3年前に番組が立ち上がって以降、各局で新たなネタ番組やお笑い賞レースが誕生しているが、そうした中での『ザ・ベストワン』の強みについて、どのように考えているのか。

「ネタ番組って、4~5分を芸人さんに渡すという構造は同じなので、見た目にそんなに違いは出ないと思うんです。でも、僕らが一番気にしているのは、“芸人さんはこれをやると乗らないよね”といったことに敏感に反応しながら番組を作るということ。そうすることで、芸人さんが『この番組だったら、面白くできるな』という気持ちをうまく出してもらえるような作り方は、できているのではないかと思います」

今回、ひと目で豪華だと分かる第一線の芸人たちをこれだけラインナップできたのは、その精神を裏付けていると言えるだろう。

また、「大御所やベテラン、中堅の上の人から、若い人たちも分け隔てなく出る番組という状況にしておきたいと思っています。いろんな人がネタを披露して、ウケて帰っていくという真っ当なことなんですけど、それがちゃんとできる場所は実は数が少ないと思っているので、そういう“ど真ん中”を目指してやっていきたいですね」と意気込んだ。

■テレビ局から相次ぐ制作者の退社「新しい風が吹けば」

そんな藪木氏は、昨年3月末でフジテレビを早期退職し、フリーになって1年が経過しようしているが、ここまでを振り返って、「継続でやらせてもらう仕事があるので、普通に会社を辞めて独立するより順調に来ていると思います。それに加えて新しいところともできていて、これまで接点のなかった地方局の人たちともいろいろやってみて、幅が広がってきていますね」と実感。

この週末は、『ザ・ベストワン』に加え、『陣内バカリの最強ピンネタ20連発SP』(19日16:05~、カンテレ・フジテレビ系)、『いいね! 偉人のサムネイル』(18日・25日23:30~)、中京テレビ)と単発番組が集中しており、「やっぱりフリーになると波がありますね(笑)」と語る。

この1年で、テレビ東京から上出遼平氏(『ハイパーハードボイルドグルメリポート』など)、日本テレビから橋本和明氏(『有吉の壁』など)、テレビ朝日から芦田太郎氏(『あざとくて何が悪いの?』など)ら有名制作者が退社し、新たな道に進んでいるが、「同じバラエティでも武器が違うので、ライバルが増えたという感じではないですが、何をやるのかは気になります(笑)。僕は年長のほうなので、若いうちにいろいろできていいなと思いながら、負けんぞという気持ちもあります」と意識しているそう。

その上で、「フジテレビから共同テレビに出向して、各局の企画を選ぶ基準が、思っていた以上に違ったんです。この局ではウケなかったのに、あの局ではウケるということがあって、何を求めているかが全然違う。だから、自分の局でできなかったものを諦めなくて良くなるので、それは非常に大きなメリットだと思うし、新しい風が吹けばいいなと思います」と前向きに捉えた。

●『ザ・ベストワン~今、一番見たいネタ国民投票SP~』(TBS系、18日19:00~ ※関東は18:51~)
出演芸人は、EXIT、ウエストランド、空気階段、ジャルジャル、陣内智則、テンダラー、東京03、ナイツ、南海キャンディーズ、錦鯉、NON STYLE、爆笑問題、ハナコ、ハライチ、ビスケットブラザーズ、フットボールアワー、ミキ、吉本新喜劇ユニット、ロッチほか(※五十音順)

●藪木健太郎
1971年生まれ、三重県出身。早稲田大学卒業後、95年にフジテレビジョン入社。照明部から02年にバラエティ制作に異動して『アヤパン』『力の限りゴーゴゴー!!』『笑う犬』『新堂本兄弟』『爆笑ヒットパレード』などを担当。『爆笑レッドカーペット』『爆笑レッドシアター』『うつけもんシリーズ』『THE MANZAI(第2期)』『ENGEIグランドスラム』などのネタ・演芸番組を立ち上げ、18年から共同テレビジョンに出向。『ザ・ベストワン』『賞金奪い合いネタバトル ソウドリ~SOUDORI~』(TBS)、『NHKだめ自慢~みんながでるテレビ~』(NHK)、『#っぽいウタ』(中京テレビ)、『両親ラブストーリー~オヤコイ』(読売テレビ)、『ザ・マスクド・シンガー』(Amazonプライム・ビデオ)などを制作し、22年3月末で出向元のフジテレビを退社。メイクスマイルカンパニー「Sunny Pictures(サニー・ピクチャーズ)」を設立し、番組・映像・イベント制作などを手がける。