嵐の相葉雅紀が、今春TBSで放送されるドラマ『ひとりぼっち ―人と人をつなぐ愛の物語―』で主演を務めることが29日、発表された。TBSドラマ初主演となる。
プロデューサーを務めるのは、人気シリーズ『渡る世間は鬼ばかり』をはじめとする数々の名作ドラマを世に送り出してきた石井ふく子氏。2018年に放送されたドラマ特別企画『あにいもうと』、2020年の新春ドラマ特別企画『あしたの家族』と、今もなお精力的に作品を生み出している石井氏が贈る今作は、最も親交の深い脚本家であった故・橋田壽賀子さんに捧げる愛の物語で、亡くした姉と瓜二つの女性に出会った青年に起きる愛と奇跡の物語だ。
主演を務めるのは、2006年の『トリプル・キッチン』以来約17年ぶりのTBSドラマ出演となる 相葉雅紀。相葉がTBSドラマで主演を務めるのは今回が初であり、石井作品への参加も初となる。
相葉が演じる主人公・杉信也(すぎ・しんや)は、建築士の資格を持ちながらも水道メーター検針員として働く青年。15歳で両親も家も失い、その数年後には大好きだった姉までもが病気で急死してしまい、一人取り残された信也は目標を失い「自分はひとりぼっち」と心を閉ざして生きていた。そんなとき、友人に誘われて訪れたおにぎり専門店「たちばな」で亡くなった姉にそっくりな店主・立花香(たちばな・かおる)と出会う。
「おにぎりは人との縁を結ぶ」という香は、そのお節介な性格でそれぞれの事情を抱える客たちと関わり、知らず知らずのうちに笑顔にしていく。最愛の姉に似ている香との出会いは、心を閉ざした信也をどのように変えていくのだろうか。明るい笑顔が印象的な相葉が、そのイメージとはかけ離れた孤独な青年をどう演じるのか注目だ。
また、今作の脚本は、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』(2010年)やNHK大河ドラマ『八重の桜』(2013年)、金曜ドラマ『コウノドリ』(第1シリーズ、2015年)を手がけ、第28回橋田賞を受賞し橋田さんと縁のある山本むつみ氏が担当する。一生懸命に日々を生きる人々にエールを贈る、愛と奇跡の物語。信也を取り巻く豪華キャストも順次発表される。
相葉と石井プロデューサーがコメントを寄せた。
■相葉雅紀
――今作への出演の話を受けて
僕は橋田壽賀子先生の作品を観て育った世代なので、石井ふく子プロデューサーが僕に声をかけてくださったことは率直に驚きました。また、初めてお会いしたときには「ずっと一緒にお仕事したかったのよ」と言っていただけてとてもうれしかったです。声をかけていただいた以上は全力で演じさせていただこうと思いました。 歴史あるチームの一員になるということは緊張しますが、あたたかく迎え入れてくださったチームの皆さんの心の大きさを感じ、こちらも心があたたかくなりました。
――脚本を読まれた感想
今だからこそ、余計に心に沁みました。 この数年間は新型コロナウイルスによってリモートが多くなって、人の温もりを感じづらくなっていたと思います。そんな時代だからこそ、人と人との繋がりやあたたかさ、家族じゃなくても絆はうまれるというのが再認識できたお話でした。
――演じる主人公・杉信也について
両親と最愛の姉を亡くしたことで心を閉ざしてしまい、人と関わることを避けている青年です。 亡くなった姉にそっくりな店主との出会いがキッカケで、そのおにぎり屋さんに通うようになっていくんですが、最初は夢も希望もなくてただ生きるために働いていた信也が、その店の店主と常連客を通してどのように心が解れていくか、あたたかさを取り戻していくのか、というところにも注目していただきたいです。
――視聴者にメッセージ
石井プロデューサーが「人は一人では生きていけない」とおっしゃっていましたが、本当にそうだと思います。僕自身も、光栄なことにこうやって作品をやらせていただくとき、応援してくださる視聴者の皆さんの声だったり、キャストの皆さんやスタッフの皆さんと作り上げる達成感は一人では感じることはできないと思っています。 誰しもが一度は、信也のように「ひとりぼっちだ」と感じる瞬間があると思います。けれど、ちょっと周りを見てみたら、手を差し伸べてくれる人がいる。「ひとりぼっちではない」と、あたたかく伝えてくれるドラマです。ぜひ、ご覧ください!
■石井ふく子プロデューサー
――橋田壽賀子さんへの思い
橋田さんとは作家の中で一番長いお付き合いになるのですが、喧嘩しながらずっとやってきて、それがいい方向に向いていろんなものをつくることができました。ですから、そういう作家とこれから巡り合えるかどうか、非常に不安な気がいたします。今回の作品では、橋田賞を取られた山本むつみさんと初めてお仕事をさせていただきましたが、私が橋田さんのことをずっと考えながら作品の概要を書いていたことを彼女もよく分かってくださっていました。最近の作品は回想シーンが多いなと感じることがあるのですが、それはどうしてなのかというところから話し合いを重ね、心と心をどういうふうにぶつけ合い、どういうふうに愛しみ合うかということを大事に考えていました。それは橋田さんと多くのドラマをやらせていただいたときに一番大切な問題だったからです。ですから山本さんには、登場人物が今どういう気持ちでどういう心をもって現存しているかというのを主体に書いてほしいと伝えて制作しました。
――脚本をつくる中での思い
今のテレビ界には心と心がぶつかり合うシーンが大事だと思っています。犯罪物の作品が多いですが、犯罪よりも家族の方が怖いと私は思うんですよね。家族の間での心のすれ違いが多い時代なので、それを家族や友達とどう乗り越えていくのか・・・。コロナ禍も相まって、心がひとりぼっちになることが多い時代です。だから、私はなんとか心の中に温かさの生まれるドラマを作りたいなと思い、本作はおにぎり屋さんを舞台にしたお話にしました。「心と心を結ぶおにぎり」。そのおにぎりを食べながら、主人公がいろんなことを考えたり、そこにいる人たちと交流したりできるかなということで。 本作は、ある一人の人間がひとりぼっちになり心を閉ざし、人と話したくなくなるが、最終的にはやっぱり人に支えられて世の中を生きていて、今までも生きてきたんだと気づく物語です。これは橋田さんがいつも思っている言葉であり、心でした。それを私が今回、橋田さんを偲ぶこのドラマにぜひ取り入れたいなと思って制作させていただきました。
――相葉雅紀さんと初めて仕事をしてみて
とっても素敵な青年でした。本当に穏やかで、芝居でも、普段でも人と心で通じるような感じ。彼の周りには常に人が寄ってきて話していたので、私は彼とご一緒できて良かったと思っています。セリフも全部覚えてきていて、NGも出さなかったですね。あるシーンの撮影のとき「あぁきちっと芝居を心の中に入れながら、信也になりきって演じているな」と思いました。また一緒にやりたいなと思っています。