいたしますか」「いかがなさいますか」もよく使用されますが、この二つは異なる意味を持つため、注意が必要です。
「いたす」は謙譲語で、行動する対象は自分を指します。そのため「日程はいかがいたしますか」は、自分がどのようにすればよいかを尋ねるフレーズです。
一方「なさる」は尊敬語で、行動する対象は相手を指します。そのため「日程はいかがなさいますか」は、相手がどのようにするかを尋ねるフレーズです。
混同しやすい表現のため、しっかりと違いを認識しておきましょう。
「ご都合いかがでしょうか」への返信例
さて、「ご都合いかがでしょうか」と、自身が尋ねられた場合には、どのような返信が適切なのでしょうか。例文を踏まえて紹介します。
提示された日程を了承する場合
日程が提示されているのであれば、自身の都合がよい日程を返信します。
- 頂いた日程ですと〇月〇日の〇時が空いております。
- 頂いた日程であれば、いずれも空いております。
都合のよい日を聞かれた場合
日程が明記されておらず、こちらの都合を聞かれた場合は、都合のよい日を2~3日程度提示しましょう。
・〇月〇日〇時以降、〇月〇日終日、〇月〇日〇時~〇時が空いておりますが、ご都合いかがでしょうか。
提示された日程を断る場合
提示された日程では、都合のつかない場合もあるでしょう。その場合は、「あいにく」や「申し訳ございません」などのクッション言葉を入れてから断りのメッセージに続けます。
- あいにく頂いた日程ですと先約があります。
〇月〇日、〇月〇日はともに終日空いておりますが、ご都合いかがでしょうか。 - 申し訳ございません。提示された日程では都合がつきません。
少し先になってしまいますが、〇月〇日の週の平日でしたらいずれの日も調整可能なのですが、いかがでしょうか。
新たな日程で調整したい場合は、自分の都合のよい日を2~3日程度提示し「お手数をおかけしますが、お取り計らいのほど、よろしくお願いします」などと、相手を気に掛けるフレーズを付け加えて返信しましょう。
「ご都合いかがでしょうか」を英語で言うと?
ビジネスの場では、英語での対応が求められるケースもあります。「ご都合いかがでしょうか」は、英語ではどのように表現できるでしょうか。
「ご都合いかがでしょうか」の英語表現として、親しい相手柄であれば「Are you free on January 27?(1月27日って暇?)」「When are you free?(いつが空いている?)」「When is good for you?(いつがいい?)」などが使えるでしょう。
より改まって、丁寧に尋ねたい場合は「Are you available on January 27?(1月27日はいかがでしょうか?)」や「When are you available?(いつがご都合がよろしいでしょうか?)」のように「空いている」を意味する「available」を使用するといいでしょう。
「ご都合いかがでしょうか」を適切に活用しよう
ビジネスシーンでは、敬語や相手を不快にさせない表現を意識しつつ、仕事を円滑に進めることが求められます。特にメールは表情や声で感情を伝えられないため、より表現に気を付ける必要があります。
「ご都合いかがでしょうか」というフレーズは、相手の都合をおもんぱかりながら、日程や場所などの調整に用いることができる便利なフレーズです。意味や使い方を正しく理解し、活用してみてください。