■早乙女はキス職人!? たくさんのキスシーンが見どころ
――今作の見どころは。
本仮屋:たくさんキスシーンがあります。1つの作品で1人の人とこんなにキスシーンがあったのは初めてでした。現場では監督から「早乙女太一はキス職人だね!」と絶賛されていたので、注目してください(笑)。キスシーンでは、キス以上のドキドキ感が届くようなイメージとムードを作って臨みました。キスが頂点ではなく、“その先”を感じさせる艶っぽさを大切に演じました。
早乙女:僕は「この角度がいい」とか、毎回制作陣に美しい見せ方についてのアドバイスをいただいて挑みました。これまでの役者人生の中で、口移しを含むキスシーンはほとんど男性が相手だったんです。森山未來さんとは舞台で100回以上キスをしていて。未來さんはすごくお酒を飲まれるので、毎回お酒の匂いをかぎながらキスしていましたが……あんなにキスしたのに、その経験が今回活かされることはなかったです(笑)。
本仮屋:あと見どころといえば、中村くんは全裸でリラックスタイムを過ごすことがストレス解消法なんですけど、現場では拍手が起きたり、皆が無言で息を飲むほどのシーンになりました。すごくキレイなんです! 原作の近由子先生の絵に負けていません!
早乙女:そんなに大した見どころじゃないですよ(笑)。ストーリーとしては、藤田と中村は恋人という関係には否定的だけど、ただ付き合うよりもお互いしっかりと向き合っているんですよね。だからこそ出てくる抜け感や弱さ、1人の人間の中身をいろんな側面から見られる作品になっているところは見どころだと思います。
■同居生活で求めるルールは「アラーム」「寝かせて」
――今作で藤田と中村は同居生活を始めますが、もし誰かと一緒に住むことになったとき、「これだけは守ってほしい」というルールはありますか。
早乙女:アラームは1回だけにしてほしいです。睡眠時間は僕にとって一番大事な時間なので邪魔されたくないんです。僕はアラームの鳴り始めの一音で、一発で起きることができるタイプ。マナーモードの振動でも起きることができるんです。だから男友達と旅行に行くと必ず僕が起こすことになるのですが、アラームを鳴らしっぱなしにしたまま起きてくれないのはちょっとキツイですね(笑)。
本仮屋:私は家に帰ってきたらすべてのスイッチをオフにしたくて、ベッドではなくリビングの床に横になってリセットするんです。横になる時間はその日の仕事の量によるのですが、今日だったら一時間半くらい。コンビニに行って帰って来たときは15分くらいです。だから「早くごはん食べよう」とか、「早くお風呂に入って」と急かすのはやめてほしいですね。横になっている私を怒ったり注意したりせずに、ただ放っておいてくれると有り難いです。
■生活に変化もたらすきっかけとなる作品に
――藤田と中村の“新しい関係”には、なかなか周囲に理解されないという苦労もあります。自分のやりたいことを分かってもらえない、一般的な価値観に馴染めないと悩んでいる方に対して、ドラマを通して届けたいメッセージをお願いします。
早乙女:僕自身は周囲の目が気にならずにやりたいことをできるタイプなのですが、悩んでいる方の気持ちも分かります。皆自分の感覚で他人を見定めるし、自分の感覚の同意を求めるし。でも感覚は人によって絶対違うものなんですよね。藤田と中村が、たった1人でも共感してくれる人に出会えたのはすごいことだと思います。難しい問題ですが……本仮屋さんはどう思いますか?
本仮屋:最近『チョコレートな人々』というドキュメンタリー映画にコメントを出させていただいたんです。その中で、障害のある方がお仕事中にパニックになってしまったとき、パニックを無理におさめるのではなく、そうならないように楽しい動画をずっと流してみようとか、場所が合わないなら変えてみようとか、環境作りを工夫する場面があって。できないことがダメなのではなく、環境を変えることでいい結果につながることがあるんだと気付かされました。藤田は中村くんに出会って、転職したり引っ越したり一気に環境を変えますが、もしかしたら何か1つだけなら誰にでもできるのかなって。たとえばどうしても朝が苦手で起きられないなら、何とかフレキシブルな生活が送れるように調整するとか。人生は一気には変えられないけど、この作品が、生活を快適にするための小さな変化を起こすきっかけになればいいなと思います。