ソニー・ホンダモビリティ(SHM)が2025年に発売を予定する電気自動車(EV)のプロトタイプを公開した。ブランド名は「AFEERA」(アフィーラ)に決定。2025年前半に先行受注を開始し、2026年春に北米から納車を始める方針だ。どんなクルマになるのか、現時点でわかっていることをまとめておこう。

  • ソニー・ホンダモビリティのプロトタイプ

    SHMが「CES2023」で公開したEVのプロトタイプ

意思疎通ができるクルマか?

ブランド名のアフィーラは「SHMが考えるモビリティ体験の中心にある“FEEL”」を表しているとのこと。今回のプロトタイプをもとに開発を進め、2025年春に量産車の先行受注を取り始める予定だ。SHMの発表によると、プロトタイプの特徴は以下の通り。

  • エクステリア

モビリティと人がインタラクティブなコミュニケーションをするため、知性を持ったモビリティがその意思を光で語りかける“Media Bar”を搭載。今後、さまざまなパートナー、クリエイターとともに、可能性を幅広く模索していく。

  • ソニー・ホンダモビリティのプロトタイプ
  • ソニー・ホンダモビリティのプロトタイプ
  • ボディサイズは全長4,895mm、全幅1,900mm、全高1,460mm。ホイールベースは3,000mm。駆動方式はAWD(4輪駆動)、乗員人数は5人。フロントマスクに「AFEELA」の文字が表示されているが、この部分がメディアバー?

  • インテリア

まるで繭(まゆ)に包まれたような、無垢でやさしいラウンド基調のデザインとした。単に心地良いだけでなく、注意を逸らす装飾性を極力なくし、カラーリングもシンプルを徹底。人を中心とし、人が求める機能と体験の実現を目指す。

  • ソニー・ホンダモビリティのプロトタイプ

    車内での過ごし方に特徴あり?

  • 提供価値「3A」(Autonomy、Augmentation、Affinity)

Autonomyは「進化する自律性」。安心安全技術の上に快適な移動空間を提供。特定条件下での自動運転レベル3搭載を目指すと同時に、市街地などより広い運転条件下での運転支援機能レベル2+の開発にも取り組む。最大800TOPS(Tera Operation Per Secondの略。1秒あたりの演算処理回数=兆回の単位)の演算性能を持つハードウェアにはQualcomm Snapdragon Digital ChassisのSoC(半導体)を採用予定。プロトタイプは車内外に計45個のカメラ、センサーなどを搭載。室内のインキャビンカメラやToF(Time of Flight)センサーによりドライバーの運転状況や走行状態をモニタリングし、不慮の交通事故防止に貢献する。

Augmentationは「身体・時空間の拡張」。新しいHMI(Human-Machine Interface)を提案し、クラウドで提供するサービスと連携することで、ユーザーごとにパーソナライズされた車内環境を実現。ユーザーに運転以外の楽しみを提供する。リアルとバーチャルの世界を融合していくことで、移動空間をエンタテインメント空間、感動空間へと拡張。メタバースなどデジタルをフルに活用し、新しいエンタテインメントの可能性も追求。その一例として、Epic Gamesとモビリティにおける新しい価値観やコンセプトの検討を開始。センシング技術を活用した拡張現実(AR)によって直観的なナビゲーションの提供を目指す。

Affinityは「人との協調、社会との共生」。カスタマーだけでなく、自動車産業におけるパートナー、さまざまな産業を支えるパートナー、そしてモビリティにおける新しいエンタテインメントの創出に共にチャレンジしてもらえるクリエイターとオープンで自由な環境を作っていく。新しいサービスへの取り組みは5Gネットワークを介し、継続的にソフトウェアアップデートを行い進化・成長させていく。

  • ソニー・ホンダモビリティのプロトタイプ

    車内でゲームができたり、映画が観られたりするクルマはすでにあるが、SMHはどんなカーライフを提案してくれるのだろうか