TBS系で金曜夜に放送されていたネタ番組『ザ・ベストワン』が復活し、『ザ・ベストワン~今、一番見たいネタ国民投票SP~』と題して、きょう18日(19:00~ ※関東は18:51~)に放送される。『M-1グランプリ』や『キングオブコント』のチャンピオンらがずらりと並ぶ豪華なラインナップが実現した。

そんな今回の放送を、原点に立ち返ると位置づけるのは、総合演出の藪木健太郎氏(Sunny Pictures)。収録の手応えや、特番・レギュラー両方の実績を積んできたことのメリット、さらに、お笑いネタ番組が増えていく中での番組の強みなどを聞いた――。

  • 『ザ・ベストワン』MCの(左から)今田耕司、笑福亭鶴瓶、中条あやみ (C)TBS

    『ザ・ベストワン』MCの(左から)今田耕司、笑福亭鶴瓶、中条あやみ (C)TBS

■視聴者の声が「わりとプラスに働いた」

同番組は、2020年3月に特番としてスタートし、21年10月から1年間レギュラー番組で放送。特番で復活する今回は、視聴者にアンケート調査した「今一番披露してほしいネタ」がテーマだが、その狙いについて、「芸人さんたちが持っているネタは有限の資産なので、やはりレギュラーで放送回数が増えると、ネタの内容も普通のネタ番組に近い感じになってきたような気がしていたんです。ちゃんとリブランドして、当初の“すごいメンバーが集まってベストワンと言われるネタを披露する”というところに立ち返ろうと思いました」(藪木氏、以下同)と明かす。

その結果、ナイツには「最新の“ヤホー漫才”が見たい」に投票が集まったが、「ヤホー漫才は本人たちはやり尽くした感があって、最近は全然やっていなかったのですが、投票でそういう声があると、『そうか、ちょっとやってみます』となって、題材を新しくして作ってくれたんです」と、新ネタをおろすことに。

また、フットボールアワーに関しては、「例えツッコミがいっぱい入ってる漫才」というリクエストがあったが、「世間の方にはバラエティでの司会やトークで後藤(輝基)さんにそういうイメージがあるみたいなんですけど、実はフットさんは普段、漫才中に“例えツッコミ”をあんまり入れてないんです。でも今回受けてくれて、以前この番組でやっていたお題に応えなきゃいけない『ザ・ベストワンテイク』のような形にハマっていった漫才になって、他とは違う形に仕上がっています」とのことだ。

このように、視聴者の声を柔軟に取り入れることで、「自分たちの手札から『これが一番合うんじゃないか』というのが出てくるので、わりとプラスに働いたかなと思いますね」と、芸人たちにとって新たな気付きの機会にもなったようだ。

  • ナイツ

  • フットボールアワー

  • (C)TBS

■特番のメリットとレギュラーの経験値

特番に戻ったことで、これまでは他のディレクター陣と手分けしていた芸人との打ち合わせも、「去年の11月の末くらいから、ほぼ全員と顔を合わせて、『こんなコンセプトなんです』という話をしっかりできました」とメリットが。また、「放送回数が少なくなった分、豪華な分厚いメンバーが集まってくれました。放送が3時間あると、『この時間はちょっと苦しいかも…』みたいなことがあったりするんですけど、今回は切れ目なく楽しんでいただけると思います」と胸を張る。

このため、若手に関しては別枠で、2022年の『M-1グランプリ』『キングオブコント』で準決勝以上に勝ち進んだ芸人を対象とした視聴者アンケートを実施し、関東・関西でそれぞれ得票数1位となった計4組が登場する。

一方、レギュラー放送を経験したことで、「若い人たちと触れ合う機会が多くなって、やっぱり幅が広がりました。特にコントで10年目前後の人たちの層の分厚さが知れたのは、すごく良かったですね。僕が若かったらユニットを組んで新しい番組を作りたくなるくらい(笑)、若い芽が出てきているのをすごく実感できました」と、情報収集が向上。

さらに、「ネタ番組は、芸人さんが自信のあるネタを良い舞台でどう発表するかというのがテーマにある中で、先ほど挙げた『ザ・ベストワンテイク』だったり、『生放送でこういうことができるな』とか『コントだったらこういう切り口で見せることができるな』と、コーナーをいろいろ考えることができたので、それもレギュラーでやった意味が非常にあったなと思いますし、今後、特番の中で生きていくと思います」と、大きな経験値になった。

■『レッドシアター』以来のジャルジャル&ロッチとコント

今回は、ジャルジャルとロッチがコラボレーションしてコントを披露する。藪木氏がこの2組とコントを作るのは、演出を担当していた『爆笑レッドシアター』(フジテレビ)以来、12年ぶりだといい、「取り巻く環境やキャリアも変わったし、放送するテレビ局も変わったけど、リハーサルを重ねて仕上げていく感じは全く変わりませんでした。ジャルジャルとロッチ、それぞれの色とも違うコントに仕上がっているので楽しみにしてください」と呼びかけた。

そして、笑福亭鶴瓶、今田耕司に加わるゲストMCとして、中条あやみが参戦。今田とは『アナザースカイ』(日本テレビ)でタッグを組んでいるだけに安定のコンビネーションだが、鶴瓶も含めて3人の大阪の実家が近所だということが判明し、「すごく相性が良かったです」とハマった。2人につられた中条は、番組の趣旨説明で「漫才」という言葉に思わず関西弁のイントネーションが出てしまうなど、意外な一面を見せている。

  • ジャルジャル&ロッチ

  • 中条あやみ

  • (C)TBS

最近は、TVerのリアルタイム・見逃し配信も視聴ツールとして定着してきたが、「ネタ番組はスマホでも見やすいですし、一方で大きなテレビで見ても楽しめる画面づくりもしているので、1人でどこでも見てもいいし、家族そろってでもいいし、ぜひ見ていただければと思います」とアピールした。